謀略Ⅳ→Ⅴ 怒りのグレアChapterⅠ
名無しの気ぶり🦊

2022年12月11日。
有馬記念から二週間前となるこの日
加えてデザイアグランプリの次のミッションを開催となるこの日、ある事情から待ち侘びていたギロリはサロンでウィンとツムリとスイープに
『デザ神になるたびに運営の秘密に近づこうとするギーツを野放しにはできない、ゆえに排除せよ』というような独断専行にも近い命令を下していた。
この約一年、英寿が運営側に探りを入れていることそのものが彼にとっては良くない状況だったためだ。
「ですが…!運営として公平と言えるのですか?」
「アンタのわがままじゃないの?」
当然ツムリとスイープは反目、明らかに他意が混じっているように感じられたからだ。
「これもデザイアグランプリを存続させるためだ」
「…オッケー!」
(悪く思ってくれんなよ、英寿…)
しかしギロリはそれをスルーし、次のゲームで英寿を脱落させろ、手段は問わないというような旨を強い調子でウィンに命令したしたのだった。
紺のスーツを着て撮影をするスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ。今回はキタサンが出る最後のレースとなる今年の有馬記念へ向けての告知を兼ねた撮影
なのでキタサンも一緒だった。
「はじめまして。浮世英寿様、キタサンブラック様」
「この出会いは運命か・・・初めての気がしないのは俺だけか?」


そしてそれから少しして撮影が終わり、休憩している英寿とキタサンの元へ 女性が声をかける。
「ぜひ、あなた様方を支援したいのです」
「ぅえっ⁉︎ あっすいません!」
何やらビジネスの話を持ち込んできたようで、しかし見ず知らずの人間からいきなりの商談ともなれば、キタサンは当然困惑した。
「…あたしはキタサンブラックって言います。貴方のお名前は?」
「存じております。そして私はサマスと申します、キタサンブラック様」
名をサマスという彼女は淡々と自己紹介を告げ、そそくさと商談話に移るのであった。
「ようこそお越しでした♪」
「ダイヤちゃん、似合ってるというかありがとう! 店も助かってるよ!」
「いえいえ、私も良い息抜きや社会経験になっていると感じています」

場所は変わって、ここは景和がバイトとして詰めている蕎麦屋。
今は凱旋門賞で壊れてしまった調子を戻すための施策の一環としてダイヤもバイトをやっているのだった。
もちろん店主からすれば人柄がよく、人手も知名度も増えるという意味で断る理由がなかった。
「景和と2人して夫婦みたいだねえ」
「ふふ、ありがとうございます義姉様。息が合っているのは嬉しいですね♪」

景和もダイヤも猫っ可愛がりしている沙羅からすれば、天国にいるような心地だった。
「姉ちゃんは相変わらず過剰というかやけに早い表現を俺たちにしてくるというか…まあ悪い気はしないけどさ」
「…!」
(何だろう、この子。なんでか目を奪われる…)
「トレーナーさん?」
そんな中、景和はふと見かけた赤い帽子の少女に目を奪われる。
しかし、当然ダイヤはトレーナーのいきなりの奇行に疑問を抱くわけで。
「あれっ⁉︎」
「いきなり落ちた…なぜでしょう?」
────そうして引き止められた直後だった。
タイクーンのIDコアが落ち、泡と消えたたのは。
「お父様。デザイアグランプリのこと、知ってますよね?」
「…そうなんですか?」
「2人には関係ない話だ」
一方その少し前の時刻、シュヴァルはというと祢音に誘われ今日も今日とて鞍馬邸に来ていた。
「どうして私エントリーすることになったんですか?」
「シュヴァルちゃんがプレイヤーじゃないのにデザイアグランプリに関わるのを許されているのはなぜですか?」
「それがお前の望みだろ?」
…のだが、そんな折ふと姿を見せた光聖にデザイアグランプリに関する質問を祢音が思いきってしてみれば知らぬ存ぜぬの一点張り。
「質問に答えてください!」
(気、気まずい…でも僕も話を振らなきゃ」
「お前は知らなくていい」

