部外者たちの会合

部外者たちの会合

主な登場人物 モネ レイタス エンニア サルビア チナ

モネがサルビアからの依頼を承諾し、部下に指示を出した数日後・・・

モネは部下が集めた情報を整理・分析していた。

モネ「とりあえずあの開発計画について関連企業に関しては犯罪の尻尾は掴んだわね。まさか支配されることに同意をしていないポケモンの意思を無視する形で強制的に従わせる道具なんてねぇ。明らかに違法でしょうよ?とりあえず師匠、いや依頼主への報告は必要でしょうね。

関連企業の不祥事でもいいって言ってたし止める対象は計画ではなくてサイランみたいなことを言っていたから、他の関連企業が計画を動かすことはあっても関連企業の中から不祥事が出たなら元締めたるサイランの責任も追及されるだろうし。

しかし関連企業も調べるように部下には伝えたけどこんな秘密があったとは。関連企業を調べてくれた部下も秘密の裏取りを現地でしてくれた部下もさすがね。」

そんなことをつぶやきながら作業を続けていると別の部下から連絡が入った。

モネ「また部下から連絡とは。さすがね」

そう言いながら連絡を取ると部下の困ったような声が聞こえた。

部下1「すみません代表。自分たちが嗅ぎ回っていることが露見しました。」

モネ「...前言撤回。褒めるに値しない部下もいたわ。.........誰に見つかった?」

部下1「レイタスと名乗る探偵です。どうやら開発に反対する立場として同じく調査中らしく...」

モネ「.........わかった。今レイタスと電話をつなげることは出来るかしら。」

部下1「えっ?わ、わかりました...」

そういって電話は保留になり、再び繋がった。

レイタス「君がこの探偵のボスか。」

モネ「ええ、あなたと直接情報交換がしたくてね。今問題なさそうかしら。」

レイタス「今は難しいね。現地で張り込みだから」

モネ「...わかったわ。今日の夜は問題なさそうかしら。こちらから再び、今度はテレビ電話で連絡するわ」

レイタス「こちらは問題ない。切るぞ」

モネ「ええ、構わないわ。」

そういったやりとりで電話は切られた。

モネ「さて、情報をわかりやすく整理しないといけないわね...」

そういって作業を再開してからすぐ、再び電話が鳴った。

モネ「今度はいい連絡だといいけど...」

と言いながら電話を取った。

モネ「私に連絡したって事はいい情報が入ったのね?」

部下2「すみません代表。自分たちが嗅ぎ回っていることが露見しました。」

モネ「はあ...。誰に?」

部下2「エンニアと名乗る忍です。どうやら開発に反対する立場として同じく調査中らしく...」

モネ「.........わかった。」


数時間後

モネ「レイタスさん、エンニアさん、こうしてテレビ電話でつなげたのは他でもない、それぞれ開発計画に調査なり実力行使なりで抗う立場に立った里の部外者同士、情報を交換して今後は協力をしたいと思いましてね。まずは私から情報を提供するわね」

二人は無言で先を促す。

モネ「私が提供できるのはあの計画の関連企業の悪事ね。とはいえ現地にいるなら知っているでしょうけど。そっちに支配されることに同意をしていないポケモンの意思を無視する形で強制的に従わせる道具を使ったトレーナーがいたんじゃないかしら。関連企業があの道具を違法に開発及び提供していたことぐらいかしら、伝えられる内容としては。既に証拠も確保しているけど警察に普通に告発しても権力にもみ消される可能性があるから、知り合いのサイランと対立する派閥の政治家の下で働く官僚に伝えておいたわ。そちらお二方は何かあります?」

レイタス「私が知っている内容としてはサイランの目的についてだね。どうやらサイランはあの里に眠る伝説のポケモンを目覚めさせて生態系を破壊する目標を裏で掲げているらしい。この情報はまだどこにも流していないが確かな証拠も取れていない」

エンニア「私がやっていることは主に実力行使を伴った妨害だから何も...。強引に問い詰めようにもなかなか責任者に一対一で接触するのが難しくて」

モネ「わかったわ。ちなみに聞きたいのだけれどお二人はなぜこんな危険なことをしているのかしら。私は犯罪の尻尾を掴んで欲しいと依頼を受けたからだけれど」

エンニア「私も計画を阻止せよとの任務を受けたからなのでモネさんと同じですね。レイタスさんは?」

レイタス「私は元々伝説のポケモンは我々の生きてる世界とは全く違う特別な存在とだから、人間が自分勝手な理由で伝説ポケモンを利用するのは許されざる行為と思っているの。だから伝説のポケモンが眠るあの里での開発はかなり危険だと元から考えていて、それでサイランや計画について調査することにしたの」

