黄泉がえり?
目が覚める。周りを見渡せば宇宙のような空間にいくつもの時計が浮かび、時を刻んでいた。
「……私は死んだのかしら」
コルヴァの……アルヴァの話を聞いて足元が崩れていく感覚がして……それで、沢山優しい言葉を貰って頑張ろうと思った瞬間、焼けるような痛みが襲ってきて……
「……っ」
「かえりたい?」
視界が滲みかけた時、ふと声が聞こえて顔を上げる。輝く白髪に金色の瞳……確か、初代観測者の
「あなたは」
「はいはい、私のことはどうでもいいの。かえりたい?」
再び同じ事を聞かれる。帰りたいとはどういうことだろう、還りたい?それとも帰りたい?どちらでもあまり変わらないかな、と考えているとくすくすと笑い声が聞こえてきた。ゆるりと目を見れば、まるで満月が潰されるかのように細められる。
「あなたは出血多量で死んだわよ、けど本当にそのままでいいの?」
楽しくはない話題で、にこにこと笑っているから真意は読み取れない。けれど、悪意ではないことだけはよくわかった。
つまるところ、覚悟を問われているのだろう。それなら答えは一つしかない。
「よくない、です。せめてけじめはつけたい。私がどんな結末を招いたかしっかりと見なければ」
「それで人の道から外れるとしても?」
何を今更。人であれなんであれ命は終わる。それを覆すということこそが人の道から外れる、でしょう。それをわかっているだろうに言わせるなんて意地悪ね。
「……ええ、死んだ時点で外れてるも同義ですから。それに後悔するならやってからがいいです。何もしないのは嫌だ」
「そ。じゃあ頑張りなさい」
願わくば、より良き未来を。そう聞こえると同時に視界が白く染まり、何か複雑な形をした物体が浮き上がってきた。
先程死んだはずの少女の手がぴくりと動く。流れた血が1箇所に集まり、その体を沈めていく。
全てが沈み、暫くした頃それは現れた。
「…………」
夜空色の髪に制服。全く同じ。
しかし、その瞳は彼女らの象徴の花、彼岸の花と同じ紅色に染まっていた。
「幽世魔法、肆の術ー」
教わったはずもない、聞いた事もない。それなのに彼女は魔法を発動していく。まるで、幼い頃から共にあった蝶のように。
「彼岸の舞」
驚きの声があちこちから上がるが少女はそれに返さずただ敵を見やった。途端、情報が頭に雪崩込んでくる。その膨大な情報に気を取られそうになりながらも、彼女は嗤った。
「ーーああ、そういうことだったのね」
彼岸花が舞い踊る中で紡がれたその声は誰の耳にも届かない。