龍と兎
いつものように私はアビドス上層部に呼び出されたが…何かがおかしい。私を待っていたのはヒナさんとハナコさん。一応私はホシノさん直属の部下ということになっている都合上、あの人抜きで2人から指示を受けるというのは珍しいのだが…
「来たわね、ミヤコ。簡潔に伝えるわ。
…我々アビドス高校は貴方を保護し続けることに対する戦略的価値はこれ以上ない、そう判断したわ」
「分かりやすく言うと『お前はクビだ!』ってことですね♡」
「なっ……」
急な宣告に頭がクラクラする。ハナコさんとヒナさんは机にコーヒーカップと拳銃を並べて告げた。
「ミヤコさんに許された選択は2つです♡この砂糖入りコーヒーを飲み干して私たちに改めて忠誠を誓うか…」
「あるいは、その屍をアビドスの砂漠で朽ちさせるか、ね」
「ど、どうして…どうしていきなりそんなことに」
「砂糖抜きの食糧輸入ルートの確保、結構大変なんですよね…流石にたった1人のためにこれを維持するのは割に合わないと言う判断です」
「ちょっと待ってください!今『たった1人』って…地下のあの子達はどうなるんですか!」
「対策委員会の子たちですか?あの子たちなら…私たちと同じ食事を食べてもらう手筈ですよ♡」
訳がわからない
「砂糖入りの食事をですか!?そんなことホシノさんが認める訳が…」
「小鳥遊ホシノさんなら、もうここには居ませんよ♡」
「えっ」
「アビドスを捨てて離反した…今頃はミレニアムにでも居るんじゃないかしら?」
「私たちが自由に動かせるお飾り会長だったことにようやく気づいたみたいですね♡」
訳がわからない、訳がわからない!ホシノさんが逃げ出した!?ホシノさんは傀儡!?一気に重要な情報を叩き込まれ判断が追いつきそうにない
「さあ、決断の時間よ、ミヤコ。砂糖を選ぶか…」
「死を選ぶか♡」
にこやかな顔で2人が迫ってくる。わからない、わからない、何もわからない!
「うわああああああ!」
私は叫びながら机の上の拳銃を手に取ると発砲、部屋から飛び出すといやに静かなアビドス校舎から走り出して行った…
「ふふ…逃げちゃいましたね、ミヤコちゃん♡」
「そうね。後は私と風紀委員で適当に追い回して、アビドスから出ていくように誘導しておくわ」
「よろしくお願いします♡」