隣の幼馴染
3部作のうちの1作目だよ!「最近、アルトリアの様子がおかしいんだ…」
「アルトリア…あぁ、おまえの幼馴染か…」
お昼休みに友達と4人でお弁当を食べながら、自分の幼馴染の件で相談をする
アルトリアは、小学校からの友達で。家もお隣さん、華の髪飾りをつけたとても元気な子だ
些細なことから仲良くなって、暇な時はどっちかの部屋でずーっと遊んだりしてるくらいには仲がいい…はずだったんだけど…
最近は一緒に遊んでもどこか上の空で、話しかけても反応が遅かったり。何があったか聞こうとしてもなんでもないよって、慌てたように振る舞うんだ
オレ、なにか悪いことしたのかなぁ…
「僕はおまえの惚気話なんかに付き合ってやる気はないからな」
「えぇ~~!!ひどいよ~!」
「まぁまぁ、深刻そうな話に見えるし、聞くだけでもいいんじゃないかな?」
「はぁ…まぁおまえのそういう顔も珍しいしな…」
「ありがとう…」
「なにか心当たりとかはないかい?最近あった出来事とか…」
「最近かぁ…うーん…あの時かな…」
アルトリアの話を友達は真摯に話を聞いてくれた。
ちょくちょく問い詰められたりもしたけど、そういう時はどうすればいいのか。教えてくれたりもした。
「ふむ…君は彼女に何かした…というわけでもなさそうだね…どう見る?」
「そうだな。このままでも問題ないが、お互いが納得しないだろう。一度話し合ってみるのはどうだ?」
「そうか…話し合う…わかった、ありがとう!」
友達の的確なアドバイスを受け止めて、オレはアルトリアと一度腹を割って話そうと決めた
「…ところで」
「どうしたの?」
「折角話を聞いてあげたんだ、そのたこさんウィンナーを頂戴しても構わないだろう?」
「オレもそのからあげをひとついただこう」
「…じゃあ僕も」
「えぇぇぇぇ~~~~~!!!!」
代償としてお弁当のおかずは取られてしまった。(ちゃんと交換して貰えた)
「あ、アルトリア~~!!」
「げ、リツカ…!!」
放課後、いつものように一緒に帰ろうとアルトリアを誘った。
「げ、ってなんだよ、傷つくなぁ…」
「いやぁ、あまり学校では話しかけて欲しくないというか…その……………になるから」
俯いてだんだん小声になっていき、後半は何を言っているか聞き取れなかった。
「それより、今日さ。覚えてる?」
「覚えてるって…何を?」
「忘れたの!?あの映画の公開日だよ!!?」
「…!!わ、忘れてた~~……そうだよね、今日その約束してたもんね…」
「…アルトリア?」
「ううん、なんでもない!映画見に行こ!!」
やっぱり様子がおかしい、いつもはこんな様子じゃなかったのに元気がない…
そんな心配もしながら、オレ達は映画館に向かっていった。
「あ~面白かった~~!!」
「まさか最後であんな展開になるなんて思ってもみなかったなぁ…」
楽しみにしていた映画も無事見終わって、そのまま一緒に帰宅している
「このあとどうする?」
「え?あーー…どっちの家にしよっか?」
「じゃんけんで決めよう」
「よし来たァーー!!今日こそはリツカの部屋にしてやるからな!!」
いつもどっちの家で遊ぶかはじゃんけんで決めてる。譲り合いになると面倒だし、手っ取り早いからだ
しかしじゃんけんと言えど侮ることは出来ない。
これは運、判断、駆け引きにより勝敗が決定する立派な勝負だ
じゃんけんを宣言した時から既に勝負は始まっている
「「さいしょはグー!じゃんけん…」」
相手が何を出すかを考え、この一瞬に様々な思考を過ぎらせる
パーを出すか、ちょきを出すか、グーを出すか。
相手の手の癖、そして自分の手の癖を相手が把握しているか。
今日のご飯は何か。自分と相手の判断の速さはどれだけ違うか。
様々な要素の上でオレは勝利し、敗者を屈させるのだ
そしてその勝敗が今まさに決定しようとしている
勝つのは…………
オレだ!
「「ポン!!!」」
「しゃぁぁぁ勝ったぁぁぁぁ!」
「負けた~~!!!」
負けました。完敗です。
「今日はリツカの家だね!着いたらすぐゲーム持っていくから!」
「うん!待ってるよ~!」
映画を見る前はなんだか様子がおかしかったけど、今はそうでもなさそうだし。やっぱり杞憂だったのかなぁ
オレの部屋ですることと言えば、ゲームか漫画か、勉強会くらいしかない。
今は格闘ゲームをやっているのだけれど…
「おりゃーーー!!死ねー!!!!」
「うわ~~!!吹っ飛ばされる~!!」
ご覧の通りオレ達は熱くなりやすくて、なかなか終わらない!
「リツカったら練習してないの?これじゃずっと私が勝っちゃうよ?」
「…なんて言ってるから負けるんだなぁ!!」
「あぁー!!?セコいぞー!!」
「これは作戦です~~!!」
相変わらずアルトリアは乗せられやすいので、こうして負けたフリをしていれば簡単に勝てる。…たまにそれで負けるけど…
「オレの勝ち~!!」
「くそー!負けたぁぁぁ!!」
これでオレの勝利のアルバムにまた一枚、新たな写真が追加されたな…
………さて
「ねぇ、アルトリア」
「どうしたの?急に改まって」
「最近。様子がおかしいけど、どうしたの?」
「様子がおかしいってなんだぁ!私がアホになったってか!!?」
しまった、ストレートに聞きすぎた。
「違う違う!なんか別の事考えてたりで上の空だったりするから、オレが何かしたのかなって…」
「リツカは何もしてないよ?全然!」
「じゃあ、他になにかあったの?」
「なんにもないって!ほんとほんと!」
アルトリアは平静を装っているものの、長年一緒にいたから何か隠してるのはわかってるつもりだ。
そしてそれを話したがらないこともわかってた
「それは何かあるやつの言葉だよ!」
「…どうして気づいてくれないの」
「…え?」
「だから、どうして気づいてくれないの!?私はずっと待ってたのに!」
面食らってしまった。全然身に覚えがない。オレの何を待ってたとか、全然想像つかない
「ちょっと待ってよ!待ってるって何を!?」
「あーーそうですか!友達だもんね!そりゃぁ気づかないよね!」
「だからどういう事!?アルトリア!友達だからってどうして!?」
アルトリアの言っていることがわからず、オレにはどうすることも出来なかった。
「もう知らない!!リツカのバカやろう!!!!!!!」
「待って、アルトリア!!」
「待たない!!」
アルトリアはそう吐き捨てて部屋を出ていってしまった。
「あら、アルトリアちゃん、ご飯食べていかないの?」
「ごめんなさい!今日はいいです!お邪魔しました!!」
母さんの声が一瞬聞こえた。恐らくもう家を出て自分の家に帰ってったのだろう
さっきまで二人でいた部屋はオレ1人になってしまった
「…バカだなぁ、アルトリアがあぁいう事をする子だって、わかってたのに」
わかってたつもりだった。でも、実際はそううまくいかなかった
その結果がこれだ、全く笑うしかない
アルトリアは友達で、幼馴染で
いつも一緒にいてくれた人で…
それで……
…なにかにヒビが入る感覚がして、この時。オレはようやく大事なことに気づけたのかもしれない
「でももう、遅いよな…」
独り言をつぶやく。それを聞く者はこの部屋には誰もいなかった。