雛鳥の目覚め

雛鳥の目覚め


ジリリリリ ジリリガチャ


「……はぁ」


今日も一日が始まった


「今日は少し余裕があるわね……」


「朝ごはんは食パン……そうだ、先生に教えてもらったのを試してみよう」


まずは取り出した食パンに切れ目を入れる


そして予め熱したトースターにパンを入れ一気に高温で焼く


その間に顔を洗い、身支度を済ませる


チーン


小気味よい音を鳴らし、トースターが止まる


「よし…ええとバターは……」


焼けたパンに急いでバターを塗る、先ほど入れた切れ目にバターが染み込み、       

キラキラと焼き色が輝く


この時点で十分美味しそう……でもまだ我慢…


そうしてバターを塗ったパンを、もう一度トースターに入れ、先程より短めに焼く


チキチキ…チキチキ…


一秒一秒がすごく長く感じる


「……まだかな」


チーン


「!!」サッ


やっと焼けた食パンをトースターから取り出すと、染み込んだバターは加熱によって

香りが際立っておりとても美味しそう、というか絶対に美味しい


そしてこのトーストにもう一度バターを塗り、紙ナプキンを敷いた皿にのせる


やっと完成だ、二度焼きトースト!


「いただきます」


そうて一口かじった瞬間、


「っ!!!」


強いバターの風味が口の中でいっぱいになる、しかも

焼いたことによってコクとまろやかさも強まっている


その上、焼いた後にもう一度バターを塗ったことでフレッシュな香りも楽しめる……


バターの染み込んだ真ん中の部分は香り高いバターがしっとり染み込んでいた


「〜〜〜〜♡」


まさに幸せ、といった気分だった


焼き方次第でいつものバタートーストがこんなにジューシーになるとは……

そう教えてくれた先生に感謝しながら舌鼓を打ち、味わいきった頃……


「ふぅ…え!? もうこんな時間、早く行かないと……!!」


少しゆっくり味わいすぎた…!!時計は7時半を指していた


急いで登校し、なんとか間に合った……


「あ、ヒナ委員長!また万魔殿から大量に仕事が……」


「分かったわ、すぐに片付ける」


ああ、今日も、一日が始まる






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