謀略K&D&S:あたしたちの有馬記念(ChapterⅠ)

謀略K&D&S:あたしたちの有馬記念(ChapterⅠ)

名無しの気ぶり🦊

本日は2021年10月24日、今年のジャパンカップ当日。

またレースも終盤である。


『さあキタサンブラックが先頭に立っています!坂を割って逃げる逃げるキタサンブラック、200を通過した!』

『オールハイユウ追い込んでくる』

「「「「行けーー!!」」」」


キタサン優位で試合を展開、ここまで英寿と打ち合わせた通りのペース配分で進めていた


『サウンズオブアースも追い込んでくる!それでも先頭はキタサンブラックだ!』

「ぬううううううううううッ!!」


アースも負けじと追い縋ってくるがキタサンの脚は止まらない。なおのこと踏み込みを強める。


『サウンズオブアース二番手、サウンズオブアース!三番手にシュヴァルグランが迫ってくる!』

『しかし1番のキタサンブラック、キタサンブラック!』

『逃げ切りましたァアッ!!』


そして見事1着。

追手を意にも介さず、自身のトレーナーとのトレーニングや事前対策が見事に活きたレースだった。


「やったあ、やったあッ!!」

「「「「おめでとー!!」」」」


パラド・ポッピー・チケゾー・ゴルシといったチーム世界スターの面々も喜びの声を一様にあげていた。


「ハハッ!このレース、正にesultazione(熱狂的)ッ!」

「♪〜〜」


「我が担当ながら相変わらず勝利より自分を貫く姿勢、パンクだぜアース!」

「G12着やった〜!」

「上々の結果です」

「いやあほんと凄いよぉ♪」 


アースもアースでレース結果とはまた別なところに美学やポリシーを置いているからか、今回のレース結果も素直に受け止めていた。


「わあああっ!!」


「! あっそうね…」

(ついにキタサンがあたしには遠い世界にぃ…)

「…教えるようなこと、もう何もないじゃんね…」


ネイチャはというと、とうとうキタサンが自分では手に負えないレベルの戦績を誇るようになったことに嬉しさと個人的な物悲しさを感じていた。


「はあっはあっはあっ…3着…ッ!!」

(まだ…G1勝利には、姉さんたちには届かないのかッ!!)

(何より…祢音ちゃんと約束したのにッ!)


「「……」」

(((シュヴァル(ち)(ちゃん)…)))


…そしてシュヴァルはというと、今回もまたG1を獲れなかったことに苛立ちを覚えていた。

とりわけ今回はなまじ祢音だけでなくヴィルシーナもヴィブロスも見にきてくれているだけに、つまりは憧れた全員に情けない姿を見せてしまった。

その事実がただ負けた以上に事実を重く受け止めさせていたのだった。


「トレーナーさん…やりました、あたしっ!」

「ああ。アースも堂々抑えて優勢なまま勝利、見事だったぜ」

「はい、今日はあたしらしく試合を回せた気がしますっ!」


その頃キタサンはというと

自身の思い通りに試合を回せたこと、そのまま勝利を勝ち取れたことへの喜びを赤裸々にありのままに楽しそうに英寿に話していた。


「G1三つ目、しかもジャパンカップだよキタちゃん!」

「ここ一番の大舞台で大したもんだ!」

「えへへっ♪」 


テイオーやチームメイトからも褒められ、気分上々だった。


「!あっ…」

(ダイヤちゃんに桜井トレーナー…険しい目つき)

しかしそれを見つめるダイヤと景和の目は険しかった。


「……」

(キタちゃん、また強くなったね…でも有馬では負けない!)

(これは有馬に向けてもっと詰めていかないとだ!)


有馬に出るというところで英寿・キタサンと共通している2人としては強敵が現れたということに他ならないのだから。


(タイクーンのやつ、有馬に向けて荒ぶってんなぁ…こりゃキタの気持ちも引き締め直さないとだな)


「よおし、次は有馬記念! 前回のリベンジだあっ!!」

「気持ちは分かるがはしゃぎすぎんなよ!」


それに気づいた英寿も気を引き締め、キタサンにそれを促していた。

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