黄金の朝のひととき
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「ふわぁ…あ…?いっけない眠っちゃった⁉︎」
移動するカジノの国グランテゾーロのホテルのリビングのソファで、ナミは目を覚ました。
時間は朝6時くらいで他の仲間達は、まだ周りの椅子や床のカーペットの上で眠っていた。自分を含め仲間のゾロを救出するために敵の裏をかく計画を夜遅くまで話し合いそのまま眠ってしまったようだ。最後の大仕掛けのためにルフィには知られないようにこの場にはいなかった。
「あいつは…確かベルメールさんとマキノさんに任せて…寝室かな?…まさかね…」
ナミが一抹の不安を覚えているとすでに起きていたロビンがリビングに入ってきた。
「あら、おはようナミ。」
「あ、おはようロビン!あの子は?」
ロビンに挨拶を返した後、ナミは二人がルフィの相手に集中しやすいようにロビンが預かった赤子のことを尋ねる。ロビンは昨夜、能力を使って分身を作戦会議に参加させながら別室で赤子の世話をしていた。
あのマキノさんが一児の母になったのは初めて知った時は驚いたものだ。
「ええ、良い子に寝てるわ。フフ、あの子ったら離乳食をたくさん食べた後もおっぱいに吸い付いてくるの。よっぽどおっぱいが好きなのね🎵」
「アハハ、将来大物になるわねぇアイツみたいに!」
ナミは笑いながら、昨夜、あの店の休憩室に預けられた赤子にあったことを思い出す。自分達やカリーナに抱っこされて可愛がられるたびにおっぱいに吸いついてくるのがとても愛おしく感じられた。
おっぱいを吸われて抱っこしながら顔を赤くして慌てるカリーナが見れたのは良い思い出になりそうだ。
「ナミ、ここは私がやっておくからあの三人を起こしに行ってて、コーヒー入れておくから。」
「うん分かった、濃いめでお願いね!」
そう言ってナミは三人がいる寝室に向かった。
「さて、もう起きてるかな…?ベル…」
…あんッ!ルフィったら…
ピクッ…
「…へ?」
ナミが寝室のドアノブに手をかけようとした時、扉の奥から嬌声が聞こえた気がして手の動きが止まった。
フフ…ここも硬くなっちゃって…男の子なんだねぇ…?
すごい…立派になって…
「な、な、なぁ…⁉︎」
恐る恐るドアに耳を当て聞き耳を立ててたナミは、部屋の中でナニが行われてるのか想像して顔から湯気を出して赤面する。
すごい甘えて…あの時以来ね…
あぁ…懐かしいねぇ…
「あの時…⁉︎」
ナミはアーロンから解放された後のココヤシ村でのことを思い出す。
村と自分と家族を救ってくれた幼馴染に、返しきれない恩に報いろうと未経験だったがこの身を捧げようとしたあの夜を…
「一緒に寝てあげる…」と言った私について来て部屋に入ったルフィはシャワーを浴び終えた緊張で震える私の裸体(タオルは巻いていたが)を見て優しく肩を抱きそのままベッドに押し倒し、思わず目を瞑った自分の胸に顔を埋め…
「久々だな〜ナミと寝るの!」
と、昔よくしていた添い寝をし出したのだった。
呆気に取られながら自分の胸に埋めるルフィの頭を撫でながら自分もパニックになってたと冷静さを取り戻し、顔を赤くしながら元の関係に戻れたことを心の中で喜び満足していた。それ以来、一味に正式加入した後はこうして週に一度お風呂に入れた後添い寝するのが楽しみであった。
なお、その際、ルフィがベルメールとマキノの二人と『寝た』ことを漏らし、後日ベルメールの知り合いのゲンさんと飲みつぶれていたベルメールは起きた途端目の前の怒りのオーラを纏ったナミに冷や汗をかきながら事の詳細を説明することになったのだった…
「ゆ、油断したぁ…⁉︎」
フフ、いっぱい甘えていいのよルフィ…?もう一人息子が出来たみたい…
アハハ、私の場合将来義理の息子になるかもだけど…先に手をつけるのも悪くないかも?なーんて…!
