萬花快楽調教録

萬花快楽調教録




ひゅーひゅーと木枯らしが吹きまわれば、身体は寒いなと震え始める。季節の変わり目は体調を壊しやすく、それは呪いの王とて例外ではない。

「くしゅん!」

宿儺はくしゃみと共に鼻水を垂らす。目が痒い。鼻が出る。くしゃみが止まらない。その三重苦にはさしもの彼も参っていた。

宿儺の特徴である複眼や腹部の口。戦闘面では大いに役立つこの機能も、病気という災厄に対してはめっぽう弱く。

目の全てが痒ければ常人の比ではなく。腹の口からもくしゃみが止まらなければロクに服を着込むことも布団に籠ることもできず。

結果、宿儺はこの肌寒い季節において羽織り一枚で過ごす羽目になっていた。

「宿儺様。朝食が出来ました」

従者・裏梅がお粥を乗せた盆を持って部屋に入る。

普段ならこんな時こそ宿儺の好物である人肉料理で精をつけてもらいたかったが、病人相手にそんなことをすれば逆に体調を崩してしまうため、裏梅はただのお粥を用意していた。

「ああ」

宿は小さく返事をすると、ゆっくりお粥を口に運び、その味と温かさを噛み締める。

ただの粥でも裏梅が手を加えれば一級の品になる。宿儺の風邪で荒んだ心が、この美味さに少しだけ和らいだ。

「裏梅」

「はい」

「俺の予感だとそろそろ奴がくるやもしれん」

その言葉に裏梅はげんなりとした表情を浮かべる。

宿儺の言う『やつ』とは万という女である。

異形と揶揄される宿儺に好意的な数少ない人間ではあるが、その好意が厄介だった。

常時全裸で過ごし、顔を合わせればところ構わず抱きつき、キスをせがみ、性行為をせがみ、いくら追い払われようとも構わず迫り続ける。最近に至ってはこの住処も特定され、頻繁にやってきては追い返される日々が続いていた。現代で言うストーカーの部類である。

宿儺は万が不敬を働く度に斬撃で対処するのだが、それすらも悦びらしく、なまじ頑丈であるため殺すこともできず。かといって開(フーガ)まで使えばなんだか万に負けた気がするので使えず。

そんな彼女との日々が、傍若無人、唯我独尊の権化たる宿儺の悩みの種だった。

「奴が来たら適当に相手をしてやれ。手段は問わん」

「かしこまりました」

裏梅は恭しく頭を下げ、部屋を後にする。


(さてどうしたものか)

部屋を後にした裏梅は口に手をやり考え込む。

こういう時の宿儺の勘はよく当たる。万が来るのはほぼ確定だろう。正直、裏梅からしてもさっさと殺してしまえればいいのだが、なにぶん彼女は強い。宿儺でも無理な以上、裏梅ではどうやっても殺すのは不可能だ。それに、単純に戦力として数えるならこれ以上ないほどに有用である。宿儺に向ける変態性をどうにかして抑えられればいいのだが...

(ーーーまてよ)

ふと、裏梅に妙案が浮かぶ。

何度切られても纏わりつく執着心は、見方を変えれば絶対的な忠誠心になる。ようはその執着心が宿儺に向かわなければいいのだ。それはつまり

(私が奴を手籠にすれば全て解決するのではないか?)



