非公式クラーケン
>>718の続き。
足を怪我したと騙し、近付いて覗き込む少年に絡みつく場面から
>>720
>>723
少年を拘束した少女は、でも心情と行動は裏腹で。
自身の代名詞でもある触手だけど、決してニンゲン全員に好かれるものではありません。
一度目にし、さらに一度は騙されても。
それでも手を差し伸べてくれた少年の、その優しさが嬉しかったのです。
はじめてだったのです。
なんとか抜け出せないかともがく少年に顔を寄せ、
きっと睨んでくる瞳に、二度もだましてごめんね。と謝りながら。
「ちゅ♡」
「?!」
自然とくちづけを捧げてしまいました。
「お、おまえ?!」
少年にとっては今日何度目かのキス。だけど。
愛玩のようなものでも、暴力のような貪るものでもなく、
ただただ、好意を伝えるそれは経験がなくて。
「ちゅっ♡ ちゅっ♡
……ありがとう、あたしを助けに来てくれて♡
君が来てくれて、あたし、とっても嬉しいの♡」
そう語り、彼女は舌でこちらの唇をつついてくる。
受け入れて、と。
「♡」
それを、かわいいと。思ってしまった不覚。
何の抵抗もなく口内に侵入した舌は、触手と同じく優しく少年のそれに絡む。
舌同士が吸い付きあい、まるで口の中でも二重にキスしているような。
巻き付く触手に、もはや力が入っていないことにも気付けず。
どちらがどちらに行ったものなのか不透明になるほど、
幾度も幾度も、互いに交えあった。