館を守る守護騎士達
「……い……おい……、おい!……聞いてんのかよ、そろそろ時間だぞ。」
「あっ……ごめんごめん、少し考え事してたんだ。もうそんな時間なのか……!んじゃ、ボク達も戻ろうか。」
「ったく……オメーがボーッとするなんて、らしくねぇじゃん。」
ボク達はかつて、今は亡き某国で守護騎士をしていた。ボク達は国で最強と名高く、特にコンビでは負け無しだった。阿吽の呼吸で敵を倒し、一時期は戦場でその名を知らない者はいないと言われるまでにその名を轟かせた。かつての大戦役の時には、多くの騎士を率いて、国を護る為に戦い抜いた事だってある。因みに、それがボク達とご主人様との初めての出会いなんだよね。
しかし……そんな栄光は、呆気なく崩れ去った。
ある日、ボク達は遠征任務へと征く事となった。守護騎士という役職に沿わない、不似合いな任務。その違和感を感じた時点で、ボク達は提言したけれど、受け入れてもらえなかった。その違和感は、正しかった。
ボク達が国を離れた数日後、国でクーデターが起こった……。その知らせがボクらの耳に入ったと同時に、ボクら2人は大急ぎで踵を返した。
ボク達が国に戻った時には、国は亡くなっていた……。信じていたもの、守り抜いてきたもの、全てが……消えた。
帰る場所を失い、騎士団は散り散りになってしまった。一帯には新政府による懸賞がかけられ、特に名の知れたボクら2人も例外では無い。ボクらには帰る当てがなかった……。
彷徨っているうちに、誰も寄りつかない様な暗い山奥にあった朽ち果てた小屋を見つけ、そこで雨風を凌ぐことにした。心が擦り減っていたボク達は、持っていた食料も……数十日しか持たせることが出来なかった。
「なぁ、こんな状態でいても、オレ達いつか限界が来ちまうぞ……!
背に腹は変えられねぇ……山賊になるしかねぇ……!」
相方が信じられない事を言う。ボクらは騎士だ。そんな外道に身を落とすことなんて、出来るはずがない!
「冗談でもそんなこと言わないでくれ!ボク達は騎士だぞ!?人の物を奪うなんて、騎士として、それ以前に人として道を外れる事になるぞ!」
「んなこたぁ分かってんだよ!!……けどオレらにはもう……何もねぇんだ……!こうしねぇと……生きていけねぇよ……!」
「ッ………!!!」
彼女の苛立ちの裏にも、葛藤があったんだ。そんな気持ちもわかってやれず、怒鳴ってしまった自分に、相方は、身を落とす行為でしか生きる選択が出来なかった自身に、それぞれ悔しさと哀しさを感じ、ボクらはその夜……ただ泣くことしかできなかった。
そしてボクらは遠国に続く山道にて待ち伏せし、そこを通るものから金品や食料を強奪する事にした。
──しかしここで誤算が起きた。最初に襲撃したのが、まさか今のご主人様だったなんて……。
ボクらは襲撃したところで、相手の正体がかつて共に戦った男だという事に驚き、そこに生じた隙を他の女の子の魔法などで拘束された。
驚いていたのはご主人様も同様だった。かつて共闘した守護騎士コンビが野盗にまで身を落とした、その理由を問い詰める。ボクらはその全てを話した……。きっと失望されるだろうな……。そう思っていると、彼は優しく
「だったらうちに来ませんか?貴女達の様な女の子を……悪人にしたくありませんから……!それに、貴女達守護騎士なら、館の女の子達を護って貰えるでしょうし。」
それを聞いたとき、ボク達は嬉しくて、2人とも声をあげて……泣いた。ご主人様が守護騎士としてのボク達を尊んでくれた事、そして今襲ってきた存在である筈のボク達の身を案じてくれていた事が、とても嬉しかったから……!
それから今はこうして、ハーレムの館を守る門番として、ご主人様を、そして女の子達の安全を護っている。門番以外にも、女の子達の護衛だったり、やる事は色々ある。
最近は後進の育成も行なっていて、志願してくれた女の子達に、ボクら2人が稽古を付けて、ボクらと一緒に門番を務められるように育てている。みんな飲み込みがいい娘達ばかりで、メキメキと力をつけている。嬉しいことだね。
最近ボク達は色んな事を始めた。武器しか握っていなかった自分達が、他にも出来ることを探してみたかったから……。例えば料理を得意な女の子達から教わったりした。その中でも特に、いつかに子連れで転がり込んできた親子のお母さんにはお世話になっている。彼女の料理はとても温かみを感じる、家庭の味……ってやつなのかな?コンビの内片方が娘さんと遊んで、もう片方が料理を教わる。少しずつでも、美味しい料理を作れる様に、頑張っていきたい。……あの日大雨に打たれながら、藁にもすがる様な必死な顔で館に訪れたあの日から、2人ともとても明るい顔をする様になった。それだけでボクは嬉しかった。
……そして今日は、待ちに待ったボク達が可愛がってもらえる日……♡
「ご主人様……♡ボク達もう、我慢出来ないよ……!」
「オレ達にご褒美……くれるだろ♡?」
普段の鎧を脱ぎ捨て、身体の殆どを露出させた衣装で、ボクらはご主人様を誘惑する。古傷だらけの痛々しい身体……。
そんな身体でも、ご主人様は他の女の子と同じ様に、ボク達を愛してくれる。こんなにも嬉しい事なんて……他にあるわけないじゃないか……♡
「じゃあ……ボクからでいいね……?それじゃぁ……んっ……♡」
いよいよボクがご主人様と交わろうとした、その時、
「わっ……わわわっ……!」
「ッ!?」
「なんだ侵入者か?!」
不意に扉が勢いよく開き、倒れ込んできた女の子2人にボク達はすぐさま壁にかけてある武器に手を伸ばすけれど……
「わわわわ待ってください!ごめんなさい!つい覗いちゃってました〜!」
「師匠達がご主人様としてるところ……とても綺麗で……つい……!」
なんとその正体はボク達が稽古を付けている弟子の女の子達だった。顔を赤らめながら下半身を露出している。恐らく扉の向こう側で覗きながら……といったところかな……。全く可愛い子達だよ……。
ボクら2人は吹き出しそうになりながら小さく笑うと、ご主人様に視線を送る。ご主人様は優しい笑顔で微笑むと、ボクらは2人を部屋に招き入れた。
「さあ……君達も一緒に楽しもうか……ボク達お師匠の逢瀬を覗き見だなんて、いけない弟子だね……♡」
「こりゃ……オレ達とご主人様からキツ〜くお灸を据えてやんねぇとな〜……♡」
「は……はわ……わ……そんなぁ……♡」
「あっ……♡あああ……♡」
ボク達が耳元でそれぞれ囁いてあげると、2人は顔を蕩けさせながら震え始める……。
夜は、まだまだ始まったばかり。ボク達の第2の人生も……これからだね……。