「宿儺!宿儺!すっ!くっ!なぁ〜〜♡」

スキップしながら宿儺の名を呼び、羽織一枚のほぼ全裸で山林を駆けるのは万。今日も今日とて愛しい宿儺のもとへ向かっていた。

「万様!いい加減にしてくださいませ!せめてもう少し礼節を弁えた服装を!宿儺様たちへも失礼です!!」

「うっさいわね!これが私よ!結婚するなら私生活も丸見えなんだし取り繕う意味もないでしょ!」

ひぃひぃと息を切らしながら付いてくる側女を万は一喝し、そのまま林を抜け宿儺の屋敷まで辿り着く。

玄関に立っていた裏梅は、万の姿を見るとはぁ、とため息を吐くいた。

「本当に来るとはな...」

「宿儺いる?」

「...門を抜ければそこで待っている」

その言葉に万はほぼ反射的に戸を開ける。

いた。毛布に全身がくるまって背中を向けているため顔こそ見えないが、あの体格は間違いなく宿儺だ。

「宿儺ぁぁぁぁぁ〜〜〜♡今日こそ子供をこさえましょう〜〜〜♡」

全速力で飛びついたその瞬間、万は違和感を抱く。冷たい。死人は体温が低くなるものだが、それ以上に冷たい。まるで氷だ。そう思った瞬間

「氷結牢」

その裏梅の言葉と共に、宿儺と思っていたものが崩れ、万の全身を包み込み全てを凍て付かせた。


地下座敷。

座敷とは名ばかりの、躾用の牢獄だ。

「ちょっと裏梅!どういうつもりよあんた!?」

氷での全身拘束が解けるなり、万は凄まじい剣幕で食ってかかる。

「まだそこまで元気があるか...相変わらずしぶといな下﨟」

「どういうつもりかって聞いてんのよ私は!」

「私が貴様を宿儺様のもとへ案内するはずがないだろう...少しは考えろ」

「くううう、純情な乙女の恋心を弄ぶなんて...この卑劣漢!」

「私は女だ...貴様、いまの状況が飲み込めていないようだな」

見下してくる裏梅にも万は怖気付かず、かえって鼻で笑ってみせる。

「ハンッ、あんたが私に勝てると思ってんの?こんな手枷、あんたにはちょうどいい手加減よ」

万は己の両腕を拘束する氷の枷をこれみよがしに掲げる。

「確かに私では力が足りん。だが、貴様を黙らせるのにわざわざ術式勝負に持ち込む必要はない」

「?」

「来い」

「はぁい、裏梅お姉様!」

裏梅の合図と共に、てててと万の側女が駆けてくる。

「あ...あんたなにやってんのよ!?早く私を助けなさいよ!折檻されたいの!?」

ニコニコと笑顔を浮かべ、裏梅の側に立つ側女に、万は普段のように強気で当たる。普段ならこれで折れて言うことに従うのが彼女だ。だが。

「イヤで〜す♩」

少女は、なんら臆することなく万の言葉に逆らった。

「は...?」

その反応に万は思わず言葉を失う。

「だって万様、私の言うこと全然聞いてくれないじゃないですか!なんで服を着ることすらしてくれないんですか!?」

「はぁ!?私がどうしようが私の勝手でしょ!?」

「ほらそうやってすぐにわがままばかり!そんな人は裏梅お姉様に矯正されちゃえばいいんですよ!」

徐に抱きつく側女に、裏梅は優しく頭を撫でる。

「くううう、あんたいつの間にそいつをたらし込んだのよ裏梅!」

「貴様が凍りついている間に話を聞いてやっただけだ。相当溜め込んでいたようだぞ?」

「裏梅おねぇさまぁ」

側女はいかにも甘ったるい声音で裏梅にすがりき、求めるように頬を染めて唇を突き出す。

「ふふっ、そうだな。お前の心はもう奴のものではないと見せつけてやるとするか」

裏梅も満更ではない様子でその要求に答える。

「ち、ちょっと……待ちなさいよ!何よそれ!?」

目の前で繰り広げられる恋人のような二人の姿に、万は信じられないと声を荒げる。

主人を裏切り裏梅に走るなど絶対にありえないことだと万は思うが、目の前の光景は疑いようのない現実としてそこにある。

「んっ、ふぅ...」

ぴちゃぴちゃと水音が部屋に反響する。側女が裏梅の舌を口で受け止め、それを舐っているのだ。

「んはぁ……んっ、おねぇさま……♡」

「ふっ、可愛いやつめ……」

蕩けきった顔の側女に裏梅は微笑み掛けると、そのままその小さな口へと舌を挿し入れた。舌と舌が絡み合い、唾液が混ざり合う音が万の耳にも届く。

「……っ!……っ!」

その光景に万は何も言えなかった。目の前の光景をただ眺めることしかできない。

万に見せつけるように裏梅は側女に舌を絡ませる。側女もまたそれに懸命に応える。

「あ……あんた……」

ふと、裏梅の眼と視線が合う。万は何故かそこから目が離せなくなる。吸い込まれてしまいそうな瞳に見つめられ、万の思考力が奪われていくようだった。

(やだ……なんで?なんで私こんな気持ちになってるのよ……)

側にあったものを顔見知りに奪われる。『脳が破壊される』『NTR』。現代でいうそれらの感覚を、万はいま初めて身をもって思い知らされていた。

「...どうした?羨ましそうな目で」

「そ、そんなわけ……!」

裏梅に問われ万はハッと我に帰る。

しかし、一度意識してしまった感覚はもう振り払うことはできなかった。

(なんで……なんでこんな奴に私が嫉妬しなくちゃいけないのよ……!)

