蟲の女王

祖国で多くの凶悪な悪魔や悪霊、悪性精霊を討ち祓ってきた冬の女王の異名を持つ悪魔祓い、魔女モルガン。

依頼を受け、日本のとある都市に潜む怪異を討つためにやってきたモルガンは順調にその怪異の潜伏場所を突き止めた。

魔力も万全、魔道具も取り揃えかつて対峙したデミゴットすらも即座に浄化せしめた退魔の魔術も準備したモルガンに万にひとつの敗北もない。ｰｰｰｰそのはずだった。

潜伏場所にいた怪異は大小様々な蟲型怪異の群れ。実は虫が大の苦手だったモルガンはあまりの恐怖と悍ましさに動転してしまい、詠唱済みで発動待機していた退魔の魔術も魔力が暴発、消失してしまった。

その隙を見逃さなかった蟲型怪異達は一斉に襲い掛かる。あるものは激烈な効果の媚毒を滴らせる針を突き刺し、あるものは雌殺しの特濃淫液を浴びせかける。どれかひとつでも受ければ即座に怪異の手に堕ちる劇毒を過剰に与えられたモルガンは一瞬で冬の女王から蟲型怪異の雌へと堕とされてしまった。

ｰｰｰｰその後、かつて冬の女王と呼ばれた存在は件の潜伏場所から蟲型怪異の巣である異空間へと運ばれた。

魔力は根こそぎ吸い尽くされた。乳房は改造され小型蟲型怪異の苗床となり、子宮にはみっちり詰まった怪異の幼虫が蠢き、卵巣は自らの卵子を造り変えられた蟲専用の卵子が眠る。

美しかった身体は全て蟲へと捧げられた。

やがてモルガンという最高峰より更に極上とも言える苗床より産まれた蟲型怪異達は一般人、怪異祓い問わず多くの犠牲者を生み出し、その犠牲者達を苗床として更に多くの犠牲者を増やしていく。

そんな災厄の蟲型怪異を生み出した、否。産み落としてしまったモルガンは以降こう呼ばれた。

蟲の女王、と。