赦さないで
虎杖と再会してから、彼は俺に身体を求めるようになった。それはいい。こんなオッサンの身体でいいのなら、好きな様に扱ってくれて良かった。
それなのに、どんなに言っても彼は丁寧に解し、優しく俺の事を穿つ。俺の顔を取り、キスをする。俺の目を見て。
嫌だった。君が、自分のせいだと言った時から。あの時から、自分が醜く見えるようになっていった。君は悪くない。悪いのは両面宿儺だ。それなのに、今も君はあの事を自分のせいだと言う。それに比べ俺は、自分で手に着けた職に背き、その場の感情だけで人を殺め、その事実から「呪術師」という理由を付け逃げ回っている。青少年が出来ていることを、俺は出来ていない。
君に優しく接される度にそう思ってしまう。俺は君にそう接されていいような人間じゃない。君はもっと普通の生活を送るべきだ。友人に囲まれ、幸せな生活を送るべきだ。君にはそれが出来るのに。なぜこんなオッサンに構うのか、こんな世界で戦うのか、理解しがたかった。
今日も君は俺を求める。俺はそれを許容する。甘く名前を呼び、優しく穿つ。顔を取りキスをする。
でも、どうか。
その優しい目を向けて俺の事を赦さないで。