顔の温度が急激に上がるのを感じる。火が出るかのように熱く、心臓もバクバクと激しく暴れているのがわかる。

そんな万の様子を見て裏梅はくすりと笑みを浮かべると、側女の頭を撫でながら耳元に口を寄せる。

「奴め、お前の痴態で興奮しているようだぞ」

「っ!」

裏梅の囁きに、側女の顔がさらに紅潮する。

「わ、私はそんな……!」

「そう恥ずかしがるな。ほら、もっと見てもらえ」

側女は裏梅に促されるまま、万へと身体を向ける。そして大きく脚を広げると……自らの秘部に指を這わせた。

「……っ!ちょっあんた!何してんのよ!?はしたない!」

「いつも全裸の人に言われたくありません……んんっ」

万の言葉を無視し、側女の指がゆっくりと自身の中に沈み込んでいく。すでに湿っていたのかぐちゅっと粘っこい音を立て、指が奥へと入り込んでいく。

「ん、はぁっ♡裏梅お姉様♡」

「ちょ...変な声だすんじゃないわよ...」

裏梅を想い自慰する側女の淫靡な姿に、万は思わず顔を赤らめ背ける。(何よあれ……あんなの私の知ってるあの子じゃないじゃない……)

だが、その姿から目を離すことができない。万は激しく動悸する胸を押さえながら側女の痴態を凝視する。

「んっ♡裏梅おねえさま♡あっ♡これっ♡」

万に見られていることに興奮したのか、側女の手つきが激しくなる。自らの中の感じる部分を何度も擦り上げるその姿は、もはや少女のそれではなく女そのものだった。

そんな官能的な光景に、万はごくりと生唾を飲む。

「んんっ♡はぁっ♡おねえさまぁ♡」

「いいぞ、そのまま達しろ」

裏梅の言葉と共に側女が限界を迎える。全身が大きく痙攣し、秘部から大量の潮が吹き出した。それが万の顔に飛び散り、熱を持った顔をひんやりと冷やす。

(う……っ)

万は目を逸らしたかったができなかった。自身の中の得体の知れない何かがそれを阻止しているようだった。

「はぁ……はぁ……」

余韻に浸りながらもようやく果てた側女だったが、そんな側女の元に裏梅は近づき、彼女の顎にそっと手を添えた。

「そこまで望むなら応えてやろう」

「え……きゃぁっ!」

裏梅はそのまま側女を押し倒し、馬乗りになる。そしてそのまま彼女の小ぶりな胸に手を伸ばすと優しく揉みしだいていく。

「んっ♡あっ♡おねえさまぁ♡」

小さく喘ぐ側女の胸の先端が徐々に膨らんでいくのがわかる。裏梅はそれを見てニヤリと笑うと、その突起を摘み上げた。

「ひぅんっ♡♡♡」

敏感な部分を摘まれ、思わず側女は背中を仰け反らせる。そんな反応に気を良くした裏梅はそのまま乳首をコリコリと転がすように弄ぶ。

「んあっ♡だめですっ♡ちくびぃ♡」

快楽から逃れようと身をよじる側女だったが、万はそれを止めもせずただ眺めることしかできないでいた。

(あ、あいつら〜!!私がここにいるっていうのに〜〜!!)目の前で繰り広げられる卑猥な光景に、万は怒りを覚える。

だがその怒りも目の前の光景によって次第に塗りつぶされていき、いつしか彼女の目には羨望すら映し出されていた。

(ぐっ……なんで私がこんな奴らのを見なくちゃいけないのよ……!)

