聖女と道化
「う~ん、今日も疲れました!」
月が空に浮かぶ頃、自室に入ったエクレシアは背筋を伸ばして声を上げた。
しかし次の瞬間、緩んでいた表情が険しいものに変わる。
「おいおいエクレシアちゃん、睨まないでくれよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「人の部屋に侵入しておいて何を……!」
ベッドの上に座る怪しげな仮面を付けた男……そもそもどんな姿であろうと知らない人間が自分の部屋にいれば彼女のように警戒するのが当然だろう。
男はおどけたように両手を上げ、エクレシアに落ち着くように告げる。
「勝手にお邪魔したのは悪かったよ。マクシムス様にキミを労ってくれって頼まれたんでね」
「マクシムス様に……そ、それは失礼しました!」
しかし最高指導者の名前が出ると、エクレシアは慌てて頭を下げる。
「気にしなくて良いさ、オレだって同じ状況になれば同じ反応をするに決まってる」
男は小さく笑い、彼女を手招きする。
エクレシアは誘われるままに彼の隣に座った。
「それで、労わるとはどういうことでしょうか?」
「そうだねぇ……気持ち良いコトでもしようか。ほら、オレの胸に背中を預けて……」
疑いもせず男の胸に背中を預けるエクレシア。そうすると部屋着の上から彼の両手が程よく育ったその胸に触れる。
「ひゃっ……!?」
「大丈夫、ちゃんと気持ち良くしてあげるからさ」
驚く彼女を落ち着かせ、ゆっくりと指を動かす男。
力を入れすぎず、かと言って刺激を感じられないような弱さでもない。
初めての体験にも関わらずエクレシアの身体が熱を帯びていく。
「良いねぇ、サイズも感度も悪くない。これならお役目を果たせそうだ」
「んっ…やぁ……っ」
エクレシアの胸が男の指で形を変え、快感をもたらしていく。
彼女は初めて味わうその感覚に飲まれていった。
「痛い?それとも気持ち良い?」
「分かりませんっ……でもなんだか、胸のあたりがぴりぴりしてぇ……」
「大丈夫そうだね」
男は胸を揉む指を止め、その頂点に触れる。
ピンと立った乳首を優しく押すと、エクレシアの身体が跳ねる。
「何もおかしい事はない。キミはただ、その感覚を受け入れるだけで良いんだ」
「は、はいっ……ふぁっ……んん……♡」
「少し強くいくぜ?」
「あっ、やっ、そこっ、だめです……っ!」
男は彼女の制止を聞かずに今度は指の腹で乳首を押し潰すとエクレシアの身体が大きく跳ねた。
「はぁ……♡はぁ……♡」
「初めてにしては上出来だ」
「あ……ありがとうございます……?」
快感の余韻で頭が回らないエクレシアはその言葉に礼を言う。
男はそんな様子に小さく笑い、彼女に言葉を告げる。
「それじゃあ次はこっちの具合を見てみようか」
「え……?」
男の手がエクレシアの下腹部に触れ、そこを撫でる。
「俺に触られた時、何か身体に変化は?」
「えっと……その、なかがきゅーっとして、あつかった……です」
「そうかい、ならその熱を鎮める方法を教えてあげるよ。ほら、こっちを向いて……」
男はエクレシアを自分の方に向かせ、その下着に指をかける。
「あの、何を……?」
「君を労わる為の下準備さ」
「……?」
言葉の意味が分からないエクレシアは男にされるがままになる。
彼はするすると彼女の下着を脱がしていき、ついには秘部を露出させる。
「え……!?な、なにこれっ……!?」
「準備万端だな、だが少し慣らしておくか」
露わになったエクレシアの股間は既に湿り気を帯びており、彼女が感じている事を示していた。
「やっ、そっ、そんなとこ触っちゃ駄目ですっ……んぁっ!」
男が彼女の秘所に指を這わせると、エクレシアの口から声が漏れる。
「大丈夫さ、すぐに気持ちよくなる」
「んぁっ、あっ、やっ、んんっ!」
男は割れ目をなぞり、その上にある突起に触れると彼女の身体が再び跳ね、甘い声が上がる。
「あっ、やっ♡んんっ♡」
「いいね、もっと声を出して……」
男はエクレシアの淫核を優しく撫でながらそう囁く。
「んっ、やっ♡そこっ、びりびりってぇ……♡」
