黄昏が笑う時

黄昏が笑う時


作戦会議終盤


先代「……もし、全ての策、戦力が潰えた場合」

「私は《日輪》を抜く」


蘇我「…それって『自爆』するという事ですか?」

「駄目ですよ。そんなの」


張り詰める空気


先代「もしも、の場合だ」

「どの道泳者である以上狙われる身」

「残念ながら素の実力では宿儺には勝てん」

「ただ死ぬよりはその方が有益だ」

「確実に仕留める、とは断言出来ないが流石の宿儺も核爆発に無傷では済まないだろう」


蘇我「…宿儺は火山呪霊の『隕石』も凌ぎました」

先代「なので確実に『不意打ち』出来る距離でタイミングをはかる」

「…何度もいうがこれは『もしも』。私も積極的に死にたい訳じゃない。蘇我殿と五条殿が勝てば『杞憂』で済む」


日下部「…それでもリスクは大きい」

「アンタもそれでいいのか?」「この戦いに参加して」

先代「この世には命に変えてでも討ち取らねばならん者がいる」

虎杖(グッ)

先代「それに」

「かつては『死に方』を選べなかった身だ」

「それを今回は選べる」

「それだけで、上等過ぎるよ」


〝あの日は、良い日だった〟


先代「最後尾にて、私が全てを見届ける」


先代「作戦が次の段階になったら日車殿が私の生命線だな」

日車「やめてくれ。プレッシャーになる…」

鹿紫雲「…やっぱムカつく」

先代「おう。壮大に弾ける事を期待してるぞ」ムハハ

鹿紫雲「俺は『爆弾』じゃねぇ」アアン?

秤「ダァァ!!辞めろ老人共!!」


現在


日下部「アンタ何やってんだっ!!?」

先代「済まん!!」

「だが状況は変わった!」

「やはり核爆発で宿儺をやれるか分からん!そう思わせる『凄み』が奴にはある!」

「それよりも掴み取った『処刑人の剣』」

「御厨子がある以上誰かが日車を護衛し宿儺の所まで送り届ける必要がある!」

「その方が『確殺』と踏んだ!」

「…都合の良い事は起きないという事だ」

「しかし奴とてそれは同じ事」

「ここまで削った!五条殿が!鹿紫雲が!必ず綻びが現れる!!」


先代「日車ァ!!」

日車「!」

先代「人間性が弱さと言うなのなら、群れる事が弱さというのなら」

「我等はそれを持って勝利する。勝たねばならぬ!!!」


日車殿。時を越えて出会った友よ

戦乱の世に生まれ、弱者が擦り潰される世界で生きた私にとって貴殿の『信念』は眩かった


「たとえ信念から裏切られても、自身が信念を裏切ったと思ったとしても」

「それでも貴殿は間違ってなどいなかった」


先代「立てるか?」

日車「…ああ!」


蘇我殿直伝 落花の情 無形


蘇我自身の『落花の情』が半我流であること

修練期間の短さ故に未完成、マニュアル操作である事を術式により呪力を「垂れ流す」事で押し通す

形が無い 故に無形

因み実際の『無形』を全身に展開し、事前に対象を焼き払うという事も可能であるが

御厨子にはこちらが有効と先代は判断した


先代「『世界を断つ斬撃』には無意味だ」

「心許ない盾で済まんな」

(起爆分の呪力は保持し続けてある)

(私が死んだら1分後に『起爆』する縛りを課した)ボソボソ

日下部(!)

先代(死後強まるなんとやらだ)

(もしそうなればタイミングを図り全力で避難してくれ)

日下部(避難っつったて…)ボソボソ


先代(…)


〝あの日は、死ぬには良い日だった〟


暖かな日、穏やかな気候、美しい海


己が死期を悟り、死に場所として選んだ海に出た


死ぬ時は、1人と決めていた


小舟1つ、最後の晩餐(蜜柑)1つ、大海原のど真ん中


悔いはない

ただ、少しの寂しさと、海の冷たさを覚えている

これが前の私の最後の記憶


日車「…笑っているのか?」

先代「…いや」


雪降る日、曇り空の気候、荒廃した街


そして共に並ぶ仲間達


死ぬ時は、1人と思っていたんだ


悔いはない 上等過ぎる

縁起でもないから言わないが


虎杖と蘇我の攻撃を捌く宿儺

「作成会議は終わったか?」

「これ以上。拍子抜けはさせるなよ」


先代「あぁ」

「死にたくないな!」

日車&日下部「「全くだ」」


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