内心そう毒づきながらも視線は裏梅と側女に釘付けになっている。その光景が興奮を呼んでしまうのか、自分の股からとめどなく液があふれ出していることに万は気づいていた。

(まさか私……興奮してる?あいつらの情事を羨ましいと思ってる?)信じられないと万は何度も首を振るが、その光景から目を離せないのが何よりの証拠だった。

そんな万の心の内を知ってか知らずか、裏梅は側女への責めを再開する。

「ひゃうっ♡♡♡」今度は耳への愛撫だ。裏梅は舌を出し、そのまま彼女の耳に這わせていく。ぴちゃぴちゃという水音が直接脳に響き、側女はさらに激しく悶えた。

「んっ♡おねぇさまぁ♡」

「どうだ?気持ちいいだろう?」

「は、はいぃ♡きもちいですぅ♡」

側女は蕩けきった顔で答える。そんな彼女の表情に裏梅も満足げに微笑み、側女の顔へ自らの顔を近づけるとそのまま唇を重ねた。

「んっ♡ちゅっ♡おねえさまっ♡」

舌を絡ませ合いながら二人の唾液が混ざり合う。そのまま女性器同士を重ね合わせて腰を揺らし、二人は快楽を貪り始めた。

「んんっ♡ちゅっ♡おねえさまっ♡」

側女は甘えるような声を出しながら裏梅を求める。それに応えるように裏梅は側女を抱きしめ、激しく腰を打ち付けた。その度に肉同士がぶつかり合いパンパンと乾いた音が響く。その衝撃に二人の胸がぶるんぶるんと揺れ、それを見ている万の興奮もどんどん高められていく。

(な……何よこれ……こんな激しい……こんなの見せつけられて私どうしたら……!)

「んっ♡んちゅっ♡おねぇさまっ♡んんっ♡」

側女もそれに応えるように自らも腰を動かして裏梅のそれを迎え挿れる。その度に二人は口を、女性器を重ね合い快感を高めていく。

(あ、あんな激しいの……女の子同士ってああなるの?)

目の前で繰り広げられる淫らな光景に、万は目が離せなかった。あんな風に抱かれたらどれだけ気持ちいいのかと考えてしまい、ごくりと生唾を飲む。

(って違う違う!!何考えてるのよ私!?)

はっと我に帰る万。だがそんな思考もすぐに快楽の波に流されていく。

「はぁっ♡おねぇさまぁ♡」

側女の目がトロンと緩み、もはや万の存在など気にもとめていないようだった。そんな彼女の様子を見て裏梅は笑みを浮かべると、さらにピストン運動を加速させた。

「あっ♡イクッ♡イッちゃいますっ♡」

「ああっ、私もだ!」

そして二人の動きが止まり、絶頂の時を迎える。側女の体がビクンと大きく痙攣し、絶頂を迎えたことがわかる。

「う...ぁう...」

その光景に万は思わず声を漏らす。まるで自分も絶頂しているかのような感覚だった。

「あれぇ?万様もイキたいんですかぁ?」

「ッ!?」

小馬鹿にしたような側女の声に万は腹の芯から熱くなっていく感覚を味わう。

「な、何言ってんのよあんた……」

だがそんな言葉とは裏腹に、万は無意識のうちに自分の太もも同士を切なげに擦り合わせていた。

(あ……何してるの私……)

そんな自分に驚いたのも束の間、側女の手が万の秘部へと伸び、指を突き立てられた。

「うぁっ!?」

突然の刺激に思わず声を上げる万だったが、そんな反応には目もくれず側女は彼女の膣内で指を暴れさせる。

「んっ♡んんっ♡」

(なにこれっ……自分でするのと全然違う……!)

自分の指とは違う予測不能な動きに翻弄される万。

そんな彼女を側女はくすくすと嘲笑う。

「いつも足蹴にしてる小娘にいいようにされてどんな気分ですかぁ?」

「んっ♡んんっ♡」

(うるさいわよ……!)

万は必死で声を漏らさないよう唇を嚙みしめるが、それでも漏れ出る吐息までは抑えることはできなかった。

「ほらほら、我慢しないでイッてくださいよ〜」

そう言いながらも側女は指の動きを止めようとしない。むしろその動きはさらに激しさを増していくばかりだ。「やっ♡だめっ♡イく……っ!!」(だめぇ!このままじゃほんとに……!)

