隣
・キラー→サラダキッド
・サラダキッドは絶対女の子が好きだしモテるし女侍らせるのが似合うという願望が前提
・30億がそのへんでナンパとか無理だろと思ったから最低でもPH前
・コイツらは何があっても相棒で以上にも以下にもならねえんだ
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白雲の漂う空が青みを増していく。あかりの消えた街灯に留まっていた鳥が、海風に乗って町の方へと飛び立った。
「お頭はまだ帰ってないんですか?」
買出し船の甲板から港を眺めているキラーに気づいた船員が、荷物を運びながら声をかけた。
キラーはそちらへ軽く相槌を打って、町へ続く道に視線を戻す。昨晩から帰らない船長の姿は、いまだ見えない。
「どこぞで女でも引っ掛けたんだろ。昼前には出港する予定だから、じき帰ると思うが」
札付きの身ではあるが、この程度で下手をするような船長ではない。船員も特に心配するでもなく、そうですかと肩をすくめて、船内に入っていった。
それからしばらくして、ぼんやり道を映していたキラーの視界に、鮮やかな赤がちらついた。
はっとして目を凝らす。キッドだ。
「キッド」
姿が見えて、キラーは思わずその名を口にする。ここから聞こえるはずもないのに、もう何年も傍でその名を呼び続けて、癖になってしまっていた。
――聞こえるはずもないのに。
今、キッドの隣にいるのは、キラーではない。
歩きながらキッドの腕を取り寄り添う女が、キッドを見て2、3何かを告げた。応えるように寄せられたその赤く彩られた唇に耳打ちされれば、女の頬が同じ色に染まる。
何か、くだらない愛の言葉でも諳んじてみせたのかもしれない。
仮面を被っていてよかったとキラーは思った。
今、自分がどんな顔をしているか、きっと知らない方がいい。
「キラー!」
向こうから声がした。
船着場の側まで来たキッドが、甲板にいるキラーに気づいたらしい。
キッドが女に囁く。隣の女は名残惜しそうにキッドの腕を離した。
女に軽く手を降って、キッドはそれから振り返らなかった。
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買出しから戻った船長が、出港の確認を取りながら海賊船を駆け上がっていく。食事をしていた船員はパンを水で流し込み、呆けていた者も目元をこすって動き出す。
にわかに騒がしくなる船上をキッドはぐるりと見渡しながら船首に向かう。先にそこで海の様子を確認していたキラーは、歩み寄るキッドの姿に気づいて、ふと思いついて声をかけた。
「おかえり、相棒」
船員たちの声が溢れる中に、仮面にくぐもる声が聞こえて、キッドは口端を吊り上げた。
「ただいま、相棒」
キッドはそのままキラーに並んで、船の先頭に立った。
空と海の間に、水平線が白んで揺れている。その先を見つめたキッドの横顔を撫でる潮風が、赤毛を透かして青い景色に溶けていった。
喧噪が次第に静まっていく。準備ができたらしい。
あとは出港の号令を待つのみだ。
「行こうか、キッド」
隣にいる相棒を呼ぶ。振り向くキッドの目にキラーが映る。
潮風が帆を押した。