風切羽根は切れていた

風切羽根は切れていた


「〜~~~ッ!ハアッハアッ」

悪夢を見て目が覚める。汗もたくさん出ていて気持ち悪かったが、そんなことを気にせずに自分にカームをかけてから叫ぶ。誰にも迷惑はかけたくなかった

「・・・・!〜~~~!」

この悪夢は記憶を思い出してから毎日のように見ているが慣れるどころかますますおれの首を絞めていく。ごめんなさい。ごめんなさい。ガリガリと首を引っ掻くが、首に巻かれた包帯に阻まれてしまった


記憶を思い出したあの日、おれはドレスローザの人たちに土下座をしながら謝ることしか出来なかったおれを許してくれた。貴方はドフラミンゴに洗脳されていただけで何も悪いことをしていないのだからと。あぁ、そうだ。何もしていない。苦しんでいる人がたくさんいることもどうやってドレスローザを手に入れたかも知っていたのに何もせずにのうのうと暮らしていた!ずっとずっと苦しんでいたはずなのに、恨み言を言われて石を投げられても文句は言えないのに、おれには一切何もしてくれなかった。それがいっそうおれの首を絞めてきた

その後センゴクさんにも会って話をしたがけれどセンゴクさんは命令違反をしてしまった親不孝者のおれを見ても無事で良かったと抱き締められて泣いてくれた。ローもずっと嘘をつき続けていたおれのことを大好きだと言ってくれて嬉しかった。嬉しかったけど、おれはお前にそんな言葉を言われるほどできた人間しゃないのに。そうこうしているうちにセンゴクさんとローで話がつくいたらしく、おれはローの船に乗ることになっていた。


ローの船に乗った時だってローの船の子たちはいきなり船長の恩人だというやつが現れても歓迎してくれた。程なくしておれはPTSDを患ったらしく治療が開始された。

治療して多少良くなっても悪夢は消えてくれなかった。この悪夢は一生付きまとうだろうなということを思っていたから気にしていなかたっが、ローたちにとってはそうじゃないらしい。根気よく治療をしてくれていた。それが嬉しく感じている自分がいた。でも、それが良くなかったんだきっと

今日たまたま聞いてしまったんだ。ペンギンくんとローが話しているところを

「キャプテン、1回休みましょう」

「いやだ」

「でもこのままじゃ倒れてしまいますよ」

「平気だ」

「ロシナンテさんも倒れたら心配しますから」

「さっきから大丈夫だっていっているだろ!」

「あんたが倒れたら意味無いでしょうが!」

「コラさんが苦しんでいる所をもう見たくないんだよ!」

ずっとその後も何か言い争っていたけれど気づかれる前に離れたから知らない。でもこれで分かったことがある。おれはローの枷になっている。ローもクルーたちも最近は疲れが見え始めていた、それも時々パニックになってしまうおれを止めるために夜遅くまで起きていたりするからだ。ずっとずっと悪夢がおれの首を絞めてくる。おれが兄上と幸せに暮らしていた13年間が夢に出てくるんだ。ローが言う通りに治そうと頑張ったんだ。でも、もう、限界だ。


死んでしまおう


見回りをしているクルーたちを避けながら船を降り、見晴らしのいい崖まで来てこっそりと拝借した銃をこめかみに当てる。ローたちは大丈夫。要らないだろうけど遺書を残してから来た。ローとセンゴクさんに謝罪を。おれのことなんか忘れてくださいと書いた。誰も覚えていないのは悲しいけれど、きっと忘れた方が幸せになれると思ったから

カームはかけっぱなしだから音は出ない。ローに見つからずに死ねる。それでいい。


ロー、センゴクさん、兄上


「あいしてる」

どうかたくさんの幸せを



体がぐらりと音もなく傾いてドサッと音を立てて倒れた

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