連木で腹を切る
忘れてしまえばよかったのだ。
お前を初めから騙していた拙者の事など。
忘れてしまえ、親友と嘯きながらも笑いあった日々を、共に酒を飲みかわしたあの月夜を。
魚人であると言われようが態度を変えなかった拙者を見て、ほぅと息を零した事を。
仇の家臣と、偽りの親友であるともはや思えなくなってしまった拙者の想いごと、忘れてしまえばよいのだ。
そうだ、忘れてしまえばよかった。
俺を、百獣海賊団を裏切ったお前を。
忘れてしまえばいい、親友と呼び笑いあったあの日々を。共に酒を飲みかわしたあの夜海を。
俺が魚人であると知っても何一つ態度を変えず、唯の人として扱ったお前を。
親友と、先に思えなくなった愚かな俺の想いごと、忘れてしまえばいいのだ。
ただそれだけの事のはずなのだ。