『群青の双剣 E.G.O.発現』
Part17 - 79一体何時からだろう、自分に付き纏う忌々しい"呪い"を自覚したのは。
最初は偶然だと思った。ただ不幸な事故だと、偶々災難に逢っただけだと思っていた。
二度目は違和感を感じた。明らかに何かしらの悪意が感じられるような、作為的とも呼べる事故が襲ってきたからだ。
三度目以降は、自分に"そういうもの"があるのだとようやく気付いた。
僕はそれと向き合うことを拒絶した。それは理不尽の権化だったからだ。理由もなく、訳もなく、ただ僕に「乗り越えろ」と無茶難題を吹っ掛ける。どうしてこんなふざけた現実を直視できるだろうか。
それでも僕は戦う選択肢を選んだ。何もせずに死ぬのは御免だったから。周りが巻き込まれることを理解して、だが目を反らしながら剣を振るい続けた。死骸と瓦礫を積み上げ続け、やがて都市の頂点の一人に至った。
それでも俺は変わらない。相も変わらず降りかかる"試練"と言う名の理不尽の循環。逃れられない呪いの巡礼。かの"聖女"ですら俺の身体に巻き付く鎖を壊すことは出来なかった。
考える。逃れる術がないのにこのまま生き続けて意味はあるのかと、考える。
だが不思議だ。死ぬという選択肢は、昔から考えたことすらなかった。
理不尽に屈するという恥辱?それとも反感?嫌悪?……色々ある、だけれど……そうだ、僕は……
「……死にたくない」
「僕は、例え他者に禍が降りかかろうと、生きたい」
「意味のある死も、意味の無い死も……俺は拒絶する」
「俺は……俺の意思で……利己的に生きるんだ……」
「死ぬまで、ずっと」