2人に挟まれるような位置にいるシュヴァルの息苦しさを他所に、会話はどこか一方的にヒートアップ。
「教えてくれないならいいです。自分でつき止めるので」
「あっ、祢音ちゃん!」
そして業を煮やした祢音はそそくさと荷物をキャリーバッグにまとめ家を出て行った。
無論シュヴァルもそれを追いかけ鞍馬邸を飛び出す。
「「あっ⁉︎」」
そんな祢音のもとにも赤い帽子の少女が現れ、気づいたら、ナーゴコアIDが零れ落ちていたのだった。
「「フッフッ!」」
同じ頃道長とクラウン、普段は1人でやっている日課のマラソンにクラウンもなぜか参加していた。
「まさか俺のトレーニングに付き合うって言い出すとはな」
今や同棲中とはいえ、特に誘うことも興味を持たれることもなかった自身の日課に興味を持たれたことが意外だった。
「息抜きもあるけれど、キタサン最後の有馬記念に向けて、無理や無茶でなければいろいろな布石を打っておきたいのよ」
「…あの子のために、私のために…」

要は落ち着けないのだ、柄にもなく。
クラウンもそれだけキタサンの、自身のことを考えて普段から動いているということ。
油断はしたくないのである。
「……勝てよ」
「不用说、負けてあげるつもりはないわ。互いに全霊を尽くす、9月に誓ったことは反故にしない」
道長もそれを見て素直に応援を送れるようになったあたり,クラウンと3年近く行動を共にしてきたことの賜物だろう。
「…それより、前々から聞いてみたかったのだけど────」
────そんななか、クラウンがデザイアグランプリに関するある疑問を道長にぶつけようとした直後。
「「ん?」」
(なんだ、あいつ…)
(傍目には普通な…いえ、この時期には不釣り合いな…⁉︎)
例の少女が2人の前にも姿を現した。もちろん2人は知り合いが目の前の誰かに酷い目に遭わされているとは露ほども気づかない。
「⁉︎ ミッチー、IDコアとベルトが!」
「⁉︎ まさか今のやつか! 追うぞ!」
そしてやはりバッファのコアIDが落ち、少女も姿を消した。
「では」
「はい、ありがとうございました!」
「また会える日を願ってるよ」
「!」
(何だろう、やけに人間離れした雰囲気な子…)
その少し後サマスと別れ、手を振る英寿とキタサンの横を赤い帽子の少女が通り過ぎる。
無論ギーツのコアIDが落ちた。
「俺のドライバーを盗んでどうするつもり?これはおもちゃじゃないよ」
「⁉︎ うそっ、今の一瞬で盗ったんですか⁉︎」
しかし、そこは さすが英寿さんというか、コアが落ちたタイミングから、赤い帽子の少女が原因だと すぐに理解し、引き留める。
キタサンはまるで気づかなかったが、これは単に人の違いだろう。
「ああ。手癖が悪いが何もんだ…いや、それは後か」
「「「「「ジャジャ…」」」」
捉えた彼女に詰問しようとしてみれば姿を現すジャマト達。数はそれほどだがジャマトライダーもいるので油断はできない。
「なんでこのタイミングで…まさか!」
「ジャマトの手の者だろうな、恐らく。…キタ、ジャマトを何人か退かしたらお前は隠れてろ!」
「もちろんです!」
当然明らかに意図されたものだと2人は気づく
ので迷わず戦闘体勢に。
『SET』
『MAGNUM』
「変身!」
手持ちはマグナムバックルだけだったが英寿からしてみれば乗り越えられる、いつも通りにと感じていた。
「フッ!」
「ジャジャッ⁉︎」
しかし、それを妨害しようとしてくる者が1人。
(あれは…ウィンさん!)
そう、ウィンだった。
「どらあっ!」
「グッ⁉︎」
「ってええッ⁉︎」
露骨にギーツを退場させようし…
「何やってるんですか!」
「お邪魔虫の排除だよ!」
ギロリから手段を選ばないと言われたので、それはもう大っぴらにギーツを攻撃してくる
「お邪魔虫か。……せあっ!」
「「「ジャジャア⁉︎」」」
とはいえそれでもめげずにジャマトを倒していく。
「トレーナーさん⁉︎」
「…魔法でも使ったのか?お嬢ちゃん」
「ヘンシン」
『JYAMATO』

