領域展開
「ありがとう真人、お前のお陰で俺は、本当の俺の呪力の核心を掴んだ」
──今の俺なら、出来るよな。
『領域展開』
領域展開、呪術の奥義の一つ、生得領域を外の世界に持ち出し結界を構築し外と中を分断し中の空間に術式を付与する高等技術、術式の内容によってはそのまま必殺へと昇華される代物。
──虎杖悠仁に生得術式は存在しない。
しかし虎杖悠仁は数々の呪物を取り込んでいる、それにより引き起こされた一種のイレギュラー、虎杖悠仁の中には多重の生得領域が展開されており、それら全てを含めて虎杖悠仁の生得領域と化している。
虎杖悠仁の領域には──必中必殺は愚か、なんの術式も付与されていない、ただ相手を閉じ込める為だけの領域、通常それではなんの意味を持たないが、事彼に限っては例外となる、虎杖悠仁の生得領域を外に現像すると言う事は中にいる住民が顕現する事を意味する。
必中必殺、そして術者自身への環境効果すらも省いた事により虎杖悠仁の領域展開速度、強度、押し合いの強さは他の領域と一線を越える。
即ち虎杖悠仁の領域は──何者にも押し返す事はできない。
「──まぁなんだ、精々楽しめよ真人、中の兄ちゃん姉ちゃんはお前の事に興味津々だからさ」
「ま、待──」
あくまでこの領域に虎杖悠仁自身の術式や環境効果が付与されていないだけで中から飛び出して来た住民に対してはそうではない、即ち真人は──。
(この過去の猛者達を相手に‼︎魂を知覚するコイツらを相手にしなくてはならない‼︎)
「皮肉な事だな、俺と戦って領域を展開できるようになったのに俺と戦ったから領域で負けるなんて、でもまぁ因果応報、自業自得、それがお前の選んだ道だろ真人、呪術師に後悔のない死は存在しないらしいけどお前ら呪霊はどうなのかな、今度また会えたら教えてくれよ、覚えてたらの話だけど」
人が人を憎み人への負の感情から生まれた呪霊は己の好奇心によって死に絶える──筈だった。
『領域展開──胎蔵遍野』
虎杖悠仁の領域の結界は通常中から破壊する事はできない──中からは。
領域の結界は、外からの攻撃に弱い、如何に頑丈な結界であろうと、虎杖悠仁の領域であろうと、これは例外ではない。
「ウガァ‼︎ゲホッ‼︎ゴホッ‼︎ウグ…ァ、げ夏油‼︎」
「死にかけじゃん真人、助けてあげようか」