終章

終章

戦闘終了後の治療

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双殛の丘


 四番隊がバタバタと治療のために駆け回る。重傷の恋次は担架で運ばれて行った。別行動をとっていた井上達も合流して一護の治療に当たる。他の面々は周囲を囲んで心配そうに見守っていた。


「カワキ、お前は大丈夫なのか…?」

「よく見たらその服…血塗れじゃないか…!?」


 いつも通りのポーカーフェイスで佇むカワキに、仲間達が心配の言葉をかける。死覇装が大きく裂けている事に気付いた石田が、黒色で隠れているだけで服が血塗れだとわかって狼狽した。


『ああ、斬られたんだ。ザクッと』

「ザクッと!?」

「言ってる場合じゃねえだろ! なに平気な顔して突っ立てんだよ!? 重傷じゃねえか!!」


 平然と斬られたと言うカワキに一同は青い顔で騒然となった。カワキはぼんやりと周囲の声を聞き流す。


⦅一護の治療は井上さんに任せていればいいか。他の者の治療は私には関係ない事だな⦆


 死神達はもちろんのこと、共に侵入した面々もカワキの護衛対象ではない。わざわざ治療する理由は無いと、話を聞いてるのか聞いてないのかわからない顔で、カワキは周囲の様子を伺っていた。

 ふと見上げた夕暮れの茜色に染まった空に、エイのようなものが飛んでいる。


⦅あれは――…卯ノ花八千流の斬魄刀か⦆


 空を仰ぎ見たカワキの視界に、エイから降りてくる卯ノ花の姿が見えた。


「お疲れ様です卯ノ花隊長! 日番谷隊長と雛森副隊長の御容体は…」

「とりあえず一命は取り留めました。後は本人達次第でしょう。今は勇音が引継ぎ処置を行っています。…残っているのは?」

「朽木隊長と旅禍の少年です!」


 その言葉に、卯ノ花が一護のいる方を向く。ほんの一瞬、遠目に卯ノ花の様子を見ていたカワキと目が合った。カワキの姿を捉えた卯ノ花の目が見開かれ、思わずと言った様子で言葉が口を衝いた。


「――…彼女は…」

「…は…? 卯ノ花隊長? いかがなさいました?」

「…いえ……旅禍の方には手助けは必要無さそうですね…」


 そう言って、すぐに白哉の治療に移った卯ノ花を視界に捉え、カワキは視線を一護に戻す。


⦅何だったんだ…? 敵意では無さそうだけど…⦆

「なあオイ! 聞いてんのか!?」

「カワキ…本当に大丈夫か…? やっぱりお前も一護と一緒に治療を…」


 訝しむように首を傾げたカワキに、仲間達が声をかける。まるで話を聞かずに他の事に気を取られていたカワキの意識が会話に戻った。


「もしかして、失血で気が遠くなってるんじゃ……」

『もう治ったよ。大丈夫』

「いや、そんな馬鹿な……。病院を嫌がる子どもじゃないんだから……」


 カワキが会話を終わらせようと端的に告げた言葉に、石田が小さな子どもを諭すような声を出した。井上も心配そうにカワキを振り返る。


「カワキちゃん、ちょっと待ってね…黒崎君を治したらすぐにカワキちゃんの治療も…」

『いや。私は大丈夫だから、井上さんは一護の治療に専念していて』


 心配そうに見つめる仲間達の視線などどこ吹く風で、カワキは尸魂界に侵入してからの事を思い返す。

 この短期間で起こった出来事をどうまとめようか。カワキは報告書の内容に頭を悩ませていた。


***

カワキ…他の人の治療をしようか迷ったがやらない。安定のスーパードライ。


卯ノ花…カワキが知ってる「志島家」の者だと気付いた。


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