謀略Ⅳ→Ⅴ 怒りのグレアChapterⅢ
名無しの気ぶり🦊

「これでギーツの脱落は決定的だな」
「…本当にこれで良いのでしょうか」
「あんたら、手口が露骨すぎるわよ…」

やはり、中立な立場を望むツムリやスイープ的には、運営側の妨害により英寿さんの脱落が決定的になった事に納得が いかない様子。
しかしギロリさんは言う。
「当然だ。勝ちすぎたギーツはもはや、目障りな存在でしかない。さあ、これでゲームが面白くなるぞ」
あくまで楽しげに
「英寿、やっぱり俺のドライバーを」
再度、自分のドライバーを英寿に貸して、ジャマトライダーを倒して取り返せばと提案する景和だが、そこへ道長が割って入り、
「またギーツに負けてもいいのか?」
「道長さんはそれでいいの⁉︎ こんな勝ち方しておいてさあ!」
当然反目する景和。強くなければ勝ち方も選べないとは言うが、だからとて納得はできない
「…歯痒いけど、それはアリよ。桜井トレーナー」
「クラウンちゃんまで⁉︎」
しかし意外にもクラウンは道長が今回のミッションに勝ったことそのものは肯定していた
「ルールを破ったわけじゃなく、ルールの穴を一突きしただけ」
「勝ちは勝ちよ、無理した挙句に負けるよりはいい。…そりゃスマートに勝つに越したことはないけれど」
要はルール違反はしていないのだから勝者以外がケチをつけるのはナンセンスという話だ。
クラウン個人としてはなりふり構わないにしてももう少し見せ方は工夫できたろうと思ってもいるが。
「それに勝負で負けて堪えることの悔しさはよく分かってるつもり」
「…とはいえ2度はごめんよ、こんなサプライズムーヴなんて」
これを今後幾度となく繰り返して、それでもなお道長に期待を持てるかというと何とも言えないとしか言いようがなかったから。
「ふん、このままギーツに勝てるチャンスを待ちぼうけすることになるよりはマシだと思ったからだ」
「…勝ち方云々で後悔なんて、後ですりゃいい」
道長はというと、どこか自身に言い聞かせるふうに強気な発言をする。彼としても切羽詰まったがゆえに今回のそれだが、でなければもう少し頭を悩ませていただろう。
そう思えていたから。
「あたしは…トレーナーさんがこんなふうに負けるなんて、嫌です!」
「あっキタちゃん! 」
とはいえ、それは勝った側の話。負けてしまう側の視点ならそんなのはノーセンキュー。
とりわけキタサンは英寿に対して重い感情があったぶん余計に受けいれられなかった。
「浮世トレーナーも行っちゃった…」
「キタさんは…浮世トレーナーをいろいろ凄く尊敬していればこそ、今回のことも簡単に飲み込めないんだと思う」
ダイヤもクラウンもそれを分ればこそキタサンを責めることはしなかった。
「速攻で終わらせる」
それから少し後、景和&ダイヤ・祢音&シュヴァル・道長&クラウンは赤い帽子の少女ことビショップジャマト探しとドライバーの奪還を並行して進めていた。
そして現在ビショップジャマトを発見、打破に挑むもその格闘能力や幻覚を見せる粒子に変わらず苦戦を強いられていた。
分裂したらしきビショップに対し道長はリボルブオンし、脚側ゾンビフォームの『ZOMBIE STRIKE』で攻撃。
2体のかくれんぼジャマトに直撃したように見えた。
(ん? クラウンのやつにシュヴァル? 何言って…」
…が、陰に避難していたクラウンやシュヴァルの様子からするにそうでないよう。
「うわあああッ⁉︎」
「ッ、幻か⁉︎」
「何攻撃してんだよ!?」
「何するの!?」
すると、ビショップジャマトだと認識していたのは、景和と祢音で…
またしてもビショップの攻撃で幻覚を見せられ、今度は2人を攻撃してしまったようだ
「ジャ…ジャ…!」
「「「ぐああああッ⁉︎」」」
「トレーナーさん(祢音ちゃん)(ミッチー)⁉︎」
おまけにその動揺を見逃さないビショップにより、さらにかくれんぼジャマトの攻撃を受けてしまう3人だった。
「「「うぅ…」」」
当然3人は変身解除
その隙にビショップはまたしても姿を消すのだった。
「神出鬼没なうえに気まぐれに出てきても幻覚で身を隠すのが厄介ね…」
「同士討ちさせるためだけに生まれたようなジャマトだよね…」
それに駆け寄りながらクラウンとシュヴァルはビショップの面倒臭さについて舌を巻くのだった。
「俺の役目はもう終わりだ。脱落したら、うちにIDコア、届けてくれよな」
「何のことだ?」
一方その頃、ウィンはギロリに脱落後の段取りについて再度連絡を取っていた。
具体的にはIDコアに触れて記憶を取り戻す、いつものパターンだ。
が、脱落前にこれを言うのは通常なら明確に違反行為。しかし運営スタッフになっている現状ならそこを誤魔化せるというわけだ。
「⁉︎…そういう約束だろ?」
「それは君がデザ神になったらの話だ」
しかしギロリはそれにどこ吹く風といった反応。腫れ物とでも話すかのようなソレだ。
「は?おい、話がちげえぞ⁉︎」
「私と繋がっていることがバレたペナルティだ。記憶を消されたくなければ、その身でもって世界平和に貢献して見せろ」
どうやら癒着がバレたから切るといった具合らしい。理路整然としているようで約束を受け付けたことを考えればめちゃくちゃな物言いだ。
「ツムちゃんとスイープちゃんいるか⁉︎」
「何でしょう(何よ)?」
「俺をゲームエリアに転送してくれ!」
とはいえそれで連絡は打ち切りとなったので、止むなくデザイア神殿に戻り、ツムリさんにゲームエリアに転送するように言う。
「はい?」
「何がどうしてそうなってんのよ」
当然2人からは疑問に思われる。当たり前だ。
「ギロリの野郎に…ハメられた!」
「野郎、俺を生かすって約束を反故にしやがった!」
しかしそうなったらそうなったで、訳を話せば道理は違う。
「「は?」」
(え、ゲームマスターが?)