「それが『気持ちいい』って事だよ。ほら、言ってごらん?」
「きもっ、ちいぃ……です♡」
エクレシアは顔を紅潮させ、蕩けた瞳でそう答える。
男は愛撫を続け、同時に胸も責め始めた。
「あっ♡やぁっ♡いっしょはっ、だめぇ♡」
「駄目じゃないさ。キミの身体は悦んでる」
男の指が胸を揉んだ後、乳首を摘まみ上げると彼女の身体が震える。
「やっ♡またっ……♡」
男は責める手を緩めず、エクレシアは絶頂を迎えた。
「あっ♡やぁっ♡ぁぁぁぁぁっっっ♡」
身体を仰け反らせ、嬌声を上げる彼女。
「はぁ……♡はぁ……♡」
「これで準備は整った。それじゃあ、本番といこうか」
男は脱力したエクレシアをベッドに寝かせると、その脚を大きく開かせる。
そしてズボンを脱ぎ去り、彼女の秘部に自身のモノを押し当てた。
「え……?」
「キミの中にこれが入るんだ。もっと気持ち良くなれるんだぜ?」
驚く彼女を諭すように男は告げる。
エクレシアはその言葉に少し戸惑いながらも先程の感覚を思い出して小さく頷く。
「分かりました……私の中に、入れてください……」
「良い子だ、ちょっと痛いけど我慢してくれよ?」
男は仮面の下で優しく微笑むと腰を進める。
「んっ……い、痛いっ……」
エクレシアは初めての挿入に痛みを覚え、2人の結合部から赤い液体が流れる。
しかしそれも最初だけで、膣が男のものを受け入れ始めると次第に快感が勝り始める。
「あっ……♡んっ……♡」
「どうだい?初めての感覚だろう?」
「は、はい……さっきよりお腹が熱くて……♡」
「それはキミの身体が悦んでる証さ。どうだい、気分は?」
男の言葉にエクレシアは自身の下腹部を撫で、微笑んだ。
「なんだか、嬉しい……ですっ♡」
「なら、動いてみようか」
男はゆっくりと腰を動かし始める。その動きに合わせるように彼女の口から甘い吐息が漏れる。
「あっ♡んっ♡やっ♡」
「どうだい?痛みはある?」
「まだ、ちょっと……♡でも、気になりませんっ♡」
男の質問に笑顔で答えるエクレシア。
それに合わせるように膣が男のモノを締め付ける。
「いいね、それなら少し激しく行くぜ?」
「は、はいっ……♡」
男の動きが激しくなると結合部から水音が鳴り、エクレシアの口から嬌声が漏れる。
「やっ♡あっ♡んぁっ♡」
「どうだい?」
「んっ……なんだか、ふわふわしてっ♡何かきちゃいます♡」
何かを感じながら男の問いに答えるエクレシア。
「気持ち良くてまたイキそう?」
「ふぁっ♡やぁぁっ♡はいっ♡イッちゃいますっ♡」
男が一層強く腰を打ち付けると、エクレシアの身体が大きく跳ねて絶頂を迎える。
その後、膣から男のモノが引き抜かれて彼は彼女の頭を撫でる。
「初めてだから疲れただろ?ゆっくり休みな」
「はい……」
ゆっくりとエクレシアの瞼が落ちる。
「そうそう、オレの事は誰にも話しちゃダメだぜ。マクシムス様にもね」
その言葉を聞いて、彼女は眠りに落ちた。
「夢……?」
翌朝起きたエクレシアは、昨日の事を思い出して呟く。
服は着ているし、ベッドに汚れもない。
それでも身体は昨日の出来事を覚えている。
「う~ん……?」
考えても仕方ないと割り切った彼女は、予定に遅れないように動き出した。
それから数日後の夜、自室に戻ったエクレシアの前に再び仮面の男が現れる。
「どうやらちゃんと黙ってくれてるみたいだね」
「こんばんは、えっと……貴方のお名前は……?」
挨拶をした後、男の名前を呼ぼうとした彼女の問いに、彼は少し考えるような仕草をして答える。
「オレはただの道化だよ、名前なんて無い」
「分かりました、道化さんですね!」
エクレシアは彼に向かって笑いかけると、少し恥ずかしそうに口を開いた。
「それで……今日は労りに来てくれたんですか?」
「ああ、その通りだ」
「じゃあ……その、よろしくお願いしますね」
エクレシアはベッドに座って背面に手をつくと、道化に見せつけるように脚を開く。
「ああ、任せてくれ」
彼はそんな彼女の秘所に手を伸ばし、下着の上からゆっくりと指を這わせた。
「んっ……♡」
「どうだい?気持ち良くなってきた?」
道化の言葉にエクレシアは小さく頷く。
