誕生日の後の後
モテパニ作者ゆいの誕生日会の後、ゆいと拓海の二人の時間のさらに後の事。
ダークドリーム「拓海、後片付け?」
拓海「ダークドリームか」
品田家では拓海が今日の誕生日会で出たゴミや汚れた食器の一部を持ち帰りまとめたり洗ったりしていた。
ダークドリーム「バースデーソングだっけ?それを歌ってる時以外ほとんど裏で料理作ってたっていうのに片付けまでよくやるわね」
拓海「別に、あきほさんは任せてくれていいって言ってたけど俺がやるって買って出た事だし」
拓海は今回の誕生日会でとてもよく働いた。
というのも今回の参加人数は例年に比べて数倍ではきかないほどに増えたので必然的にそれを支えるためには誰かがこういった役に回る必要があったからだ。
拓海「ま、俺も料理は好きだし、みんなもいろんな食材を持ち寄ってくれたからむしろ充実した時間だったよ」
みんなもただ食って騒いでいたわけではない。
皆ゆいを祝うために食材を持ち寄って最初はみんなで料理を作ろうとしていたのだが、その場合主役であるゆいも参加したがる可能性が高いと判断してそれを避けるためにあえて拓海とあきほだけが料理を作った。
ゆいにご飯を作るのが当たり前になっている二人に。
ダークドリーム「ふぅん」
それを聞いたダークドリームは拓海の隣に着く。
ダークドリーム「手伝う。みんなみたいに何か用意したわけでも無いのにちょっと食べすぎたし」
拓海「別に気にしなくていいぞ?」
ダークドリーム「『働かざる者食うべからず』そんな言葉があるんでしょ?そう習ったけど?」
拓海「…ま、いいか」
そうして二人で片付けを進めていく。
ダークドリーム「誕生日、ね。産まれた日って祝うものなのね」
拓海「ああ、産まれてくれてありがとうってな」
ダークドリーム「そう…」
ましろ(まし拓)「そういうものなんだよ。それでね拓、わたしの誕生日は…」
拓海「7月16日だろ?」
ましろ(まし拓)「覚えててくれたの!?」
拓海「前に本人の虹ヶ丘から聞いたからな」
またしてもいつのまにか現れて片付けを手伝っていたましろ(まし拓)。
もはや拓海もツッコミすらしない。
ダークドリーム「…」
拓海「どうかしたかダークドリーム?」
ダークドリーム「ねえ拓海、あまねの誕生日っていつ?」
拓海「11月24日だぞ」
ダークドリーム「…じゃあソラは?」
拓海「9月20日」
ダークドリーム「のどか」
拓海「3月9日」
ダークドリーム「ゆりは?」
拓海「6月25日」
ダークドリーム「ここね」
拓海「3月13日」
ダークドリーム「らん」
拓海「7月11日」
ダークドリーム「ツバサ」
拓海「5月21日」
ダークドリーム「あげは」
拓海「8月8日」
ダークドリーム「ララ」
拓海「7月7日」
ダークドリーム「さあや」
拓海「6月10日」
ダークドリーム「ローラ」
拓海「6月30日」
ダークドリーム「アスミ」
拓海「8月16日」
ダークドリーム「…わかった、もういい」
拓海「どうした?別に今覚えなくても近くなったら教えるぞ」
ダークドリーム「そうじゃなくて、わかってたけどあんたってモテるタイプよね」
拓海「???」
すらすらと他人の誕生日を並べる拓海。
誕生日を知られている事に喜ぶましろを見て試しに聞いてみたら本当に止まらなくてダークドリームも面食らってしまう。
拓海「そういやダークドリームの誕生日はまだ聞いてなかったよな。いつ?」
ダークドリーム「!…無いわよ」
拓海「無いってことはないだろ。現にここにお前はいるんだから」
ダークドリーム「…そうかもね、でも少なくとも私は知らない。…誕生日が大切な日なんて生まれた時は習ってなかったから気にも止めてなかった。私を生み出した人なら知ってるかもしれないけどその人もプリキュアに倒されてもういないし、私みたいに復活してたとしても素直に教えてくれる人じゃないし、そもそも復活してるかもわからない。だから私の誕生日は誰も知らない。それだけよ」
そう言ってダークドリームは自分の洗っていた食器を片してその場を去っていった。
拓海「ダークドリーム…」
ましろ(まし拓)「ちょっとまずいこと聞いちゃったかな?」
拓海「ああ、でもあいつの言い方的に知りたくないわけじゃなさそうだ。って言っても調べる方法がな…ん?」
ダークドリームが部屋を出ると交代で妖精のましろが入ってくる。
