過去の追憶
梨野平太・
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ーーいつからだったのだろうか
力を渇望しそれに呑み込まれていたのは
俗に言うブリーダーズが現れた以降に起こった数々の事件で痛感した弱さからかそれともゾディアックの尖兵だったアリー・アル・サーシェス(以下元タウラスと表記)に惨敗して何もかも喪って防衛隊員として再起不能になった頃なのかーー
いや確実にあの時だ
あの時の風景が自分に思い出させてくれている
あの時の奴等の表情は・・・
彼女を汚して冒涜したあの蛮行 アレを見た時に自分は自覚した
思えば防衛隊が再建されて尚戻るという選択肢を取らなかったのは今思えば
あの地獄でも尚逞しく生きる幼馴染の事を支えたかったからだ
勿論防衛隊に戻りたかった気持ちも嘘じゃ無いけれど怖かった
どの面下げて帰ってきた・部下を死なせ続けて来た負け犬などと責められるのが
自分の部下をみすみすアロウズに取られて挙げ句の果てに全員殺した/死なせてしまった
元タウラスを止められていれば
その裏にいる狐を止められていれば
などという出来もしない慚愧の念に苛まれていたのだろうその時の私は
なんの裏もない筈の心配や慰めが私を責め立てるようにそう聞こえて/見えてしまったので限界を感じてしまったのだ
自分なりのケジメは出来る限り付けた
そうでなかったら彼等の死に意味が無くなってしまうからだ
勇敢に戦ったブリーダーズや防衛隊員のに役に建てたかは分からない
今思えば再建が終わって糸が切れたかのように退役した際に自堕落に終わってた方が良かったのかもしれない
だが不幸にもその糸を巻き直したいと思ってしまったのだあれだけ後悔し続けてしまっても
解散されても尚防衛隊は戦い続けていたそれに奮起していたのか久しぶりに出会って私の幼馴染は昔と変わらずそれ以上に精力的に動いていた
そんな彼女に呼応していたのかあるいは自分の不甲斐ない所を見せたく無かったのか私は以前の感覚を取り戻そうとしていた
防衛隊の再建の際に持ちかけられた復帰の話を断ったのもこのタイミングだ
防衛隊に入隊する前の私は孤児だった
両親は太陽系の惑星の探査の途中で殉職した 理由は何者かによってけしかけられた異常気象や怪獣によって
親戚も地球で似たような理由の怪獣災害に巻き込まれて不運にも亡くなっていたようだ
そんなわけで生まれてから孤児だった私は人との話し方が分からず孤独だった
そんな折に出会えたのが後の幼馴染だった 彼女は親族がいたのか根明で聡明で人付き合いが悪かった私に色々と構ってくれたり大事な事を教えてくれた
その後は成長して仲良くなれた孤児の皆や幼馴染とは別れて進路を防衛隊の学校に進学していた
今思うとあの時の分からない事を教えてくれた経験や彼女に対する感謝の念が忘れられなかったのだろうその時の私の分からない事というのが
地球防衛だと感じていたからだ
努力の甲斐あって自分でも信じられないと思ったが優秀な成績を収めて任務も確実にこなせていた
だがその思い上がりは打ち砕かれた
いや正確に言えばその兆候はあったのだろうしかしそれに気付かなかった
私はペダン星からの大規模侵攻による避難誘導の際の脅威の露払いの部隊の隊長職を担当した
犠牲が出るのは分かっていてある程度は過去からの経験で割り切れたしかし侵攻の規模やその地球の免疫が想定よりも大きかったのだろう全力を尽くしたが避難誘導はほぼ成功していたと思われるが程なくして部隊は自分を除き全滅
残された自分もやれるだけのイレギュラーの迎撃やキングジョーの迎撃をしたが結局怪獣王が率いる怪獣によって親玉が溶かされるまで生き残ってしまった
その後は情報部や特殊調査部隊などに点々と回されただが結局なんやかんやあって一人になってしまう
だがその点々としてる中でも共通してやった事があるそれは件の侵攻を予告したと思われるブリーダーズの書き込み郡が見られる掲示板を暇さえあれば覗いた時にはそれが事件解決に繋がった事もあればそうでも無い事もあったし様々だ
しかし元タウラスが入隊してから段々と自分に暗雲が立ち込めたようだ
その時の自分は監察官の所属だった
余りにも偶然のように見えて偶然じゃ無い間接的な依頼だったのだと今なら確信できる
思えばアロウズにスカウトするための布石だったのだろうな
そんなこんなで奴が過去に撃破された戦争屋と気付いた時には遅かった
監察官の部隊員は狐とかにやられたのかアロウズに編入していて自分の部隊から離れて自分もこのままではそうなるだろうと思いこのままやられるくらいならと元タウラスを直接攻撃したが力量は互角だったものの自分には無い能力であっさり上回られてしまって否定のしようもないくらいに負けてしまった
そこからは余り記憶が覚えてないが
まだ希望を失わずに立ち向かう元防衛隊員による事態の収集に協力した
