迷子の迷子の小鳥ちゃん
カワキのスレ主「おはよう、マスターくん! 今日はどこに行くの?」
『それなんですけど……』
『今日はマシュを探そうかなって』
「マシュ? ……そう言えば、ビーチで会った時も人を探していたな。確か……「紫髪の盾を持った少女」、だったか。セントラルで見かけたが……」
「お友達が来てるんだ。それは会いたいよね」
『はい』
『なので撮影会は明日からでもいいですか?』
「もちろんだよ。それじゃあ、僕(やつがれ)たちは明日からの撮影会に備えて、撮影リストを作っておくね。それと、知り合いにも、その子……マシュちゃんのことを聞いてみるよ」
「撮りたい場所、構図、人物は山とある。覚悟しておくことだな」
◇◇◇
『おーい、マシュー!』
『すいません、この辺で紫髪の女の子を見ませんでしたか?』
「紫色の髪の女の子……? うぅん、見てないなぁ。……お前も、迷子?」
『……お前“も”?』
『もしかして……』
「うん。私の仲間も迷子なの……。ここ、とってもたくさん人がいるから、歩いてたら流されて……。気がついたら、みんながいなくなってたんだぁ」
『(迷子はこの人なのでは……?)』
『大変だ、大丈夫?』
「うん……早く見つけてあげなくちゃ。お前も人探しをしているんでしょう? 私の仲間……見なかった? ええっとね……私と同じで破面だから、白い仮面がついてるよ」
『(白い仮面……マグダレーナさんもつけてたな……)』
『(道中、誰かを探してる様子の人はいなかった)』
『見てないと思う』
「そっかぁ……どこ行っちゃったんだろう? この辺は危ない人もいるのに……。私とはぐれて大丈夫かなぁ……」
『あの……よかったら一緒に探さない?』
『二人で探したら見つかるかも』
「……いいの? お前は良い子だねぇ、ありがとう!」
◇◇◇
「……そうなんだ。お前がカルデアのマスター……なのに、サーヴァントはいないの? 弱いのに、一人で歩いてたら危ないよ」
『今、探しているマシュがファーストサーヴァントだよ』
『実はよくあることで……』
「そうなの? マスターって大変……。……うん! それじゃあ、お前がお友達のサーヴァントを見つけるまで、私が守ってあげる。私は強いから、もう大丈夫だよ」
『ありがとう。よろしく』
『名前を聞いても良い?』
「うん。私はローレアン・ラプラス。破面で、滅却師。今はサーヴァント。よろしくねぇ、フジマル」
『それで、どうやってマシュとローレアンの仲間を見つけよう?』
『なにか良い方法はないかな……』
「うーん、うーん……あっ、良いこと思いついた! 私、ずっと前にも仲間と離れ離れになったことがあって……その時は、みんなが見つけやすいように、うんっと目立つ格好をして探したんだぁ。だからねぇ、今回もみんなが見つけやすいようにすれば良いんだよ!」
『……なんだか嫌な予感がする』
『具体的には……?』
「空! すごく高いところから探せば一気に人の姿が見えるし、地面を歩いてる子からもよく見えるでしょう? フジマルのことは、私が連れて飛んであげる」
『それは最終手段で!!』
『まずビルにのぼってみるのはどうかな!?』
◇◇◇
『ビルの中もすごい人だ』
『どこのお店も賑わってるなぁ』
「わぁ……色んなお店があるねぇ……。あれ何だろう? あっちもすごい! わぁ、わぁ……!」
『(迷子になった理由がわかった気がする……)』
『はぐれないように手を繋ごう』
「うん? 良いよ。大丈夫、フジマルがはぐれたりしないように、私がしっかり手を握っておいてあげるからねぇ」
『屋上についたけど……』
『高い! 地面が遠くてよくわからない』
「高いところは風が涼しくて気持ち良いねぇ……。ここなら、私の仲間たちやフジマルのお友達も見つかるかなぁ。えぇと……」
『ローレアンは下の様子が見えているの?』
『目が良いんだね』
「うん。見えてるよ、任せて!」
「あれは……違う……。あっちは……うぅん、違うなぁ。こっちは、えぇと…………あっ!」
『どうしたの?』
『見つかった?』
「大きな盾! きっとフジマルのお友達だ! あ。そばにいるのは……先生! そこにいたんだ! やっとみつけた!」
『本当!? どこ!?』
『一旦ビルをおりて……』
「うん! 行こう!」
『え゛……!?』
「えいっ!」
『手が引っ張られて……!』
『屋上から、落ちる……!!』
「キャアアア!」
「誰かビルから飛び降りたぞ!」
『うわーー!!!』
「おーい! 先生! こっちだよぉ!」
「よいしょっ……と。フジマルのことは私が抱っこして飛んであげるから、大丈夫」
「……? なんだか騒がしいですね、何かあったのでしょうか?」
『わーー!!』
「……えっ? ……先輩!? 空から見知らぬ女性と一緒に先輩が落ちて……先輩!!」
「よいしょ……はい、到着」
『し、死ぬかと思った……』
『うぅ……視界がグルグルする……』
「先輩! 大丈夫ですか!? しっかりしてください!」
「お前がフジマルのお友達の「マシュ」? フジマル、ずっとお前のことを探してたよ。会えて良かったねぇ」
「は、はい。私がマシュ・キリエライトですが……あの、あなたはいったい……?」
「ローレアンだよぉ。それより……お前が迷子のみんなを見つけてくれたんだ、ありがとう。みんなは私の仲間なんだぁ」
「こちらのみなさんのお知り合いでしたか! 仲間とはぐれてしまったと聞いていましたが……再会できて何よりです!」
「うん! ……みんな、もう大丈夫だよ。今度は、はぐれないように、手を繋ごうねぇ」
『ローレアン、マシュを見つけてくれてありがとう』
『仲間と再会できて良かったね』
「うん! どういたしまして。それから、ありがとう。……フジマルも、もうお友達を見失わないようにね。それじゃあ、私は行くね。ばいばい、フジマル」
『うん、またね』
『バイバイ』