船乗れ√キッドとキラー

船乗れ√キッドとキラー


※オリキャラ注意

オチを上手くつけられなかった…ポロッ








「お前、俺の船に乗れ」

目の前の若いルーキーがおれに手を差し伸べる。

だが、おれはその手を握り返すことが出来ないでいた。


赤髪に大敗を喫したあの頃から、おれはずっと自分をねじまげて、1番大嫌いな生き方をしてきた。

今更海に出てどうなる?麦わらやトラファルガーと再会した時おれはどんな顔をすればいい?

何より少し離れた場所に立ってるおれの相棒…キラーには随分ひでぇことをしてきた。

だから、今更戻れるはずがないんだ。あの海に。

なれるはずないんだ、お前らの仲間には。


「お、おれ、は」

頬に伝う汗と口元の震えをその身で感じながら拒絶の言葉を口に出そうとしたその瞬間。

突然肩に手が置かれた。驚いて振り返るとそこには見慣れた男の姿があった。

「……キラー?」

「行くぞキッド」

そう言うなりキラーはおれの腕を掴み歩き出した。

「ちょっ……」

慌てて止めようとするも、キラーの力が強く振りほどくことが出来なかった。


「おいっ!な、なんで」

戸惑いを隠せないまま声を上げると、キラーは無表情のままこちらを見下ろしてきた。

そして一言だけ言い放った。


「行こうぜ、相棒」


いつも通りの声色だったが、どこか優しさを感じた。

あぁ、こいつはわかってんだな。おれの気持ちなんて全部。


おれはただ黙って首を縦に振った。


「いいぜ、お前らの航海に付き合ってやる」

その言葉を聞いてルーキー共は嬉しそうな顔を浮かべていた。

全く単純だなこのガキ共。だけど悪くねぇ気分だ。

「よーし!じゃあ出航するぞ!」


船長であるルーキーがそう叫ぶと、ものすごい速さで走り出す。ほかの船員も「おい待て船長!」などと口々に言いながら後に続く。


「なぁキッド、またよろしく頼むぜ」

隣に立つキラーに声をかけられた。


「……おう!」

笑顔と共に返された返事を聞くと、キラーは満足気に微笑み、俺の右腕を掴むと前を走るルーキーを追った。


船に着くまでは絶対に離さないという強い意志を感じ、思わず笑ってしまった。



この後やっとルーキーに追いついたおれたちが、奴が乗るそのお粗末な船を見て絶句することになるのはまた別の話。




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