だが、そのドライバーは少女の手からジャマトに奪われ、ジャマトがライダーに変身。
「……」
「えっ」
「キタ!」
──そして狙われたのはキタサン。
「ぐうっ⁉︎」
「トレーナーさんっ!!??」
流石に英寿もジャマトライダー相手に素面では太刀打ちできずジャマトライダーからの打撃をもろに受けてしまう。
「…ケッ」
(ギロリも容赦ないねえ)
他人事みたいに呑気に構えているウィンだが原因となった側である。
「って、は?」
「おい?俺のまでとってんじゃねえーよっ!」
ドライバーを奪われ、英寿やキタサン共々なんとかジャマトから逃れるのであった。
「ここまで来れば大丈夫ですよ、トレーナーさん!」
「すまんな…グッ!」
地味に強く殴られていたからか、肉体へのダメージは思ったより多かった。
「…ウィンさん!」
「♪〜」
それを見ていればキタサンも気が気でなくなるようで。
「やりかたが露骨になってきたな、パンクジャック」
「露骨どころじゃないですよ! …死ぬところだったんですからぁ…!」
死ぬなんていう笑い話にもならないオチが待ち構えているのは勘弁してほしいのである。
「…泣くな泣くな。今はデザイア神殿に向かうほうが先決だ」
「グスッ!…はい」
「……」
(ああ嫌だ嫌だ。なんだってこんなことしなきゃいけなくなっちまったんだか)
それを見ているウィンは、昔の夢をただ追いかけていた自分を思い出してなんだか辛かった。
そして結局、赤い帽子の少女はゲーム参加者全員からドライバーを奪取して姿を眩ましてしまったのである。
そしてそれが新たに始まる「イス取りゲーム」の始まりの合図ともなった。
「イスはイスでもライダーの座を賭けたゲームです」
「5個あるドライバーのうち一つはジャマトに奪われているため、残る4つの5人で奪い合わなければならないの」

要は形式としては椅子取りゲームのそれだが、ただし一つジャマトに使われているので要注意ということだ。
「エリア内に潜んでいるかくれんぼジャマトを倒す間にドライバーを奪い返せたプレイヤーが勝ち抜けです」
そしてそれはドライバーを奪還することでのみ果たされる。成せなければ敗退、そういうことだ。
「奪い返せなかった=イスを取れなかった者が脱落というルールってこと…早いもの勝ちね、ミッチー」
「何がなんでも奪い返す!」
クラウンは早々にこれに気づき、道長共々クリアに前向きに。
「英寿、なんか珍しく怪我してたけど大丈夫かな…」
「キタちゃんが付いています。傷もそこまででしたし、大丈夫だと思いますよ」
景和はダイヤに励まされつつ,英寿の怪我を心配していた。
「とりあえずは情報収集しないとだね、シュヴァルちゃん」
「うん…チャンネルのフォロワーさんに協力を仰いでみるのも、アリかも」
祢音とシュヴァルはというと、現代らしくネットを使った捜査から始めてみるつもりだった。
「ん?」
「あれってさっきの…景和達に連絡だ!」
それから少しして神社にお参りに来た沙羅。
赤い帽子の少女を見かけ、すぐさま景和への連絡を思い立つのだった。
「はい、これでひとまず大丈夫ですっ!」
「…さっきからすまんな、ほんとは1人でやれるってのに無理させて」
その頃、英寿はキタサンによりビジネスホテルで手当を受けていた。1人でもできはしたのだが、敢えて彼女の手当を受けていた。
「──そんなことありません。あたしがもうすぐ最後の有馬を迎えられるのも、ここまで夢を求めて走ってこれたのも…全部、全部トレーナーさんの支えありきですもん!」
ここまで言われるくらい恩を語られ手当に張り切られてしまったら、黙って受けなければ失礼極まりない。
「だから…これぐらいはさせてくださいっ!」
「キタ…そう言ってもらえると助かるよ」
…そう感じたから。
「あたしはトレーナーさんを、トレーナーさんの勝利をずっと強く信じてますから!」
「よく言うぜ」
何より、慕われて救われることはあっても困ることはなかった。
それに応えたいという気持ちは高まるばかりだから。
「! 何の用ですか?」
「レースはともかくギーツがそうやってデザグラで勝ち続けられたのは、運営のサポートありきだ。俺たち運営を敵に回したら生き残れないんだよ」