絶頂に達してしまいそうになったその瞬間、突然側女の責めが止んだ。

裏梅が止めたのだ。

「お姉様?」

「イカせるのはこいつ自身が望んでからだ」

「なるほど、さすがおねえさま♡」

「あ……」

寸止めを食らい、万は無意識のうちに切なげな声を漏らす。そんな彼女の様子を見て裏梅は再び唇を重ねた。

再び行われる淫らな光景に万は目が離せない。

「んふ……ちゅっ」

裏梅の舌が口内に侵入し、側女もそれに応えるように舌を伸ばす。そしてお互いの舌を絡ませ合い、唾液を交換し合う。その間も二人は下半身で繋がり続けていたが、やがて側女が顔を離すとそこには銀色の橋がかかる。その淫靡な光景に万は思わず唾を飲んだ。

(すご……あんな風にされたら絶対気持ちいいんだろうな……)

二人の絡み合いから目が離せず、思わず自分の指で秘所を弄ろうとしてしまうが、しかし手は拘束されており弄ることすらできない。

構築術式で道具を作ろうにも結局、手が動かなければ使えないので意味がない。

「〜〜〜ッ、ね、ねぇ!」

万ば堪らず声を張り上げる。

「なんでしょうかぁ?」

側女はニヤニヤと笑みを浮かべながら万の顔をのぞき込む。その様子に一瞬怯むが、それでも万は口を開いた。

「わ、私にも……」

そこまで言ったところで口をつぐみ、俯いてしまう。その様子を二人は無言で見つめていたが、やがて側女が口を開く。

「もっとはっきり言ってくれないとわかりませんよぉ?ほらぁ♡」

そう言いながら万の胸を揉みしだく側女。まるで万の言いたいことなどお見通しだと言わんばかりの態度に、万は悔しげに顔を歪める。

だがもう限界だった。

「わ、私にも……して……」

消え入りそうな声でそう言った後、万の顔は真っ赤に染まった。羞恥心と屈辱感で胸がいっぱいになるがそれでも身体の疼きは収まらない。

そんな万の様子に二人は満足げな笑みを浮かべると、裏梅は胸を、側女は膣を触り始める。その瞬間、今まで感じたことのない快感が押し寄せてきた。

(な、何これ……こんなの知らない……!)

未知の快感に戸惑いながらも万の身体は正直に反応してしまう。そんな反応を楽しむかのように裏梅はそのまま指先で転がすように彼女の胸を、側女は下をいじくり回す。その度に万の口から甘い声が漏れ出る。

(んっ♡だめっ♡気持ちいい……っ)

乳首と陰核を同時に刺激され、万は一気に絶頂を迎えそうになるがギリギリのところで踏みとどまる。

「ね、ねえ……お願いだからイカせて……」

「えぇ〜?どうしよっかなぁ?」

側女はわざとらしく考え込むような素振りを見せるが、その間も彼女の指の動きは止まらない。万はそのもどかしい感覚に身悶えしながら懇願し続ける。

「わ、わかった!わかったからぁ!」

そんな万を見て裏梅は小さく囁く。

「頼み方というものがあるのではないか?」

裏梅の言葉に万は一瞬躊躇したが、すぐに口を開いた。

「お願い……イカせて……ください……」

そんな万の懇願に、側女と裏梅はニヤリと笑みを浮かべる。

二人の指の動きがさらに激しくなる。胸はグニグニと形を変え、陰核をつままれ転がされる度に耐え難い快楽が押し寄せてくる。そしてついにその時が訪れた。

「い、イグっ!イグゥ♡おっほおおぉぉぉぉ♡♡」

ビクンと身体を仰け反らせ、獣のような喘ぎ声を上げながら万は絶頂に達した。下半身からはプシッという音と共に潮を吹き出す。その光景を見て側女は楽しそうに笑うと再び耳元で囁く。

「ふふ、イっちゃいましたねぇ」

「あ……ぁ……」

(すごかった……こんなに気持ちいいんだ……)