拓海「(まあこの虹ヶ丘がいるならあっちの虹ヶ丘もいるわな)」
拓海ももう慣れたものだ。
そして部屋に入ってきた妖精のましろは何か伝えようとしていた。
このタイミングで伝えたい事ということは
拓海「ダークドリームの誕生日を知ってるのか!?」
ましろ(妖精)「____!」
ましろ(まし拓)「ふむふむ。わたしは知らないけど知ってそうな人を知ってるって」
拓海「本当か!?」
もはやましろ同士で話が通じる事にもツッコマない。
拓海はましろへのツッコミを放棄していた。
〜〜〜
ミギリン「僕はミギリン」
ヒダリン「僕はヒダリン」
ミギヒダ「「僕たち仲良しの双子!鏡の国へようこそ!」」
妖精のましろが案内した場所は異世界である鏡の国だった。
鏡の国へはミラクルライトがいるのだが、妖精のましろの光が代わりになったようだ。
ミギリン「話は聞いてるよ」
ヒダリン「キュアドリームさんのコピーの子が生まれた日が知りたいんだよね」
拓海「知ってるのか!?」
ミギリン「うん。僕らは彼女が生まれる瞬間に立ち会ってたからね」
ヒダリン「その日の事もバッチリ覚えてるよ!」
拓海「本当か!?なら教えてくれ、あいつが生まれたのは何月何日だ!?」
ミギヒダ「「わかんない!」」
拓海「ッ!お前ら!」
拓海は激昂する。
会話の流れからからかわれたと思ったからだ。
ミギヒダ「「待って!待って待って!」」
それに双子は必死に制止する。
ミギリン「わからないっていうのは本当だけど本当じゃ無いんだ!」
拓海「ッ!どういうことだ…?」
ヒダリン「こっちの世界での日付はわかるけど君たちの世界の日付はわからないってことなんだ!」
拓海「ッ!そういう事か…」
ましろ(まし拓)「考えてみたら当たり前だったね。世界が違えば常識も違うものだし」
拓海「…悪かった、事情も知らず怒ったりして、ごめん」
ミギリン「ううん僕らも勘違いさせちゃってごめんね」
ヒダリン「日付については僕たちで調べておくよ。できればそっちの日付がわかるものが欲しいな」
ましろ(まし拓)「あ、じゃあわたしの持ってる手帳に日付が載ってるから写してみる?」
そうしてミギリンとヒダリンに日付の特定を託し拓海達は鏡の国を去るのだった。
〜〜〜
それから3日。
拓海は一人自分の部屋で黄昏ていた。
あれからとても落ち着かない。
拓海「(まだか、特定作業がどれだけ大変かわからないから遅いのかもわかんねえ。俺も何か手伝うべきだったか?)」
誰かに任せるだけ、基本的に自分で動くタイプな拓海にはあまり向いてない事だった。
しかし今回の事はさすがに拓海は門外漢であるしこれが正解だろう。
そうしていると部屋にノックが響く。
ダークドリーム「拓海、お客さんだけど」
拓海「ッ!誰だ」
ダークドリーム「ましろだけど」
拓海「すぐ行く!」
すぐ部屋を出てましろを出迎える。
あまりの行動の早さにダークドリームも面食らった。
ましろ(まし拓)「やっほー拓来たよー」
拓海「虹ヶ丘!お前が来たって事は…」
ましろ(まし拓)「うん!例の件わかったって」
待ちかねた台詞を聞き拓海もさらにテンションを上げる。
そうしているとダークドリームが拓海に追いついてくる。
ダークドリーム「いきなりどうしたの?ずいぶん嬉しそうだけど」
拓海「え?ああ…」
そこで拓海は一旦冷静になる。
はたしてこの件ダークドリームには伝えるべきか否か、それを考えてなかった。
拓海が悩んでいると…
ましろ(まし拓)「実はわたし達これからデートなんだ♡」
拓ドリ「「えっ?」」
ましろ(まし拓)「行こっ♪拓♪」
拓海「お、おい」
そうして拓海はましろ(まし拓)に連れて行かれる。
そこにはダークドリームだけが残った。
ダークドリーム「デート、ね。ずいぶん嬉しそうだったのはそういう事ね」
一人残されたダークドリームはごちっていた。
ダークドリーム「あんた、一途だと思ってたのにね」
そう不機嫌そうに
〜〜〜
ミギヒダ「「わかったよ〜!」」
拓海「わざわざ調べてくれてありがとなミギリン、ヒダリン」
ミギヒダ「「なんの!なんのなんの!」」
ましろ(まし拓)「それで、結局何月何日なの?」
ミギリン「うん、そうだったね」
ヒダリン「キュアドリームさんのコピーの子の生まれた日は…」
ミギヒダ「「11月10日!」」
拓海とましろ(まし拓)はそれをしっかり聞き取った。