モネ「なるほどね...。でも私たちは所詮部外者だし、一つの里がどう変化しようが関係ないと思うのだけれど、それは正義感からかしら?だとしたら里が廃れるのを見ていられないというのも正義感な気もするけど」

レイタス「ああ、確かにそうだろうね。でも計画を調べる限り、意図的に伝説のポケモンを起こそうとしている。これはただの開発では終わらないね。これでは里の発展も何もあったものではないよ」

モネ「なるほど。...確かに依頼どうこうは置いておいても今日の会合で絶対に止めるべきという理由も、向こうを妨害するために時間を稼ぐことができることも共有出来たのは有意義だったと思う。エンニアさんも頼りにしているわ。ここで共有した内容は依頼主に伝えて構わないかしら。私の情報は構わないわ。」

レイタス「依頼主は信頼できるのでしょうね?信頼できるならいいけれど」

モネ「それは問題ないわ。依頼主はサイランを失脚させたいらしいし勝手に情報を先走って流すほどバカじゃないわ。」

そういうとレイタスは無言で同意を示した。

モネ「ありがとう。お互い利害は一致しているのだからまた必要とあらば協力しましょう。」

そういってテレビ会議は終了した。


モネ「さて、師匠は応じてくれるかしら...」

そう言ってサルビアに電話をかけた。

サルビア「もしもし、モネ?探偵としてかしら?」

モネ「ええ、色々わかったわ。依頼主なのだし色々教えるわね。」


モネ「...ということよ。」

サルビア「なるほどね...。それを聞いてしまっては派閥争いどうこうの前に官僚として、民の為にサイランを止める必要が出てきたわね。というかそもそも生態系の破壊って私が官僚として関わっている政策と真っ向から対立しているしね。ちなみにその探偵さんは証拠を掴めそうかしら?」

モネ「それはわからないけれど、あの口ぶりからして簡単ではなさそうね。」

サルビア「ままならないわね...。ポケモンリーグはこの計画を推進しているのでしょう?生態系を破壊する計画か実行に関する証拠があれば止められるのでしょうけれどそこまで都合よくはいかないわよね...。モネが四天王といってもこのタイミングで反対意見を挙げたら自滅行為でしょうしねぇ。...でも、元々はサイランを失脚させるだけで良かったからモネに依頼したっていうのにそんなこと知ってしまったらそうも言ってられなくなったわね。最悪力ずくで止めてでも計画を破綻させないといけなさそう。」

モネ「力ずくって...、えっ?師匠?まさか...」

サルビア「キャリア官僚って、有給は消化できずにたまっていく一方なのよ。一応上司にも今のこと含めて相談するし、サイランの目的を知ったら恐らく出張として処理してもらえるでしょうけれどね。もし実力行使の必要が出るなら、里のトレーナーの実力は知らないけれどトリプルバトル界隈で「滅びの音楽家」とも言われる私が足手まといになることはないでしょう?モネも来週あなたは旅行気分ついででいいからその里についてきてくれないかしら?」

モネ「いや、私は脚の問題があるから...。」

サルビア「へぇ、依頼主は現地に行くのに探偵さんは傍観ですかぁ。偉くなったことで。向こうに車椅子ぐらいあるでしょうしあなたウォーグルいるでしょう?」

モネ「わかりましたよ、行きますよ。そこまで言われたら行かないわけにはいかないですよ。」

サルビア「そうこなくっちゃ。いっそチナにも声をかけておきましょうよ。戦力は多いに越したことはないからね」

そう言って電話は切れた。


チナ「モネ?急に何の用?」

モネ「姉貴、来週暇?」

チナ「いや、来週は大きな大会がちょうど終わったばかりぐらいになるはずだから少しだけ時間はあるけど、それが?」

モネ「気分転換に旅行しないか?トレーナーとしての時間も必要だろう?強力なトレーナーも多い場所なんだけど」

チナ「もしかして、開発計画がどうこう言っていたあの里?それならいいぞ。実際最近骨のある相手と戦えて無くて退屈さを感じてたし」

モネ「決まりね。それじゃ来週現地で」


こうしてモネは協力関係を結べる相手を見つけ、サルビアたちと現地に赴くことになったのである。

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