被害者と保護者達のその後③

被害者と保護者達のその後③


※ファウスト視点

※ファウストのキャラ等完全捏造












ファウストはまだ少しぼんやりとした意識の中、自分を襲った男が何かに貫かれて倒れるのを見た。


とある島でひっそりと買い物をしていたファウストは、島に住んでいた男に麻酔を撃たれて家まで連れ去られた。男は自分に劣情を含んだ目を向け、無理矢理性交しようとしたらしい。薬を打たれ、抵抗が出来なくなった自分の身体に男の欲望が当てられた時、ファウストは自分の不甲斐なさを呪った。だが、男が突然苦しんで立ち上がったかと思うと、男の身体に何かが突き刺さり、そのまま男は動かなくなった。


「ホーキンス…船長…」

男が倒れた先に、自分が所属するホーキンス海賊団船長ーバジル・ホーキンスが立っていた。彼が男の身体を、自身の能力で生み出した剣で貫いたのだ。部屋が暗くて、船長の顔は見えない。だが、その雰囲気の中に、確かな怒りを感じた。

ファウストは船長に何か言わなければと思ったが、朦朧とした頭ではなかなか言葉が出てこない。気まずい沈黙が続く。すると、ホーキンスは無言でファウストに近づき、彼を抱きしめた。

「無事でよかった…」

ファウストは、自分の身体が暖かいもので少し濡れるのを感じた。



ホーキンス船長はワラワラの実という悪魔の実の能力者であり、自身のダメージを他人に移すことが出来る。そのため、他の海賊団からは船員を自身の身代わりにしている、捨て駒にしているとよく悪口を言われるがそれは間違いだ。確かに船長が人を身代わりにしているのは事実だし、それが人から見れば非道な行いに映るのは分かっている。

だが、船長は自分達を盾にしたことは一度もない。船長に聞くと、お前達の人形もちゃんと用意してあるとは言うが、船員の中で人形が使われた者は誰もいない。他人には容赦がないが、船長は不器用ながらも自分達を大事にしてくれているのだ。


船に戻ったファウストは、ホーキンスに改めてお礼を言った後、どうして自分が攫われたことが分かったのかと聞いた。

「…お前の人形が、叫んでいるように感じたからだ。だが、居場所までは分からなかった。だから、片っ端から走り回った。ひどく疲れた。」

意外な答えに驚いた。自分はてっきり、得意の占いで探し当てたのだと思っていたからだ。

「…占っている時間など、なかったからな。」

そう言って本をめくるホーキンスに、ファウストは微笑みを返した。

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