雨の日ってなんか気分上がるよね
カタカタカタカタ……
「先生、資料ここにおいとくよ」
"うん、ありがとうカヨコ"
「コーヒー、新しいの淹れてくるね」
そう言って彼女は空のマグカップを持っていく
今日の当番はカヨコだった、彼女はいつも周りに目を配り、サポートしてくれる おかげで仕事がスムーズに進む
「はい、コーヒー…にしても、凄い仕事量だね…なにかできることはある?」
隣に座り、彼女が言う
"あはは…まぁコレに関しては慣れだからねぇ……"
そう、スムーズに進みこそするが、終わりはしないのだ
リンちゃんの鬼……
「はぁ……そんなのに慣れないで…その書類なら私でもできるから、貸して」
"ありがとう…ごめんね付き合わせちゃって"
「いいよ、これが当番の仕事だし」
そう言う彼女の横顔は、自身と周りの評価と違い、とても綺麗だった
しばらく仕事をこなした後
「あ、もうこんな時間…帰らないと」
そう彼女が口を開き、ふと時計を見ると6時すぎをさしていた
"ああ…そうかお疲れ様、こんな時間だし送るよ、 そうだ、便利屋のみんなはもうご飯食べた?"
「まだだと思うけど……」
"じゃあまたお弁当でも買ってあげるよ"
前見た時は雑草食べてたし…先生として、生徒には極力そんなことはしてほしくない
「ありがとう…正直助かる……ハルカがまた過労で倒れそうだったし…」
"カヨコも大変だね……じゃあ早速行こうか"
───「ありがとうございましたー」
人数分の弁当を買い、便利屋の事務所に向かう
「あ、雨……」
外はパラパラと雨が降っていた
"どれどれ、天気予報は……あー…これから強くなるみたいだ、急ごうか"
幸いここから事務所は近い、なんとかなるか……そう思っていたが
───便利屋事務所
ガチャ 「ただいま……」
「あらカヨコ、おかえり…って、びしょ濡れじゃない!それに先生まで!」
"はは……"
「あちゃー外の雨にあたっちゃった?」
「あああ……カヨコ課長、先生…すぐにタオルをお持ちします!!」
甘かった…思ったより早く雨が強くなってこのとおりだ……
ひとまずハルカの持ってきたタオルで体を拭き、ソファに腰を掛ける
"ふぅ、ありがとう……そうだ、はいこれ"
私は買ってきた弁当を机に置く
「お弁当…いつも悪いわね……」
"いいんだよ、最近頑張ってるみたいだし、困ったらいつでも言ってね? 生徒に飢えて欲しくはないから……"
「くふふ、雑草も結構おいしいよ?」
"頼むからちゃんとしたの食べてよ……はいハルカ、ハルカの好きなやつだよ"
「あ、ありがとうございます!私なんかのために…」
「まぁ、まず温めないとね、雨もあって冷めちゃったし」
その後、温め直した弁当をみんなで食べながら依頼の話などを聞いていた
「〜〜して、そこで私が狙撃を決めたのよ!」
"ふふ、凄いね"
誇らしげなアルが語る、そんな時間はあっという間に過ぎ、
シャーレに戻ろうとする頃には、雨は弱まっていた
"じゃあみんな、またね"
「ええ先生、また!」
「じゃあねー」
「うん、またね」
「はっはい、また…」
便利屋のみんなに見送られ、私は歩きだした
細い針のよう、それでいて冷たく、優しい雨が私の身体を打っていた