雨の魔女トネリコ編1
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どこまでも穏やかで静かに降る雨のような気風の、けれども少し耳年増な文学少女、トネリコ。しかしてその正体は怪異を祓う魔女の血族、その次期当主だった。
トネリコは自らの魔術を更に磨くため、家族や仲の良かった従姉妹の元を離れて祖国から日本のとある学園へと留学に来ていた。
アヴァロン女学院。有名なミッション系の名門校にしてその地に流れる霊脈の要地である。そこの理事長を勤める女性は霊脈の守護者でもあり、多くの若き怪異祓いを学生として受け入れ、育て、送り出していた。
そんな若き怪異祓いの一人であるトネリコは大学生としてアヴァロン学園に通い、時に趣味の読者を楽しみながら、怪異祓いの雨の魔女として時々舞い込んでくる怪異絡みの依頼を解決していた。
学園が初夏の長期休暇に入る少し前、そんな彼女の元にまたひとつの依頼が舞い込んで来る。それは最近現れるようになった強力な蟲型怪異の調査依頼だった。
「ふむ、黒と水色の体色をした様々な種類の蟲型怪異ですか…。それも退魔の魔術に対して強い耐性を持っている、と…」
理事長に手渡された依頼書に記された情報を読みながら思案する。怪異に対して抜群の効果を発揮する退魔魔術。それに耐えうる怪異となると確かに並の怪異祓いには荷が重いだろう。
「わかりました。長期休暇のうちに調査してみますね。」
「すみません、トネリコさん。本来、我が学園の生徒であるあなたにこういったことを依頼するのは問題があるかと思いますが…」
「気にしないでください理事長。学生ではありますが、こういった調査も私の魔女としての役目でもありますから。」
「ありがとうございます。どうか無理だけはしないように…」
「はい」
それでは、と理事長に頭を下げてトネリコは理事長室を後にした。少し忙しいゴールデンウィークになりそうだ、とトネリコは帰路に付きながら考えていた。
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怪異祓いの雨の魔女トネリコ。彼女の趣味は読書である。ミステリー、恋愛もの、ファンタジー、復讐譚と種類を問わず様々な本に手を伸ばしていて、それはクラスメイト達にもよく知られていた。
ただ、誰にも漏らしていない彼女の最も好きなジャンルは…
「はぁ……はっ、んぁっ…はぁ……」
いわゆる官能小説と呼ばれるジャンル、それも怪異の手に掛かる女を描く異種姦ものが一番の好みだった。
もともと耳年増のきらいがあったトネリコだが、美しくも悍ましく淫靡なる怪奇譚を紡ぎし天才小説家として世に広く知られる小説家である紫式部のある作品を読んで以来、それは更に悪化しついつい紫式部の他の作品に手を伸ばしては自らの股に手を伸ばし、何度も一人で''愉しんで''いた。
紙派のトネリコが普段使わないタブレットで電子書籍のページを捲りながらもう片方の手を使い自らの秘部をくちゅくちゅと浅ましく掻き回してしまう。
(ああ、すごい…そんなことまで……)
トネリコが荒い吐息が漏らす中、文章の向こうで退魔師の女が蟲型怪異に身体を犯されている。
胎内に潜り込んだ蟲が子宮と卵巣にみっちりと卵を産み付けた。やがて卵は一斉に孵化し子宮中をぐちゃぐちゃに責め立てて女に絶頂を強制的に与えながら出産された。さらに女の卵巣に産み付けられた卵と女の卵子が結び付き、混ざりあって産まれた女のものと同じ霊力を保有した幼体の存在に気づいた女は全てを察し、ほの暗い悦楽の底に堕ちていく、という所謂バッドエンドの話だった。
(もし…私がこんなふうにされっちゃったら、どうなっちゃうのかな…)
そしてトネリコも文章の女に己を投影し、内に秘めた危険な被虐願望を火種にしてさらに自慰が激しくなる。ぐちゅぐちゅと先程より粘りの増した音がトネリコの興奮度合いを雄弁に物語っていた。
「あっんんっいっいいっイくっイくっイッちゃ……んんんんんんっ!!」
やがて絶頂に至ったトネリコはビクビクと自らもたらした快感に身を震わせた。
「は、はぁ…はぁ……また、やっちゃった………」
そしてその後に残されたのは絶頂の余韻と濁った愛液に濡れた秘部、そして自らが抱いた被虐願望とこういった自慰を止められない自分に対する少しの自己嫌悪だった。
「…片付て、シャワー浴びなきゃ。」
頭に残る悦楽の余韻と煩悩を洗い流すため、トネリコは掃除と換気を済ませ浴室に向かう。
明日からはゴールデンウィーク、依頼された怪異調査のための準備もしなくてはならない。
シャワーを終え寝間着に着替えたトネリコら必要な魔道具のリストアップをし、杖と魔導書のメンテナンスを怪異祓いとしての自分に切り替えた。これで明日すぐにでも調査に出られるだろう。が、壁掛け時計は午前3時付近を指していた。流石にこんな時間まで夜更かししていてはダメ人間みたいだな、と少し苦笑いを漏らしながら就寝の準備をする。
(いや、あんなオナニーしてる時点であやしいかな…)
一瞬自己嫌悪が再燃したがすぐに落ち着かせ、ベッドに潜り込む。
「私ももっと頑張らなくちゃね、アルトリア…」
祖国にいる仲の良かった従妹を想いながらトネリコは眠りについた。
続
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