そうこうしている間にいつの間に来たのか、部屋の玄関にウィンがいた。
相変わらず煽り調子である。
「なんでそんなにt「それはどうかな?」トレーナーさん…」
「…ハッ、何で命賭けてまで運営探ってる?」
キタサンは流石に我慢の限界か怒りをぶつけそうになるも、重なった英寿の挑発に思いがけず鎮静化されていた。
「そっちこそ、俺を落とそうとまでして何を隠してる?」
「そうです、やり方がいつものウィンさんらしくないですよ!」
結果、いつも通りのキタサンに戻っていた。
「…さあな」
「攻略してやるよ。俺とキタサンの手で」
そうして英寿はキタサンの手も借りつつ、今回のミッションをクリアすることを誓うのだった。
「義姉様によればこの辺りで見かけたとのことですが」
「うん、たぶん近くにいるはずなんだけど…」
それから時は進み、場所は変わり沙羅に教えられて景和とダイヤは神社へ。
すると先に、同じく沙羅から連絡を受けた祢音とシュヴァルが来ていた。
「…僕達から、そう離れてはいないはず…」
「! あっ、あれ!」
互いに少女を探しにここまで来て、恐らくこのあたりのはずなのだが…
「「「「!」」」」
(ドライバーをジャマトに渡してる…仲間だったのか!)
思いは通じたのか、雑木林の中に少女を発見。様子からするにジャマトの仲間なのは間違いなさそうだった。
「──よし」
「私(僕)も加勢します!」
ならば取り返す以外に景和の脳内に選択肢はなく。
ダイヤとシュヴァルも微力ながら手伝ってくれるようだ。
「ダイヤちゃん、シュヴァルちゃん…分かった、GO!」
ならばとぶっつけ本番でも走り出す。
「はあっ!」
「ジャ⁉︎」
ジャマトは三体。
「せぇいっ!」
「ジャジャ⁉︎」
ドライバーは2個、つまり三分の2の確率。果たして引けるか。
「うおおおッ!」
「ジャア⁉︎」
そう考えながらとりあえず必死にジャマトを痛めつけ、どうにかドライバーを一個奪還。
「ドライバー奪還!」
「こっちも完了ですっ!」
「…今さらだけど怖かったあ…!」
ダイヤとシュヴァルのほうも一つ奪い返してくれたようだ。
なので片方を祢音に投げ渡す
「皆…ありがとう!」
「困った時は助け合い!」
「渡る世間に鬼はなしです♪」
「祢音ちゃんが嬉しいなら僕も嬉しい…」
サムズアップでそう景和は祢音に返し、ダイヤはいつも通りのスマイル、シュヴァルは祢音に対しては弱いからか相変わらず照れていた。
そして、ひとまず用は達したので4人は神社を後にしたのだった。