見下している二人からの陵辱。しかし、それを受けた本人の顔はどこか嬉しそうだった。

だがまだ足りない。まだ、持て余す情欲は収まらない。

「ね、ねえ。もっと、もっとちょうだい♡」

万は蕩けきった顔で二人に懇願する。その姿はもはや最低限の品性すらかなぐり捨てた無様なもので。まさに発情期の牝犬そのものであった。

その様を見ながら裏梅の胸がゾクゾクと高鳴っていく。

普段は宿儺の迷惑ばかりかける女が、こうして自分に媚びへつらい情欲を滾らせている。その事実に、裏梅の秘裂も熱を持ち始め濡れ始める。

「牝犬が...犬なら犬らしいおねだりでもしてみるがいい」

「ほら、わんわーん♡」

側女の煽りに一瞬ムッとする万だったが、裏梅に従い、両足をガニ股で開き自ら女性器を曝け出す。

犬の芸の一つ、『ちんちん』である。「お、お願いだわん。万の身体を鎮めてほしいんだわん♡」恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、万は裏梅と側女に見せつけるように腰を振りながら懇願する。その姿は傍から見ればあまりにも滑稽であったが、今の彼女にとってはそんなことはどうでもよかった。早くこの疼きを鎮めてほしいという思いだけが彼女の心を支配していた。

「ふふ、いいだろう」

そんな万の姿を見た裏梅は満足げな笑みを浮かべると、己の掌に氷の棒を作っていく。現代で言うところの『双頭ディルド』。裏梅は氷の術式でそれを平安の世に生み出したのだ。「これでどうされたい?自分で慰めるか、それとも私に犯されたいか?」

「ど、どっちも……」

「欲張りなやつだ」

そう言いながらも裏梅は氷のディルドを装着し万の秘部へと近づける。ひんやりとした感覚が敏感になった彼女の肌に触れる。それだけでビクッと反応してしまうが、同時にこれから与えられるであろう快楽への期待感で胸が高鳴るのを感じた。

(あぁ……早く欲しい……)

頭の中はもうそれでいっぱいだった。ただ目の前の快楽を求めるためだけに身体が動いてしまう。

「お、お願いします……その氷ちんぽで私のおまんこをめちゃくちゃにしてください……!」

万の言葉と共に裏梅はその氷の棒を万の秘裂へと突き立てる。瞬間、凄まじい快感が万の身体を駆け巡った。

「あひいいぃいい♡♡♡」

(しゅごいっ♡冷たいのきもちいぃぃっ♡♡♡)

ビクンと身体を仰け反らせ、だらしなく舌を出しながらアヘ顔を浮かべる万。そんな彼女の反応を見て裏梅はさらに奥へとディルドを押し込んでいく。

「んおおぉっ♡らめぇっ♡これすごいぃぃいっ♡♡♡」

膣内を圧迫される感覚に、万は涙を流しながら絶叫する。だがその叫びとは裏腹に、彼女の秘部からは大量の愛液が流れ出していた。

「ふふ、これだけでも十分気持ち良さそうだな」

そんな光景を見ながら裏梅は満足そうに微笑むと、ゆっくりと抜き差しを始めた。「んおっ♡おほっ♡」氷で出来た亀頭が膣壁を擦る度に万の口から甘い声が漏れる。氷で出来ているため、その冷たい感触も彼女にとっては堪らない快感であった。

「どうだ?気持ちいいか?」

「は、はいぃ、気持ちいいです♡」

快楽に蕩けきった表情を浮かべながら万は答えた。もはや彼女に羞恥心などなかった。ただ純粋に快楽を求めるだけの牝犬になっていたのだ。そんな彼女の様子に気をよくしたのか裏梅はさらに激しく責め立てる。パンッ!パァン!肉同士がぶつかり合う音が響き渡るほど強く腰を打ち付けられ、快楽で思考が塗りつぶされていく。

(イクッ♡イッちゃうぅぅう♡♡♡)

絶頂に達しようとしたその時、突然裏梅の動きが止まった。

「え……?」

絶頂寸前で寸止めされたことで万は困惑の表情を浮かべる。そんな彼女に向かって裏梅は言った。

「イキたかったか?」

その問いかけに万は黙って頷くことしかできなかった。その様子を楽しげに眺めながら裏梅は再びディルドを動かすが、今度は先程よりもゆっくりとした動きだ。決してイカせることはないギリギリを責め立てる動きに万はもどかしさを感じる。