「か、勝手なことを二人ともぉ…というかルフィも…!ちょっと三人とも何を…!」
ナミは無意識の嫉妬と怒りが混じった顔でそのドアノブに手をかけようとした。
まだ気に病んでるのかしらエースのこと…
あぁ…大事な兄貴だったからな…
「え…?」
再びナミの手が止まった。
でも、前を向いてるのは昨日の様子で間違いないさ…!肩も腹筋もこんなに硬くなって強くなろうと頑張ってる証拠だよ…
ええ、2年前とは見違えるくらい立派になったわルフィ…支えてくれるナミちゃんと他にもいい友達がいっぱいできたのね…良かったわ…
「あ…⁉︎」
ここでナミは二人の会話の意味を理解した。
彼女達も頂上戦争後の兄を失ったルフィを心配していたのだ。自分たちは2年後に再開して冒険をしているが、二人は昨日まで再開することは出来てなかったのだから尚更だ。
自分もまだ子供ね…
紛らわしいことを…と思いながらナミは早とちりしそうになった自分を恥じ、気持ちは落ち着いた。
きっとルフィと再開してルフィも二人にいっぱい甘えさせてもらったのだろう。王都で出稼ぎから帰った後にご馳走を作ってくれたベルメールのことを思い出す。きっとその時と同じなのだろうとナミは思う。
「でも、アイツの寝相で驚いただろうな二人とも。フフッ!」
ナミは眠った後のルフィの甘えっぷりを思い出して無意識に胸に手を当てながら、ドアノブを回し部屋に入った。
「ベルメールさん。マキノさん。ルフィ!おは…よ…⁉︎」
ナミが見たのは、部屋の奥のベッドで横になっている三人だった。
案の定、三人で添い寝していたようで、ルフィは二人の間それぞれの胸に挟まれるように眠っていた。二人の胸には虫に刺されたような痕がいくつもあり、ルフィの例の癖に巻き込まれたのだと察する。未だにマキノの片方の乳に吸い付いてるルフィは後で張り倒すとして、少なくとも二人は服を着てるので一線は越えてないのは理解した。
問題は…
「ナ、ナミちゃん!これは…その…⁉︎」
「ありゃ〜見られちゃったか…!」
「二人とも…何よその格好…⁉︎」
二人があの店で着ていたバニーガールの格好だったことだ。
「こ、これはその…ひゃんッ⁉︎ちょっ…ルフィ…⁉︎」
「いやぁ、あんた達が旅立った後の村のこととか話してたらここに来た話になってね…?話してるうちにこの衣装の話になって…」
「もう!だから飲み過ぎだって言ったのに…んッ⁉︎私まで巻き込まれてこの格好に…ちょうどルフィも眠たくなってたみたいで一緒にベッドに…」
マキノは自分の胸に埋まりながら時々胸に刺激を感じながらベルメールに続いて説明する。ベルメールに巻き込まれる形であの衣装に着替えさせられルフィに見せたりしてここでのことを話していたら眠くなったルフィに二人まとめて抱きつかれてそのままベッドに押し倒され、そのまま眠ったルフィをあやしながらそのまま寝落ちしたのだ。
押し倒された時はドキドキしたし胸に吸いつかれた時はつい愛おしくなってしまったのは秘密だ。
「まぁそういうことさ!つまみ食いはしちゃいないから安心しなよナミ?」
「な、何言ってんのよ⁉︎こいつとはそういうわけじゃ…⁉︎というかその痕何大人しく吸われてるのよ⁉︎」
ナミは、ベルメールの言葉に顔を赤くしながら否定し胸にいくつもついた痕について指摘する。
「あぁこれねぇ…?随分昔より手慣れてると思ったらアンタとあの考古学者?ってやつ、二人で慣れさせたでしょ?右の胸元…痕ついてるわよ?」
「へッ⁉︎ウソッ⁉︎」
ナミは思わず自分の胸元を確認する。
「アッハッハッ!間抜けはいたようだね?アンタもシビアな世界に生きてるんだ。もっとクールになることを覚えなナミ。」
「な、なな…!」
ベルメールの引っかけに引っかかってしまったナミは、顔を赤くする。
「二人ともおちつ…あんッ⁉︎ルフィ…早く起きて…」
チュプ…ムニュウ…
「うぅ〜ん、んく…んく…ウメェな朝のミルク…むにゃむにゃ…」
「ちょッ⁉︎ルフィ…⁉︎」
その言葉にマキノは顔から湯気が出るほど赤面する。
「アンタはいい加減起きなさぁーい!」
ドゴォッ!
その後、朝食の用意をしていたロビンが見たものは、リビングに来て何が起きたのか分からず大きなタンコブを撫でている涙目で挨拶するルフィと顔を赤くして胸を押さえてるマキノ、「気にしすぎだよ?」と言いながら胸元をナミにしっかり留められるベルメール、やり場のない何かを発散するようにロビンに渡された濃いめのコーヒーを一気飲みするナミの姿であった。