「はい……前みたいに、ふわふわしてきました♡」
彼が無言で下着をずらし、その中に指を入れて動かすと彼女の身体が小さく震える。
「あっ♡やぁっ♡んんっ♡」
「気持ち良いだろう?」
「はいっ♡きもちいいですっ♡」
蕩けた表情でそう答えるエクレシア。
その様子を見て道化は彼女に告げた。
「それじゃあそろそろ次に行こうか?」
彼は自分のモノを取り出し、それを彼女の秘部にあてがう。
「あっ……♡はい、おねがいします♡」
エクレシアの膣肉をかき分け、道化のモノが侵入する。
既に濡れたそこは難なく侵入者を受け入れ、歓迎するように締め付けた。
それを感じた彼は彼女の下腹部を手で押さえ、入ったそれを意識させる。
「どうだい、2度目の感覚は?」
「っ……♡」
エクレシアが自身の中にある道化のモノに意識を向けようとすると、彼は無言で腰を動かし始めた。
「あっ♡なんで♡かってにぃ♡」
「キミに気持ち良くなって貰うんだから、身構えられちゃ困るんだよ」
「うぅ♡やぁっ……♡」
天井を抉るように道化のモノが彼女の膣内を擦り上げ、エクレシアは目を閉じて歯を食いしばる。
初めての時のような痛みは無く、ただ快楽だけが与えられていく。
「イイねぇ、これならオレも楽しめそうだ」
「んんっ♡くぅ♡」
結合部から激しい水音が鳴り、快楽に耐えきれなかった身体がベットへ倒れ込む。
脚を抱えられ、何度も突かれるエクレシアはベッドのシーツを掴み喘ぐ事しか出来ない。
「やっ♡ああっ♡」
「喘いでばっかじゃ分からないな、ちゃんと教えてくれよ?」
容赦なく与えられる快楽に溺れ、首を振る彼女の胸へ左手を伸ばす道化。
それを少し乱暴に掴むとエクレシアの膣壁が道化のモノへ吸い付いていく。
「と言っても丸わかりだな、オレも限界か……」
「だめっ♡むねまで♡いくっ♡いっちゃう♡」
「ああ、イっちまえ……!」
彼女は目を見開いて身体を跳ねさせる。
連動して膣が刺激を与え、耐えきれなかった彼を射精へと導いた。
「あつい♡なにかぁ♡きてるぅ♡」
射精する道化のモノがエクレシアの膣内で脈打ち、更なる刺激を与えていく。
絶頂の余韻に浸れず、新たな快楽を感じる彼女はしばらく声にならない声をあげてその身体を震わせる。
「トんじまって戻れないか?」
彼は腰を引くと、そんなエクレシアの頬を撫でて落ち着くまで待つ。
膣から零れる精液の熱を感じながら、彼女の意識は閉ざされた。
それから数週間経って、エクレシアを労う道化の行為は日常となった。
「あっ♡もっと♡もっと強く♡お願いします♡」
「今やってるだろ?悪い子だな」
四つん這いになった彼女を後ろから犯す彼は少し苛立ったようにエクレシアの胸を両手で揉み始める。
「んん♡むね、いいですっ♡」
「どうだい?イっちまいそうか?」
「はい♡イキます♡このままっ、なかにぃ♡」
「それじゃあ望み通り……!」
腰の動きが激しくなり、エクレシアは頭を横に振って喘ぐ。
「あっ♡くるっ♡わたし、イキますっ♡」
快楽に耐えきれず態勢を崩すと同時に精液が中に放たれ、彼女は絶頂して身体を震わせる。
「はーっ♡はーっ……♡」
「良いイキっぷりだったぜ」
道化のモノが膣から引き抜かれ、精液が零れだす。
エクレシアは絶頂の余韻から抜け出すより先に口を開いた。
「つぎ、いつ会えますか……?」
「キミがここにいる限りいつでも会いに来てやるさ」
「えへへ……ありがとう、ございます……♡」
彼と与えられる快楽を好きになった彼女は、道化がいない生活を考えられなくなっていた。
疲労を感じて目を閉じると、頭を撫でられながらエクレシアは目を閉じる。
彼は彼女が眠ったのを確認すると、いつも通り後始末をして部屋から去っていく。
「しかしまぁ、イイ掘り出し物だった」
昇る朝日を眺めながら建物の屋根に座り、道化……アルベルは1人呟いた。
「性教育もロクにしてないとはな、お陰で楽しませて貰ってるから文句はないが」
彼は仮面を外し、空を眺めて口を開く。
「早く来てくれよ、オレ。お前が来なきゃ始まらないぜ?」
誰に聞かせるわけでもない言葉が、朝焼けの中へ消えた。