青天の霹靂
その日は特に代わり映えのない日だった。いつもと同じくヘルメット団として雇われて戦闘活動をしていただけ。戦闘する相手も特に要注意人物はおらず、規模としても少なめ。大した苦難もなくお金の分の仕事は終了する筈だった。
「よしいけ!」
リーダーの合図で町中に突入し銃撃戦を開始した時だ。こちらか向こうの銃弾が近隣の店舗に撃ち込まれた。多くの場合、巻き込まれた近隣住民などは銃撃戦を避けるために隠れて出てこない。だが、その日は違った。煙る店内からマズルフラッシュの光が見えた瞬間、近くにいた双方の人員10人近くがぶっ倒れた。
「は?」
突然のことに敵も味方も混乱する中、店舗の中から5人の人影が現れる。
「ヘルメット団確認。あっちはPMCかしら。抗争中って所ね」
「おい、これは正当防衛ってことで良いよな?」
「まぁ、こっちは巻き込まれただけだしね~」
「あ~あ、服が汚れちゃったよもう…」
「洗えば落ちる程度だろう」
ゾクッと悪寒が走った。あの五人とは面識はない。だというのに、指一本動かしただけで殺されてしまいそうな圧力があった。その手にある火器の銃口が向けられる。
その先はあっという間だった。五人はとんでもない速度で突っ込んできて銃弾を撃ちまくり、周辺に展開していた部隊を制圧してしまった。かくいう私も至近距離で銃弾をぶち込まれて動けなくなった。ありえない。腐っても生徒同士だ、これ程の戦闘技術の差があるなんて。
「まぁ、あたしらを巻き込んだのが運の尽きだ」
半ば放心状態の私の耳に聞こえたのは、そんな声だった。