続き1

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ん...んん...


どれだけ深く眠っていたのか、夢を見ることもなく自然と目が覚めてきた。

短時間の仮眠や休憩はとっていたものの、モルガンの言う通り大分疲労が溜まっていたようだ。


...あれ? 確か次の予定まで30分くらいしかなかったような...


明らかに寝過ごしてしまった事に気づき、いつの間にかかけられていた毛布を跳ね除けて飛び起きる。


今何時!?


「我が夫、落ち着いてください」


飛び起きた自分の後ろからモルガンの声が聞こえた。

どうやら、あの時からずっと膝枕をしてくれていたらしい。

じゃあ毛布は誰が? と思ったけど、モルガンならどうとでもできるだろうと結論付けた。

いや、今はそんなことを考えてる暇はない!


30分くらいで起こしてって言ったじゃん!?


「大丈夫。時間は過ぎていません。

 ハワトリアの事を覚えていますか?」


もちろん覚えている。

色々...本当に色々あったけど、楽しいバカンスだった。

モルガンも水着に着替えて、ホテルを建てたりしていた。

そしてあの特異点は...カルデアの7倍の速度で時間が経過していた。


「ハワトリアの特異点にかかっていた時間加速。

 それを魔術として改修し、今この部屋にかけてあります。

 ハワトリアは7倍でしたが、今この部屋は20倍に設定しています」


なので10時間ほど休んでも問題ありません。

彼女はそう簡単そうに言うが、それはもしかしなくても、とんでもない事なのではないだろうか?


...大丈夫?


アサシンのエミヤの宝具は本来、大きな反動があると聞いている。

世界の修正力がなんとか...理屈はよくわからないが、時間の操作なんてものがノーリスクで扱えるものではないという事で納得した。


「この程度の小規模な時間操作なら問題ありません。

 それより、大丈夫か問われるべきなのは我が夫の方では?」


ほんの少し横になっただけで深い眠りにつくのは、それだけ疲労が溜まっている証拠でしょう。

そう言う彼女に、言い返せる言葉はなかった。

疲れていたのは事実だし、眠気もカフェインで誤魔化してなんとか起きていたから。

そうだったとしても。


やるべき事が山積みだからね。



そう、やるべき事は山のようにある。

所長やダヴィンチちゃん、他のスタッフ達も回す仕事を最低限にしようとしてくれてはいるものの、それでもやはり人手不足。

魔術にも科学技術にも精通していない自分のような素人の手も使わなければ回らない。


ありがとう。久々にゆっくり休めたよ。


しっかり寝て、目をバッチリ覚めたし、お礼を言って部屋を出ようとした。

その時にようやく気づいた。

部屋を出るための扉がない。


...あの、モルガンさん? この部屋、扉が無いようですが...


「先程言ったでしょう。

 この部屋に、魔術をかけてあります」


外部時間で30分、つまり10時間は出られません。

彼女はそう言い、起きあがろうとしていた自分の腕を引っ張り、再びベットの上に横たわらせた。

今度は彼女も一緒に横になっていて、目の前にはどこか幼さを残した、それでも国を傾けられるであろう美しい彼女の顔が目の前にあった。


「努力することが良いことです。

 これまでの旅路で背負ってきたものの重みも、わかっています。

 歩みを止めるわけにはいかないことも、最早止まれないということも。

 それでも今、貴方は休むべきです」


子を慈しむ母のように、彼女は頭を撫でながら告げる。

動かなきゃいけない。

そうわかってはいるのに、彼女の腕の中にいるだけで安心して、体の力が抜けてしまう。


「安心してください。

 ちゃんと予定通りには起こします。

 泡沫の如きささやかな時間ではありますが、今は私の腕の中でおやすみなさい」


ああ、ちゃんと起こしてもらえるんだな。

そう思った時には、既に瞼が落ちていた。

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