重めのピチモモ
※深夜テンションで作った。
地の文は普通に喋るピーチドン。
口調迷子気味なのと、支配の鎖洗脳するまでのお話で明るくないので注意
※トレーナーやドノツラがなんか既に死んでるし、ともっこも生死不明な状況なの注意
むかしむかしにモモと出会ってから、気の遠くなるような時間が経った。
ずっと変わらないものなんてなく、10年20年経つにつれ、モモを捕らえていたトレーナーの死から始まり、チラホラとモモの友達がいなくなっていく。ピチはそんなのとっくに慣れていたけど、モモはその一つ一つに涙を流しお墓に花を手向けていた。
一応不死のゴーストやモノ由来のポケモン、元から不老長寿のポケモンはまだピンピンしている…。が、モモの一番大切な仲間、ともっこ達がつい先日一言も残さず姿を消しのだ。そのせいで昨晩からずっとピチの身体に、モモがくっ付いてそろそろ日が暮れる頃合いになっていた。
昔と変わらぬ小さな手は、随分時間が経っているのに、ずっとピチを抱きしめている。
「ピーチドンさん…ともっこたち、帰ってくるよね……また会えるよね?モモすごく怖いモ……」
「ピチじゃ足りないのかドン。欲張りモモめ」
「欲張りじゃないモ……!それに一回生き返ったんだから、また会えるかも知れないモン!みんな元気かも知れないモ……」
「ふーん、なら信じたい方を信じてれば良いドン」
───あいつらムカつくドン!これまでのモモはちゃんとみんなを弔って切り替えてきたのに!見てきたクセに!生きてるかもしれないなんて思わせぶりに家来が主人を振り回すなんて!
これじゃ二度目の奇跡を信じてモモが待ちぼうけじゃねーかドン!
自分の手に爪がなくてよかった、そんなことを思うくらいに力が籠めた手が震えていた。
「ピーチドンさん……ずっと震えてるモ。怖いことでもあるの?」
「ピチに怖いものなんてねーピチ。お前が勝手に怖がって震えてるだけだピチ」
そう突き返すと、モモが力なく笑って「そうかも」とこれまた弱々しく声を漏らした。こんなにモモが弱ったのはピチの方の三馬鹿が死んだ時以来か。殺しても死ななそうなヤツらだったけど、最後まで皮肉たっぷりに逝きやがったのだ。なまじっかともっこと共通点が多かったこともあり、ピチよりモモがひどく動揺していたっけか。
モモは考え至らないだろうが、ピチにはもうモモしかいないんだよなぁ。このままモモを取られるのは嫌だな、そう思ってグルグル考えていたら、自分でもあっさりと禁じ手にしてきた最後の手段に手を出していた。
「モモ…ピチのこと好きかドン?」
「うん? もちろん!モモはピーチドンさんのこと大好きだモン!」
「……なら、ともっこ達とピチならどっちが好きだドン?」
「え?えっと、それはどっちも大事で……モモ、みんな好きだし、ピーチドンさんだっていっぱい好きだモン……」
「決められないか?」
「モモモ……」
モモは困ったように目尻を下げ視線を落とす。きっと同じくらい大切なのは間違い無いのだろう。考えるのにいっぱいいっぱいな内に、そっとピチのじゃどくの鎖をモモの背後に手繰り寄せる。
どっちも決められないなら、決まらないままでも良い。ピチはモモがともっこ達より、ピチのことをずーっと愛していると信じたいのだ。
「ピチはモモのこと大好きドンよ。だからモモにはもう悲しい顔して欲しくないピチ」
「───モ?」
重い音を鳴らしてくさりが一気にモモを縛り上げた。咄嗟のことであんぐりと口を開けたモモの口元に、そっと自分のくさりもちを咥えて這い寄る。
何か言いたそうだったが、もちで塞いだ。長いキスに似た仕草で無理矢理もちを押し込んで飲み込ませる。雑魚に投げる物よりうんと濃いものを仕込んだつもりだ、同種に効くか不安だったが、しばらくしたらモモの強ばっていた身体の力が抜けた。
「モモ、今はともっこよりピチの方が大事で愛していると言うんだドン」
「……モモ、今はともっこよりピーチドンさんの方が好き。アイシテル?モ……」
これだけ生きて好きの上位として愛してるがピンと来ない様子のモモに苦笑しつつも、鎖をほどいて今度は自分の手で抱きしめる。
「ピチはモモを愛してるドンよ。ピチが酷いことしたのに気づかないで、そのまま笑って傍にいてくれればそれで満足だピチ」
笑って、という言葉に反応したモモが満面の笑みを見せた。同時に言いようのない虚しさを感じつつも、今は自分のことだけを見てくれる想い人に満足して夕暮れの家路に着くのだ。めでたしめでたし。