(あのおじ様、なんでそんな危ないこと⁉︎)
流石に違和感を2人も抱き始める。これも当然な流れだろう。
「あいつ…ギーツ憎しで周りが見えなくなってやがる」
「ッ! とにかく、俺は今からでも椅子を取らなきゃなんねえ!」
「すまねえがエリアまで転送してくれ…」
本当に、英寿を排除するためなら多少の犠牲はやむを得ない判断だ。される側からすればたまったものではない。
「分かりました…」
「ありがとさん!」
そうしてウィンはゲームエリアに転送されたのだった。
「…果たして、私は今のデザイアグランプリに勤める意味があるのでしょうか」
「使い魔のくせに悩まないでよ…あたしだって、分かんないわよ…」
残されたツムリとスイープはというと…悩んでいた。流石に目を瞑るにも限度というものはある。どんな横暴な魔法でも許容できるわけじゃない。
しかしどうすれば良いのか…。
「…ただ、今すぐに何をすべきかは分かっているつもりです」
「当たり前、アタシ達がヤダと思うなら躊躇わずやりたいことよ」
差し当たっては今自分がやりたいことを優先するというもの。
「もしもし…」
そうしてツムリはある人物に電話をかけ始めたのだった。
「があっ⁉︎」
「こんなはずじゃ…!」
一方こちらはゲームエリアに転送されたウィンの動向。
運営側の突然の裏切りに焦るウィンはジャマトライダーからドライバーを奪おうとするが、生身でかなうはずもなく窮地に。
「やれやれ…実にヴェローだね、トレーナー」
「ジャジャア⁉︎」
「⁉︎ アース⁉︎」
「私だけではないとも♪」
────しかし悪運は強いのか、担当たるアースが参戦。流石に想定していなかった展開だった。
こんなことにならないよう、敢えて遠ざけていたというのに。
「ふぎぎぎぎ!」
「ジャアアァ…⁉︎」
そして救援に来たのはアースだけではなく。
「キタちゃんにギーツ!」
「来い!」
英寿にキタサンもでジャマトライダーを何とか押し返し、ウィンさんと共に撤退を選択した。
「間に合ってよかったです」
「ツムリから事情は聞いた。運営を敵に回したら生き残れない。お前に言われた言葉をそっくりお返しする」
先程のツムリの電話はそういうこと。
ウィンを助けるように連絡をよこしたのである。
「…ギーツもキタちゃんもなんで、助けた?落とそうとしたのに…」
「俺が知りたいことをお前は知っている。だから、脱落して記憶を消されちゃ困る」
助けた理由を問えば、英寿は打算的なそれ。彼らしいもの。
「…あたし、正々堂々じゃないやり方がどうしても苦手です」
「…」(だろうね)
キタサンはというと何やら長くなりそうで。
「…でもそれ以上に、助けられる誰かを見捨てるなんて…もっと苦手だしごめんです!」
「ウィンさんがトレーナーさんをハメたんだとしても、絶対に!」
「キタちゃん…」
たとえどんなに腹立たしい相手でもお節介をかけない理由にはならない。それがキタサンブラックという少女の本質の一つで今回ウィンを助けた理由だった。
「グラッツェ! その言葉を先程彼女から聞けたからこそ、協力を仰いだというわけさ」
「当初は彼女を巻き込むつもりは毛頭なかったからね」
どうやら英寿とアースだけでこの場に赴く予定だったが似たようなことを聞かされならばとなった2人の判断により同行していたようだ。
「以前、デザイアカードに母に会いたいと書いたが却下された。何故、母さんに会わせてもらえない?運営は何を隠してる?」
「! トレーナーさん、お母さんに会いたいってそういう…」
そして明かされる英寿の新たな背景。母に会いたいためにデザイアグランプリに参加しているとは聞いていたが、どうやら最初はその願いが拒絶されていたらしい。
「母さん?名前は?」
「ミツメ。それ以外のことは分からない」
「ミツメ…見つめる、三つ目と似た響きの名前だね」
どういう理由か答えてくれる気になったのか、ウィンさんは英寿に母の名前を訊く。
その名はミツメ、それ以上でも以下でもない。英寿を産んでくれたただ1人の存在だ。
「どうしても会って聞きたいことがあって、母さんに気づいてもらえるように、俺がスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズの世界にしたが、何も音沙汰も無い」
(どうしても聞きたいこと…何だろう?)
