頂上戦争inアド5
赤犬に追い詰められ、絶体絶命の状況からマルコに助けられたアド。
スクアードが長年抱えていたロジャーに対する恨み。それを利用して海軍がスクアードを唆し、白ひげを亡きものにしようとしていることを伝えた。
「スクアードの奴、口車に乗せられやがって…!」
マルコはアドを背中に乗せたまま、白ひげの元に急ぐ。
モビー・ディック号に立つ白ひげとスクアードが見えた。
そしてスクアードが鞘から刀を抜いた。
「クソ…間に合わねぇ!」
「マルコさん、私を投げて!」
「だがその体じゃ―――」
「いいから早く!お願いします!」
「…わかったよい!」
投げられたアドは、弾丸の如き速さで白ひげに突き立てられようとしている刃を目指して急降下した。
■
スクアードは鞘から刀を抜き、白ひげを刺す覚悟を決めたが…ふと、上空からヒューという風切り音がした。
(…なんだ?)
見上げた刹那、音より速く懐に飛び込んだアドによって、刀剣が手から弾き飛ばされた。
「テメェ…邪魔すんじゃねぇ!」
「間に合っ、た…。」
アドは息を切らしてその場に倒れ込んでしまった。追い付いたマルコがそれを介抱する。
「スクアード…これはどういうことだ?」
「白ひげ…これは全部茶番なんだろ!?」
スクアードは、赤犬から聞いた話し…
傘下の海賊団の船長43人の首と引き換えにエースと白ひげ海賊団は助かるとセンゴクと話しがついていること
ロジャーと因縁のある自分にエースの出自を隠していたこと
…を叫ぶ。
その背後では、傘下の海賊達がパシフィスタによって攻撃されていた。嘘だと言ってくれオヤジという言葉が聞こえてくる。
「テメェ、担がれやがったな!」
「待って、マルコさん。」
フラフラと立ち上がったアドは、腰のホルスターに差している二丁の拳銃と、肩に掛けているライフルを投げ捨てた。
「お前なにやって――――」
「スクアードさんが憎いのは、ロジャーと、ロジャー海賊団にいた私の父…ですよね?なら、私を斬ってください…。」
そう言ったアドはスクアードに刀剣を渡した。
「…いいんだな?」
「私は赤髪の娘、その事実からは逃げません。これでスクアードさんの気持ちが晴れるなら…これでエース君に恨みが向かなくなるなら…。」
スクアードは無言で刀剣を構えた。
だが、エース君はロジャーじゃない、私もお父さんとは違う人間だというアドの言葉が脳裏に響いたスクアードは、声にならない叫び声を上げながらその場に刀剣を突き立てた。
様子を見守っていた白ひげがスクアードを抱きしめる。
「クソォ、俺は…!!!」
「お前がどれ程ロジャーを恨んでいるか、それは痛いほど知ってらァ…だが、親の罪を子供に晴らすなんて滑稽だ、エースがお前に何をした?」
「…!!!」
「エースだけが特別じゃねぇ…みんな俺の、家族だぜ。」
スクアードは泣き崩れる。
「俺のバカ息子が、随分苦労をかけちまったな。ありがとうよ。」
「いいんです。私は、私に出来ることをしただけですから…。」
アドの活躍によって海軍の策略は防がれた。だが。
ドン
一発の銃声と共に、白ひげの胸から血が流れ落ちた。