魅惑の短パン大佐
・
・
・
・
「い、いつまで、触ってる気ですか………?」
分厚い手のひらが、臙脂色のハーフパンツから覗く丸い膝小僧を撫で回していた。
「さあな。しかし、お前ェの脚はどこもかしこもツルッツルだなァ。おれの手に吸い付いてきやがる」
膝小僧を愛でていた手はゆっくりと移動して、ハーフパンツと太ももの隙間へと侵入していく。柔らかな内ももの皮膚を這う感触に、コビーは息を呑んだ。
エレジアから帰還中、疲労困憊状態の海軍艦隊を襲撃した黒ひげ海賊団の手によって、コビーはまんまと攫われ彼らの拠点であるハチノスへ連れ込まれた。
いつもならそのまま幹部たちに寄ってたかって嬲られ陵辱の限りを尽くされるのだが、いつものように奪い取ってきた獲物が、いつもとは異なる格好だったことに興が乗ったのか、黒ひげは早々にコビーを自室に連れ込んでさっきから健康的な脚を愛でている。見慣れぬ姿のコビーを、まずは自分だけで味わいたかったようだ。
悪戯な手がコビーの太腿を撫で上げ、じわじわと脚の付け根へと登っていく。その先に与えられる刺激を思い巡らせただけで、口内にじゅわっと涎が溢れてくる。久しぶりの逢瀬に、コビーは我慢が効かなくなりつつあった。
ついに待ち侘びていた箇所に触れる寸前、その手は止まってしまった。
「……ぁっ!」
「なんだ。期待してやがったのか」
黒ひげの手はハーフパンツから出て行って、再びつるりとした膝小僧を弄り回している。
「い、じわる、……しないでくださぃ……」
コビーの反応に、黒ひげは気をよくしたように口元をにやりと吊り上げた。
身体の中心がじんじんと切なく疼いて、自然と太ももを擦り合わせていた。……早く、彼が与えてくれる快楽が欲しい。
「ティーチ、おねがい……」
涙で潤んだ目で黒ひげを見上げると、両脇の下を持ち上げられ膝の上に乗せられた。ハーフパンツを押し上げる昂りに、男の手が伸びる。
ああ、ようやく触ってもらえる。そう思った矢先、黒ひげはコビーの青い半袖シャツの袖に太い指を差し込んだ。
「ひっ!?ひゃ、あはははッ!や、やめっ、ティーチやめて……、ひゃはははっ!!」
いきなり両脇をくすぐられて、コビーは思わず子供みたいに声を上げて笑い転げた。だが、脇を通り越してするすると侵入してきた指が胸の突起に触れたことで、くすぐったさは瞬時に快感へと変わった。
「ぁんっ!」
「……いけねェな、この服は。どこもかしこも隙だらけじゃねェか」
指で直接両乳首をぐりぐりと刺激され、背筋がぞくぞくと戦慄く。大きな指の腹でぐにっと押しつぶされ、ぴんっと弾かれると、甲高い甘え声コビーの口から上がった。
「ひっ、あ……♡ぁあ、ん♡……ん、んぅ、くっ♡♡」
「こんな隙だらけの格好を大勢に晒して歩き回ってたのか、ええ?」
「や、ぁ……ん♡そんなこと、っあ、はぁ……♡♡ぁ、あ、あっ♡」
「こぉんな薄いシャツででけェ乳首おっ立てやがって。とんだ好きものなァ、コビー」
「ち、ちがっ、ぁ、んんっ♡ちがう、って………!」
隙だらけなどと言われても、正直困る。そもそも、こんななんの変哲もない容姿をした己に欲望を抱く輩など、彼らくらいなものなのに。胸から全身に伝播する鋭い快感に悶えながらも、コビーは密かに男の物言いをおかしく思っていた。
恋人の不貞を詰るような言い方に反して、彼の手つきはひどく優しい。どこまでも優しく、コビーを快楽の極みに押し上げていく。
「あっ、あ、んあっ♡……………っぁ♡♡」
全身に燻った快感が最高潮に達し、コビーはつま先をぴんと突っ張って乳首だけで絶頂を極めた。大きく息を荒げながら、目を閉じてその余韻に浸る。下着の中に、粘ついた湿り気がじんわりと広がっていくのを感じていた。
胸を刺激していた指が、コビーの顎をついっと掬い上げる。きっと、彼には物欲しげな顔に映っているのだろう。
「てぃーち、すき…………♡」
「………………………………………」
唇が重なる直前、殆ど吐息のように漏れた囁きに、男は微かに目を見張った。
コビーの鋭い耳はちゃんと拾い上げていた。彼の皮膚の下でとくんっ、と大きく心臓が脈打つ音を。
「ふえ……?え、うわあぁっ!?」
次の瞬間、乱暴にベッドに押し倒されて服を豪快に破り捨てられた。プレゼントの包装紙を剥ぐように、ハーフパンツや下着もびりびりと剥ぎ取られ無惨な布切れと化し、たちまちのうちにコビーが身につけているのは白ハイソックスだけになってしまう。
「な、な、な、なにするんですかっ!?」
「いい格好じゃねェか。お似合いだぜ、コビー」
「は、はぁ〜!?」
この男の前で肌を晒すなど今更なのだが、靴下だけを履いている状態だとなぜだか裸よりも恥ずかしい。羞恥に顔を赤らめて、コビーはのしかかってくる巨大に食ってかかる。
「ちょっと、僕の服どうしてくれるんですか!まさかこの格好で帰れってんじゃないでしょうね!?」
「おれの服貸してやるからそれ着て帰りゃあいいだろ」
「サイズが全然違うじゃないですか!…………ん、んぅ♡」
ぎゃあぎゃあ喚き立てる口を荒々しく塞がれるだけで、なけなしの反抗心は消え失せ、されるがままに蕩かされてしまう。
「は、ぁ……♡やっ……!やだ、さ、さっきみたいに、やさしくがいいです……」
「それはお前ェの心掛け次第だな」
そう言って、男は獰猛な笑みを見せた。腰に押し付けられた臨戦状態の剛直に、コビーはやれやれと目を閉じる。どうやら、優しくして欲しいという望みは叶いそうもないらしい。
観念して、コビーは白い靴下に包まれた両脚を黒ひげの腰に絡ませるのだった。