透明少女のあの日の事
神隠明私が5歳の頃に、人生が急激に変わった。
「いってきまーす!」
私は小学1年生になったばかりで、小学校生活にワクワクドキドキしていた。
「いってらっしゃい」
母は専業主婦で、とても優しかった、いつも歩いて学校に行く私を送り出してくれた。
「おはよう!!」
学校に来ると、みんなは挨拶してくれた、つられて私も「おはよう」と答えていた。
「ここは1+1なので、2になりますね」
そして、優しい眼鏡をかけた先生の授業を受ける。
「さようなら!」
授業を受けて、美味しい給食を食べた私に、眠たくなる日差しが当たった所で、学校は終わる。
「ただいま」
学校から帰り宿題をしていると、疲れたお父さんが帰ってくる。
いつも弟が欲しいと言っているのだが、苦い顔をしてそのままだ。
……これが私の日常、いつも変わらないと思ってた、幸せな日常。
「逃げろ!」「火事だ!」「エネミーだ!」
私の視界を真っ赤な炎が包む。
両親の血で更に赤く輝く。
あぁ、なんて……
「なんて圧倒的な力だろう…」
素晴らしいと思った、私を包む熱さが、私の憧れを加速させる。
私はこのエネミーの力に憧れている。
私はこのエネミーの力が欲しい。
だから、12年後、どんな過ちを犯そうと、私はこのエネミーの力を手に入れる。
[完]