関ユサンドが見たくて

関ユサンドが見たくて



・潔氷と潔烏が同時成立する関ユサンド

・前提に潔総攻め、貞操観念崩壊ドイツ棟がある

・これは潔烏成立編

・ハーレム仲間のすけべ補助してくれるハーレム要員ってのが好きなので氷織がそんな感じ

・湿度のないスポーツみたいなセッが好きなのでそういう要素もある

・割と直接的な話をしている

・倫理観ゆるゆる、頭もゆるゆるなちょいエロSS

・細かいことは気にしたら負けのネオエゴ時空

年齢制限はつかないくらいですが苦手な方は見ない方が良い

本当になんでも許せる人向け






「夜は非凡ってことか……?」

 違う。そういうことやない。滑り散らかした自分の発言に烏は頭を掻きむしりたくなった。そもそもこの状況が狂っているのが悪いと言いたいところだが、分析屋として日頃回転させている頭もショートしてしまっている。これは良くない。ふぅーと長く息を吐いた。

 一旦整理させて欲しい。ことの発端は氷織に声をかけられたこと。最近の氷織は吹っ切れたようにサッカーをしていたので良い変化があったのだろうなと思っていた。以前のようなつまらなそうな顔をしていない。青い監獄に来る前に話していた呪いが解けたのだろうと思って、烏としてもまた会うのを楽しみにしていたのだ。生意気ではあるが烏にとって氷織は目を掛けている非凡な後輩であったので。それでのこのことやってきてしまったのが悪かったのか。

――いやでも、まさかセックスせえへん? 潔くんと。なんて発言は予想できひんやろ。

 烏は一瞬自分の頭がおかしくなったのかと思ったし、氷織がもう一度言い直すのを途中で止めた。悪夢でも見ているのかと思ったがどう頑張っても現実だったし。潔は潔で普段通りの顔をしているのがまた烏を混乱させる。おい、普段は常識人ですよーみたいな顔しとったくせにどういうことや説明しろ凡。思わずそんな悪態を吐きたくなる。

「まず一個聞いてええか」

「うん。ええよ」

 氷織は悪気なんて一切ありませんといった顔で烏の視線を受け止める。やっぱ男ばっかり300人も集めて閉じ込めるからおかしくなってもうたんかな。こんなところで非凡になるな。俺がエロいって言うんが変な意味みたいになるやろ。やっと頭が動き始めたのか、色々な考えが頭を過ぎる。

「なんで俺を誘った? 理由を教えてくれ。普通セッ……クスって二人でやるもんちゃうんか。お前ら恋人なんやったら他人巻き込まんと二人でやりぃや」

「誘った理由? そうやね……楽しいから? あとぼくら別に恋人ちゃうし。フランス棟ではあんまこういうのせえへんの?」

 いやそんなんしてたまるか。恋人ちゃうんかい。セフレってこと? てかその言い方ドイツ棟ではこれが日常的なんか? ヤバ。貞操観念とか無いんか。楽しいからってセックスに人誘うか!? 氷織は吹っ切れたにしても自由になりすぎやろ。あーあかんツッコミどころが多すぎる。

 烏が説明を求めるように潔を見ても、潔は苦笑いして頰を掻くばかりだ。こんなところで凡を発揮せんでええねん。こいつも反応的に慣れてんな。烏は舌打ちを一つ。お行儀は悪いがこの状況で舌の一つ二つ鳴らさなければいつ鳴らすのかって話だろう。

「したくないんやったらせんでええけど。別にぼくも誰彼構わず誘ってるわけちゃうよ。烏には前から世話になってるし、潔くんとすんの気持ちいから烏もどうやろって思っただけやし」

「変な気遣い発揮しよって……」

 舌打ちをもう一つ。しかしそこまで言われると興味がないわけではない。何分烏も健全な男子高校生であるので。氷織はこういうところで嘘は吐かないし気持ちいいってのも本当だろうし。

 烏の気持ちが揺れ始めたのを察知したのか、氷織が微笑む。

「まあ、最初っからセックスってのも難しいやろうし、試しにちゅーでもしてみたらええんちゃう?」

「まあそれくらいなら……ええか。潔はほんまにええんやな?」

「俺は別に良いけど」

 後で振り返って、俺としたことがあの時は雰囲気に流されとった、と烏は語る。あっさりと承諾した潔の膝に乗り上げるように腰を下ろして、唇を合わせる。烏はある種の真面目さ故に恋人を作ったことがなかったし、恋人でない人間と性的な触れ合いをするほどそういった欲求が強い方でもなかったから、経験が乏しい。故にそれは少しぎこちない動きになった。後輩に見られながらというのもあったかもしれない。最初だからか、すぐに解放される。

