謳歌の看守長 B
珍しくもない暴動の終わり。
囚人達が武器を捨て、今回もダメだったかと肩を落として牢、安息地へと戻っていこうとしていた。
ただ今回は状況が違った。
B棟の全ての牢が爆散していたからだ。
だが誰も誰が、何故という疑問を持つことはない。
「……あの看」
何かを言おうとした囚人が、哀れにもこめかみから脳を吹いて倒れる。
銃声の源へ振り向いた時に俺は初めてその姿を見た。死血山河の果てに立つ影。
警棒と二丁のリボルバー、そして狂いとも言える酩酊心を携えた人間の女の形をしている何か。
「お前さん何者だ?」
弾を受け止めた男がそう言った。
「B棟看守長、名前は……」
キメラの群れと1人の士が迫る。
「……自動人形と変わらない単調な動きだな、前菜としてもつまらない。」
警棒と鉛玉で容易に凌ぎ、士人とキメラの主を奪った刀で地面に縫い止めた。
「カルヴァドスだったか、さぁ始めよう」
得物の確認を終えた獣がそう不敵に笑った。