職人の朝は早い
ユユツオルタの人では無いのですが書いてみました
ギー壷職人の朝は早い
ユユツオルタは朝日が昇ると共に起き出し、まず倉庫に向かいギー壷の確認をする。
これはとても重要な事で、少しでもギーに異変があると弟たちの安眠に関わるためだ。確認には年単位での修行を必要とする。
あいにくこの日は前日に、スヨーダナらが暴れて壷が全滅してしまったのでその審美眼を見ることは出来なかった。
壷の件は残念だったが、ユユツオルタのする事が無くなった訳では無い。壷が全滅したのならすることは決まっている。壷を焼くのだ。
まずそのまま倉庫に保管してあるインド原産の土を持てるだけ持って、アヴィケブロンの工房に向かう。勝手知ったるとばかりに工房に入ると、家事ゴーレムに使用料の対価の土を渡す。
ユユツオルタが持ち込む土は大地の女神の加護付きなので、あるのとないのではゴーレムの性能が雲泥の差なのだとか。
プリトヴィーの好意によりほぼ無限に供給されるそれらを有難く使用し、手慣れた調子で壷を作っていく。
これがまた重労働である。なんせ190もある体躯をすっぽりと納めて余りある大きさにしなければならないのだ。今回はそれが2桁も、だ。
細部にもこだわり抜いて、時には満足のいく出来になるのに一日では足りないこともあるのだとユユツオルタは語る。その眼差しは狂気を感じるほどに真剣だった。お昼を食べてまた戻ると壷がずらりと並んでいて壮観だ。余った粘土を貰って一緒に捏ねる。ユユツオルタはインドの工芸品なども作っていて、一緒に釜に入れると焼きに入った。
ここでしばらく壺からは離れる事となる。
ゴーレムを引き連れたユユツオルタが次に向かったのはシュミレーションルームだ。
ダビデが運営する牧場から搾りたて牛乳を貰うのだと。
ギーはバター、つまり牛乳は原料な訳だが、そこもこだわるのも職人ゆえか。
牧場でのびのび育った牛から乳絞りをして、ダビデには対価として以前に作ってあった粘土細工を渡す。物々交換である。
そんなものでいいのか聞いてみたところ、ユユツオルタの粘土細工はいい値段で売れるのだとダビデは言う。(商売に誘ったが興味が無いみたいで断られたらしい)
ユユツオルタは目の前に積まれた超巨大ミルク缶の前に立つと、ゴーレムに指示を出して倉庫に運び込んでいく。
倉庫までついて行くと中にはプリトヴィーが待っていた。ドンドンと集まるミルク缶を覗き込んでいる。指先を浸してくるりと一周させると、あっという間に牛乳の白がギーの透明感のある琥珀色に変わっていった。(出来たてホヤホヤのギーを分けてもらったがとても美味しかった)
これから焼き上がる壷にギーを注げはユユツオルタ特製ギー壷の完成だそうだ。
次は誰が犠牲になるのか、ドゥりーヨダナ属を思い浮かべながらバタークッキーに齧り付いた。
お、美味しい……
以上、レポーターの藤丸でした。