見世物になりながら活け締めされるアーロンです
「ぃ、離せっ!!!やめろ!!!」
両腕を後ろ手に縛られ、首の鎖で引きずられた先には、“人間”が大量にいた。
「それでは、元極悪非道の海賊、魚人アーロンの活け〆を始めさせていただきます!」
「……は?」
イケジメ、イケジメ、イケジメ…?
耳に入った言葉が上手く変換できない。
嘲りと好奇心が混じった視線が降り注ぐ。
なるほど。
これからおれは見世物になって死ぬんだな。
すとん、と腑に落ちた。
暗転。
人間の体温は魚人より高い、と聞いたことがある。無遠慮に撫で回される肌は今にも火傷しそうだ。
「人間であればちょうどこの入れ墨のあたりを刺すのですが、今回の子は半魚ですから。刺す場所は脳のここです。」
額にひんやりとした針が当てられる。
すぐにおれの熱が伝わる。
「ここの奥にある神経を、このながい針で、とん、と一刺し。そうすると一瞬びくりと跳ねて、まったく動かなくなるんです。」
針の先端が刺さる。
血液が一滴落ちる。
「魚は苦しまずに〆ると味が落ちにくいんですよ。半魚がどうなのかはわかりかねますが」
触れられた肌が痛む。
「さて、長々とお待たせしてしまい申し訳ございませんでした…」
入れ墨が太陽に焼かれたように痛む。
「参ります」
あぁ、おれはこんなところで…
暗転。