元タウラスが撃破されてようやく終わった時はぐったりとしたよ
でも自分かどうか分からないけれど元防衛隊の活躍で元気を貰った人がいたんだ
その人こそかつて自分が助けて貰ったあの幼馴染だった
そんな元気溌剌で幸福になろうと頑張っていく姿を見ていたらなんかこう
自分の事を棚に上げてでもその力になってあげたいと思ったんだ
元気を貰って気力を回復したとしても元タウラスによって付けられた傷は思った以上に深かっただからせめて自分の周りの人を支える事で少しでもかつての自分であろうとしたかった
だけれども因果応報とはこの事かと実感する出来事が起きる
その日彼女は取材の仕事に出かけてるようだったなんでも近いうちに新しく開講する格闘技の道場が出来るらしいと
その取材に行けば街の活性化に繋がると意気込んでいた彼女はその帰りに
後の13天球による仕業の幽霊列車に巻き込まれて消えてしまった
それからの私は今は亡き彼女の親族によれば幽鬼のようだったようだ
確かにその時はかなり頭が冴えて何もかも効率的にやれてたように思えた
あらゆる伝を使って彼女の行方やその手掛かりを探した時には現役の防衛隊であり防衛隊きっての情報通であるシェフトを巻き込んで寝る間も惜しんで調査をしたその結果その日取材していた道場はスコーピオが運営していた
その他にも幽霊列車で拉致されていた人達の末路が偽装用の人の皮に加工される事実やその首魁が外星人部隊の隊長のズローナと同じで名前がフィーネと判明
その際の手段?そりゃあLIFEのパソコンからのクラッキングや掲示板の情報などの情報の裏をシェフトなどの人員で裏付け調査とったりとかだな
彼女を探す事はやめなかったが彼女の親族のことを放っておけなかったので支えようと決意した
それからは避難誘導となど街の中で困ってる人を助けたら時にはお悩み相談などで人を導いたりして過ごしていた
だがある時ふと疲れてしまったのか家でうたた寝てしまった
今思えばその時にうたた寝をしなかったら彼女の親族は助けられたかもしれない
目が覚めたら私は地獄を見た
それは彼女だったモノがかつて私に見せてくれた聡明で根明な顔面をせずに醜悪な面でまるで息をするかのように親族を殺害していた場面だった
親族は驚愕した表情で息絶えていた
私は呆然としていただがそんな私を他所に彼女は「得点になれ」と冷徹に言い放った
なんでもこの皮は潜入用に買って今は地球の住民やブリーダーズを対象にした殺人ゲームを遂行している
その話を聞いた瞬間私はカッとなって
奴の手に持っていた刃物を奪い取り気が付いたら惨殺死体を製作していた
そこからは今までに無い地獄を経験したのかスムーズに街を襲撃しているゴミを楽に掃除し終わった
地の利を把握してたのもあるし何よりその場にいたプレイヤー達よりも目的や激情が重ね合わさってたのも大きいのだろう
ある程度街の整備や弔いなどをしていってからは奴等のゲームの邪魔をしたいと強く感じた
皮肉にも私は何かを守るよりも何かを鏖殺していくのが適正だと強く感じるようになった
現にある街を襲撃していたプレイヤー達の大半は遊び半分でしかも嗜虐性が高いけれど実力は無いわけではなかった
そんな彼らすらも最期は呆気なく生命活動を停止するのだから世の中分からない
そんなこんなで旅立つための荷造りをして色々ダークウェブやシェフトなどのツテでプレイヤーの大元がハンティングクラブと名乗る集団からこの地球へ来たと判明した
奴らの発言や写真を推測して次の犯行現場を割り出してノコノコ出てきている所を即座に排除してを数週間続けていた所いつのまにか自分の右腕に謎のブレスレットがついていました
どうやら自分のブレスレットは出し入れ自由みたいなのですこれはプレイヤー殲滅の時にいつのまにか持ってたのですが短剣も持っていました
たまにピンチになった時には導かれるように短剣をブレスレットに刺して姿が変わった事に内心驚いてましたがやる事に支障はなさそうなので巨大化はしませんでした取り敢えずは既存の武器や素手でなんとか出来なかった時の最終手段として使用する事にしました
日本のみならず海外など奴等の活動区域に突っ込んでは見た範囲での撃破漏れはないようにした
最近はどうにも雑魚ばかりのような気もする撃破するべき強者がいないようにも思える
日本でジャシン教団なるものが設立されていたらしいプレイヤーを殺す前に拷問してた際に吐き出してた特徴とある程度合致しているかもしれない
ここは日本に向かうとしよう
もしかしたら解消すべき因縁に巻き込まれるかもしれないがそれはそれだ
だが最近グリーシャやシェフトを見ていると誰かを思い出す気がするんだがそいつは誰だったかな?
誰かに重ねてたのかそれとも逆だったのか今の自分にはもう分からない
今あるのは使命を執行するために生きる事しか出来ないのだからそのためなら前の俺でも引き出すなり命を賭けてでもやってやる