英寿が問いたいこととは果たして何なのか?
キタサンにはそれが当然気になった。
「だから運営側に近づいて探ってたのか?」
「…ああ」
(あっ、流石に無理だったか…)
しかし場の流れで流され、だから英寿が今こうして立ち回っているという話に。
「…お前も、運営に翻弄された人間の1人だったんだな」
「つまり今の我々は志同じくするカルテットというわけだ♪」

ここに来てようやくウィンは、英寿さんも運営側に翻弄された1人なのだと認識し、共感する。
即席でまとまるかと思われた4人だが、早くもまとまる兆しを見せ始めたようだ。
「じゃあ祢音ちゃんはコネでエントリーしたって事?」
「違う違う!」
一方その頃、景和・ダイヤ・シュヴァル・クラウンは祢音の果たしてこんな自分が世界を守れるのかというお悩み相談から、祢音が参戦できた理由について話を飛躍させていた。
「──もしかして祢音さん…「あっジョンからだ!」⁉︎ 急ね⁉︎」
「姉さんからもだ…同じ、かな」
それにクラウンはなんとなくだが勘づくも、そこに飛び込んできたジョンとヴィルシーナからの連絡は果たして吉と出るか凶と出るか。
「もしもし──」
「────なるほど、IDコアがお父様の部屋から…」
実は少し前にジョンとベンに光聖の自室を探るよう祢音は命令していた。その成果がIDコアの発見ということのようだ。
「ええ、私達が光聖さんにアポを取って訪ねる程で彼を待っている間にね」
「いろいろ漁らせてもらったよう~♪」

ちなみにヴィルシーナとヴィブロスがこれを聞きつけ、諸々の理由もまとめて拝聴からの納得となり同行してくれていたということらしい。
「…2人がそんなことするなんて、」
まあシュヴァルには意外だった。認識の違いもあろうが。
「意外? ところが私は可愛い幼馴染と妹のためなら、時に女王らしからぬ行動もできちゃうのよ♪」
「私は細かいことは最初いまいちだったけど…シュヴァちとねおねおが困ってるってことだけはすぐ分かったからね〜!」
とはいえ本当にあくまで善意から。
可愛い妹(姉)のため、幼馴染のため。それだけでどんな重大な案件でも引き受けたくなるというものなのだ。この2人であれば。
「横からいいかしら?」
「クラウン様ですか、どうぞ」
「どうしてジョンさんがIDコア(それ)を知ってるの?」
そんな流れなら行けると感じたのか、自身の祢音に関するとある考察にも通ずる疑問をジョンにクラウンはぶつけた。
「これに触れた途端、全てを思い出したのです。かつて私とベンが仮面ライダーに変身していたことを」
どうやら今回見つかったIDコアはジョンの物だったようで。
ならばそれが意味するところは、つまり────
「「「「「⁉︎」」」」」
「一家総出で仮面ライダー? というかデザイアグランプリの関係者ってこと⁉︎」
…そういう可能性もあるということ。
「つ、つまり姉さん、鞍馬財閥は…」
「デザイアグランプリのスポンサー…そういうことになるわね」
正しく解釈するなら鞍馬財閥はデザイアグランプリのスポンサーということになる
「なんか一気に話が広がった気がする…」
景和は当然困惑する。いや正しくは単になかなか処理が追い付いていないだけなのだが。
それだけインパクトのある話だ。
「…クラちゃん」
「ええ、ダイヤ…」
────そして、ならクラウンとダイヤに限って言えば思いつくことは他にもあって。
(なら、トレーナーさんや吾妻トレーナーにもツムリさんが最初驚いていたのも)
(ニラムトレーナーやドゥラメンテさんがどこか私に特別待遇だったのも…)
((恐らく、サトノグループ絡み…))
そう。
何も現代日本でデザイアグランプリに関係しているのは鞍馬財閥だけでなく、ともすればそのレベルの財閥や資産家一族
メジロにシンボリに華麗なる一族────もちろんサトノグループもなのでは?と
「今回の件が片付いたら…申し訳ないけどいろいろパパやおじ様に問いただす必要がありそうね」
「?」(クラウンさん…なんか思うことがあったのかな)
1人今回のミッションが片付いた後のスケジュールを思うクラウンだった。