(どうしてぇ……もっと気持ち良くなりたいのにぃ……)

切なげな表情を浮かべる万を見て、裏梅は口角を上げた。そして彼女の耳元に顔を近づけると囁くように言う。

「イキたいならちゃんとおねだりしてみろ...可能な限りいやらしくな」

その言葉に万はゴクリと喉を鳴らすと、大声で叫ぶ。

「う、裏梅様の氷ちんぽでこの牝犬の雑魚まんこをイカせてくださひぃぃいっ♡♡♡」

言い終わる前に裏梅のディルドが動きだし、一気に子宮口まで突き上げられる。その瞬間、視界が真っ白になるほどの強い衝撃が万の身体を駆け巡った。「んほおぉぉおおっ♡♡♡♡イグぅぅううぅぅっっ♡♡♡♡」

ガクガクと腰を震わせながら絶頂を迎える万。しかしそれでもなお裏梅の動きは止まらない。休む間もなく連続で絶頂を迎え続ける彼女に、さらに追い討ちをかけるように側女が囁く。

「いまの万様、すごくかわいいですよ」

「んっ♡あっ♡もっと見てぇっ♡」

(二人に見られてるのにっ!恥ずかしいのに……それがすごく興奮するのぉっ♡♡♡)

二人に見られながらの性行為に興奮しっぱなしだった。そんな彼女の様子に、裏梅と側女は顔を見合わせ笑みを浮かべる。

「ふふ、いいぞ」

「いっぱい乱れてくださいね〜」

二人の言葉が引き金となり、万は快楽の海に沈んでいく。

「んほぉっ♡イグッ♡またイッちゃうぅぅううっ♡♡♡♡♡」

休む間もなく連続でイカされ続け、万は涙を流しながら絶叫した。だがそれでも裏梅と側女は手を緩めることはなく、さらに激しい責めを続ける。二人の容赦ない攻めに万は何度も絶頂を迎えた。

何度も。何度も...

側女を侍らせ、ピクピクと痙攣する万を見下ろし、裏梅の心は充実する。

気分がいい。

己よりも強い者を屈服させるというのは。その傲慢さをへし折るというのは。

何より、宿儺のもとへこの女を向かわせなかった任務を果たせたのは。

「ーーー」

ぼそぼそと何事かを呟く万に耳を寄せる。負け犬の戯言でも聞いてやろうかと。

「テンション上がったきたぁ!!」

だが。返ってきた言葉は裏梅の望んだものにあらず。

氷の枷を瞬く間に力で破壊し自由を取り戻した万に、裏梅は呆然と「は?」と声を漏らす。

その隙を万は見逃さない。

鼻息荒く、裏梅を押し倒しその唇を貪り始める。

「!?」

じゅるるるるる♡という下品な音を立てながら万は裏梅の口内を蹂躙していく。

突然のことに驚きながらも裏梅は必死に抵抗するが、万の力が強く離れない。

「れろぉ♡じゅぞっ♡んぶぅっ♡」

抵抗許さず繰り出される舌技に裏梅は為す術もなく口内を蹂躙される。

「ぷはぁ♡ふふっ♡まだまだ...もっと私を満たしなさい」

「ひっ!?」

逃げようとする側女諸共、裏梅にも構築術式で作った手枷と足枷を嵌め、舌なめずりと共ににじり寄る。

「まだ足りないわよあんた達...もっと、もっと気持ちよくしてあげるんだからぁ♡」

構築術式によって次々に生み出されていく道具に裏梅と側女の喉がひっとなり、数秒後、三人分の悲鳴が地下座敷に木霊した。



「あー気持ちよかった!これを活かして今度は宿儺の心臓も鷲掴みよぉ!」

蕩けた顔で痙攣する側女を小脇に抱えて猛烈ダッシュで帰っていく万。

残された裏梅は疲れ切った身体に鞭を打ち、一面に飛び散った3人分の体液の掃除を始める。

「...ぐすっ」

今日は宿儺に会わせないという任務は達成できたものの、結局、万に敗北した事実は変わらない。風邪をひいたわけでもないのに鼻水をすする彼女の嗚咽が、虚しく地下座敷に響くのだった。


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