【葬礼の騎士】

【葬礼の騎士】

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『俺の使命は王の守護だ。俺が生きている間、誰一人として王に刃を突き立てられると思わない事だな』


『恋が忘れられないか?無論だとも。俺が消えた後とて、俺はあの人を想い続けるに違いない』


『俺こそがベルネックだ』



【葬礼の騎士】

〈本名〉アルウェン・ベルネック

〈種族〉人間

〈性別〉男

〈享年〉23


〈性格〉

良くも悪くも一途で信念を貫き続ける。貫き続けてしまう。

良く言うのならば勇猛果敢で公明正大。悪く言えば頑固で融通が効かない。


主従を明確にすべく、主君との友情を心の内に封じるし公私を別けるからこそ部下を私情に付き合わせる事も無い─────青年期以降は、一度挫折したのか目的の為なら多少は柔軟になった


〈能力〉

受け流しを鍛え続けた果てに辿り着いた、技巧による衝撃の操作が彼の真骨頂である


突き刺さる武器の悉くを弾き流し、繰り出される技の悉くが掠るのみで敵の心臓と脳に致命的な破壊を齎す剣技は、乱戦にて無類の強さを発揮する


〈概要〉

ブライルラント王国の古い男爵家に生まれた貴族騎士であり、同時に数々の偉業を成し遂げて『銀嶺の大鷲騎士団』に生前の時点で当時の王より直々に指名された騎士である


幼少期には後の主君となる王子の遊び相手として、忍び込んだ城下町でワイバーンを力を合わせて討伐して友情を築き、


少年期では騎士団へと入団し、戦争にて純白の鎧とレイピアを伴として縦横無尽に戦場を暴れ回りて『千人斬り』を達成し、


青年期から老年期に掛けては『雨絶ち』『アルレスハイム要塞戦線攻略』『【灼業間環】の討滅及びネルヴィベルクの壊滅阻止』『赭騎士との一騎討ち』等の功績と伝説を残した



だが現代まで語り継がれる、彼の最も有名な伝説は悲愛と名高い『妖精との恋』であろう


この伝説は前半と後半に別たれており、前半では湖の妖精に恋をした彼が千夜の間新しい恋歌と花束を捧げ続けた物語


後半では河川を遡上する骨肉を喰らい尽くす百の瞳と千の指の大波なる海獣を湖の前で食い止めるべく奮戦する物語となる


戦略上では愚策と理解していながらも、それでも単騎で海獣へと突撃した彼は行方不明となるが三日目の夜に純白の鎧を漆黒に染めて大波の心臓と共に帰還した


彼はこの戦いについて何も語らず、黒に染まった鎧を一時とて脱がなくなり、そしてその後も縁談を断り続けた事から数々の噂や考察が囁かれている



〈最期〉

かつて友情を築きながら主従に徹し続けた老王の死に際に立ち会った翌日に、彼は自宅で絶命していた。


その黒鎧を剥がす事は能わず、『生涯のみならず。死後も尚、騎士と喪に服し続けた【葬礼の騎士】』と吟遊詩人に謳われた



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【老いた男と、黒色の騎士鎧だけがその寝室に居た。老いた男は既に身体を起こす気力も無くして、寝台に横たわって死を待つだけの状態となったが、その顔は安らかだった】


「……………息子は立派に王の務めを果たせるだろう」


『俺もそう思います。やんちゃだったアイツがかと思えば、感慨深いものです』


【老王は微かに口角を上げた。後継は上手く行きそうで、自分が死んでも問題なくブライルラント王国は運営されてゆくであろう】


【ならば死に際の老耄れが多少我儘に欲を出しても構うまい。ずっと仕え続けた幼馴染は模範を示さなくてはと頑固であったが、この期に及べば模範も何も無かろう】


「此処には儂とお前の二人きりであるな。他の者はもう全員出て行かせた…………」


『我が王、何を言っ』


「儂とお前の仲であるが、どうやら儂の方が先に逝く事になりそうじゃ………誇ってくれ。お前は、幼き日の誓いを見事に果たしてくれた」


【黒鎧の騎士は硬直した。それにも気付かずに、老王が軽く笑いながら騎士に向けて友情と感謝を滲ませながら語り掛ける】


「…………規範も、模範も、もう此処には無いであろう。儂の手を握っとくれ、最期の願いなんだ。逝く時だけでも、儂をお前の友として逝かせておくれよ」


【黒鎧の騎士は逡巡してから、ゆっくりと老王の手を握った】





【老王が痙攣する。臓腑の底から湧き上がった感情は、老いた躰に鞭打つ様な激しい咳き込みとなった。安らぎに満ちていた先程までの表情は何処にも無い。驚愕と、困惑と、そして当たり前だと思っていた事実を覆されて不安の中に堕ちてゆく絶望がその濁った双眸を彩っていた】


「お前は───────誰だ」



『──────俺こそがベルネックだ』


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『曇天の様な静かで優しい恋でした。森の様に穏やかで美しい恋でした。─────運命の雨に押し流されて、水底に沈んでしまった愛でした』


『俺は、わたくしの、自慢の素敵で最愛の旦那様でした』


『わたくしだけがベルネックです』


【葬礼の騎士】

〈█名〉妖精騎士ベルネック

〈種族〉妖精

〈性別〉女


〈概要〉

王の守護を愛する夫より託された、たった一羽のか弱い妖精の女性。それこそが【葬礼の騎士】の正体である。


アルウェン・ベルネックは確かに大波を退けた。衝撃を通さぬ分厚い脂と肉の鎧をそのレイピアで切り裂き、蒼褪めた血の滴る心の臓を抉り出して恋人と王の両方を護った。その命と引き換えに


体積の67%を喪失しながらも、彼は命辛々湖へと辿り着き。恋人と結婚式を挙げて、王の守護を願いながら骨肉を貪れ尽くされる苦痛の中。安らかに死に絶えた



余りにも惨い死に様の夫を彼女は優しく湖の底へと迎え入れ、そしてその遺志を継いだ。戦に触れた事すら無かった彼女は夫の剣技を身に付け、彼女にとっては激毒となる金属にすらも。王が死ぬまで全身を覆い纏うのを耐え続けた


王が死に、夫の遺志を見事に果たした彼女はこの世に固執する理由が消え失せた。意思一つで耐えてきた金属の毒によって、ただ夫と同じ場所に行ける事を願いながら塵となって終わった



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