4747日記
8号はこの曇りから快晴になるんですねですよね?「なんか静かっスねぇ~」
隣で飴を舐めている、風紀委員の浦井戸さんが言いました。
「そうですね。今日は不良も出ていないですし、いつもとすごい違います」
遠くでどかーん!という爆発音がしました。たぶん戦車か何かの砲撃音です。1発だけだったので、きっと毎日の整備か何かです。
近くで誰かが怒っている声が聞こえました。窓越しにそちらを見ると、子どもがピンを抜いた手りゅう弾でキャッチボールをしていたみたいでした。たぶん狙いがそれて誰かに当たっちゃったのでしょう。手りゅう弾片手に怒っている柴犬な住民が一人いました。……あ、爆発。すぐに鬼ごっこが始まりました。
平和です。
ちなみにゲヘナ風紀委員会において、”静か”とは、ヒナ委員長が出撃していない日のことを指します。
「ていうか、浦井戸さんはサボってていいんですか。また怒られますよ?」
「大丈夫っスよ~。自分、これでも風紀委員会のサボり魔を名乗ってるんで!サボるのがデフォみたいな?ていうか4747(シナシナ)ちゃんもサボりじゃないんスか?」
「4747号はヒナ委員長をお待ちしているんです!」
「あ、ごめんっス」
ヒナ委員長は、今日は早めに仕事を切り上げ、その後はシャーレの当番です。
4747号としてはそのまま体を休めて欲しいのですが、ヒナ委員長はシャーレの当番をいつもとても楽しみにしているので、とてもそんなことは言えません。
4747号にできるのはシャーレでお菓子とご飯を作って、ヒナ委員長がリラックスできる時間を作ることぐらいです。
「お詫びに今度デートと洒落込まないっスか?ちかくにいいシーシャの店があって……」
……実はこの人、とんでもない不良なのではないでしょうか?
「4747号」
「ヒナ委員長!」
「委員長お疲れ様っス~」
風紀委員会の部屋からヒナ委員長が出てきました。きっと今日のお仕事が終わったのでしょう。
「移動の準備は完了しています!いつでもシャーレに出発できますよ!」
「ありがとう」
行きましょう、とヒナ委員長が続けたそのとき――部屋の中から大声がしました。
すぐに扉が開いて、中からアコ行政官が飛び出してきました。
「すみません、今温s――」
バァン!と銃声がして、アコ行政官がひっくり返りました。
浦井戸さんがアコ行政官の額を撃っていました。
「――った!いきなり何を!」
……まぁアコ行政官は撃たれてもいいか別に。
「何が起こったか知らないっスけど、自分がヤっておくっスね」
「……わかった。お願い。それから、アコをあまりいじめないで」
「善処するっス~あ、4747ちゃんもデート楽しんでくださいっス」
「デートではありません!」
■
シャーレに到着すると、あたりはすっかり暗くなっていました。一方シャーレは不夜城の様に煌々としていました。
今日も日付が変わるぐらいまでは作業です。もしかしたらその後も続くかもしれません。
お夕飯の支度は、11号お姉ちゃんから既に始めていると連絡がありました。4747号も早く参戦しなければ。
今日のメニューはヒナ委員長の希望でカレーです。ちなみに11号お姉ちゃんのカレーはおいしいので量産型アリスの間で有名です。
ヒナ委員長は初めてとのことなので、今日はより一層頑張らないといけません。
喜んでくれるといいなぁ。
それでは、お料理クエスト、開始です!