被害者とその仲間たちのその後

被害者とその仲間たちのその後




※カク視点

※捏造過多、色々変なとこがある。










その日任務から帰ってきたルッチの様子は、明らかにおかしかった。


「一体何があったというんじゃ!!」


 カクがルッチに呼びかけるが、ルッチは何も答えずに自室へと戻っていく。他のメンバーも騒然としている。いつも通りのちょっとした任務だった筈だ、ルッチが失敗するはずはない。だが、帰ってきたルッチの顔には影が落ち、平静を保とうとしているもののいつもの落ち着いた様子とはまるで違っていた。

そして何よりも異常なのは…いつも肩に乗っているはずの白い鳩ーーハットリを腕に抱えていることだ。ハットリは何やらぐったりとしてルッチの腕の中にいた。カクは驚いた。去っていくルッチの手が、微かに震えているのを初めて見たからだ。


 しばらくして、部屋から出て来たルッチから事の顛末を聞かされたカクは再び驚き怒った。他のメンバー達も静かに怒りを露わにし、こっそり始末しに行こうと言う者もいたが、ハットリに狼藉を働いた奴はすでにルッチが始末をつけたと聞いてとりあえず落ち着いた。ルッチはあくまで諜報機関に所属(?)しているハットリに手を出すということは政府の敵にもなりうるから始末したと強調しているが、それだけの理由ではないことはルッチ以外の全員が分かっていた。


 ルッチにとってハットリがどういう存在なのかは、長年一緒にいるカクにも正直よく分からない。昔何回かハットリがどういう存在なのか直接聞いたことがあるが、答えはよく分からなかったし何と言われたかも忘れてしまった。今となっては、ハットリのことをルッチにわざわざ尋ねようとする者はいない。ルッチの側にハットリがいるのは、皆にとっても当たり前のことになっていたからだ。


 昔ジャブラが冗談のように「実はハットリがルッチの本体」だの「ハットリはルッチの兄弟が鳩に変えられた姿」だの好き勝手と言っていたが、それはあながち間違っていないのかもしれない。

「闇の正義」を信念に任務を遂行するルッチにとって、「平和の象徴」であり長年ルッチに寄り添ってきたハットリは、間接的にルッチの心を表す存在であり、それが汚されることは殺戮兵器として恐れられるルッチにとっても耐えがたいものなのかもしれない。何はともあれ、ルッチとハットリの間には言葉では言い表せない何か特別な関係があるのだと、同じシャンプーの匂いを漂わせ、いつものように過ごし始めたルッチとハットリを見ながら、カクは思った。


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