「ん、あんま慣れてない? ちょっと意外かも」

「こんなん慣れとってたまるか」

「潔くん、ぼくも」

 氷織が烏を挟むように身を寄せる。烏の肩越しに氷織と潔がキスをする。いや長ない? 烏は思わず横目にそれを観察する。おいこれ舌入っとるやんけ。普通人挟んでディープな方することある? まあこの状況からして普通ちゃうからしゃあないか……。烏の優秀な脳みそはついにツッコミを放棄した。水音を聞いていると落ち着かない。

「ぷは、潔くんおおきに。で、烏」

「なんや」

「どうやった?」

 氷織と潔に見つめられて、烏はあーと声を出す。まあ確かに嫌悪感などはなかった。と言うか嫌だったら意地でもキスもしない。この状況に流されていることがある種の答えだ。

「まあ悪くはないんちゃう」

「んじゃいけるな。次舌入れてみよか。潔くんよろしく」

 こいつは後輩のくせして遠慮が無いし結構スパルタなところがあんねんな。そんで潔もおうやないねん。あーでもよう考えたら潔も意外と厳しいところあるしな。特にサッカー中。

 ここまで来てしまってやっぱり無理ですなどと言うのは烏のプライドが許さなかった。本当は男とキスをしたことで今日はもうお腹いっぱいだったのだが。

「いけるか? 烏」

「まあお手柔らかに頼むわ」

 また唇を合わせられて、思わず引き結んだ唇をぺろりと舐められる。そして開いたわずかな隙間から潔の舌が侵入する。それが烏の舌を撫でたり、上顎を舐めたり、歯列をなぞったりする。

 思わず呼吸が止まってしまって、見かねた氷織の手が烏の背中を撫でた。

「鼻で呼吸すんねん。……そう。上手いやん」

 潔はキスが上手い。自分は上顎がちょっと弱い。人間観察が趣味でも全く役に立たない情報ばかりが増えていく。

 潔の舌が帰っていく頃には烏の息はすっかり上がっていた。しゃあないやろ。初めてやし。そう誰にともなく内心言い訳をする。

「どうだった?」

「……気持ちよかったと思う」

「やっぱ誘ってよかったわぁ」

 氷織の嬉しそうな声にそれはようござんした、と内心独り言つ。酸素が足りていないのか、頭がぼんやりしていた。

「ここまでやったら最後までやっても一緒ちゃう?」

「ちょお待ってくれ」

「あかん?」

 いやそうではない。別に嫌とかじゃなくて。いや、嫌じゃないのも変な話だが。

「腰抜けた……」

「烏のくせにえらい可愛いことなってるやん」

「え、烏腰抜けたの? 大丈夫?」

 氷織はさっきより嬉しそうな声を出すな。そんで潔は心配してくれてありがとうな。お前のせいやけど。

 ぼやぼやした頭が自分の状況をなんとか把握している。

「大丈夫や。たぶんすぐ治る」

「それやったら烏が治るまで潔くんはぼくの相手してもらおかな」

「おー」

 潔の膝の上からベッドの上に移動させられて、烏は氷織と潔がおっ始めるのを見る。まさか人のセックス生で観戦することになるとはな。そんでこいつら見られてても気にする素振りも見せへんな。やっぱドイツ棟ヤバない? そんなことを考えながらもムラムラしてくるのは空気に当てられているのか、なんなのか。しかも抱きたいじゃなくて抱かれたいの方。烏は優秀なので自分がどちらのポジションを望んでいるのかも正確に把握してしまった。正直複雑な気分だ。こんなところで己の優秀さが憎くなるとは思いもしなかった。

 いやでも気持ち良さそうやし。気持ち良いのってみんな好きやし。これは自分への言い訳である。

「はあー。ほんま狂ってるわ」

 潔も氷織も、そんで俺も。まあ世界一なんか目指すやつはネジの一本や二本は外れてる方がええんかもしれんけど。それにしたってこう……なんかあるやろ。

 そしてその日、烏は食われた。烏としては後悔が全く無かったのが一番腑に落ちないところである。

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