紅と橙
ぷるぷるスレ主「なぜこんなところで戦っているのでしょうね。」
クルリと銀筒を繋ぎ合わせた棒を回してぷるぷるは身構えた。
「まあまあ。お祭りらしいから楽しめばいいじゃない? 一護のお友達さん。」
レンは伸びをしながら深呼吸し肩をグリングリンとまわして見せる。
開始の音と同時にレンへ霊子の矢が襲い掛かる。先ほどの棒はどこへやらぷるぷるの手には滅却師の弓が握られていた。
「ハイハ~イ!不意打ちは汚いと思いまーす。」
「先手必勝。動かさないのが私流です。」
事も無げに矢を回避しレンは指先から虚閃を放つ。
しかしぷるぷるの姿はそこには無く、虚空を吹き飛ばした。
「速いね。ちょっと驚いちゃった。」
背後から響く霊子を削る機械音。霊子で出来た槍を突き刺そうとするぷるぷるへとレンは目をやる。
「ゼーレ・ランツェ。」
ゼーレシュナイダーの改良型、ゼーレシュナイダーの刃をドリルのように高速回転させ霊子構造を破砕しながら突き通る槍。その槍はあらゆる防御を突き破る――――はずだった。
「手繰れ 千里糸」
一瞬の霊圧の奔流。それでもと気圧されずに槍を突き出す。
しかし槍は数多の糸で柄を絡み取られレンの腹部まで届かなかった。
糸はレンの籠手から出現し天地を楔にしてぷるぷるの槍を止めていた。
「つーかまーえた! どう? 降参する? 今なら怪我はしないと思うよ?」
「ご冗談を。爆ぜろ! 銀筒!!」
ぷるぷるの命令に槍が爆ぜた。只の爆発ではなく煙が多い、目くらましかとレンは笑みをこぼした。
「やるねえ。じゃあこれはどうかな? 手繰れ 機織鶴(クエルダ)!!」
始解に続く帰刃。翼を生やしたレンは大きく羽ばたき煙を吹き飛ばす。
「黒虚閃・双連。そーれっ!!」
前に突き出した両翼から黒い奔流が放たれる。その翼を左右別方向にゆっくりと広げ会場を薙ぎ払う。自分の背以外を薙ぎ払い羽を閉じる。
「さて死んじゃいないと思うけど……」
霊圧を探ろうとしたレンの腹部に矢が刺さる。
「お、みつけたあ。」
刺さった矢を意に介さず歩を進めようとしたその瞬間、レンに刺さった矢は天にも昇るほどの火柱を上げた。
「神銀式聖弓(ズィルバー・ハイリッヒ・ボーゲン)」
銀筒を触媒に使用した時間差で炸裂する矢。その威力はともかくとして内部へと送り込まれる爆発にそう耐えれるものではないだろう。
とは言えぷるぷるも十刃に匹敵、いや越えうる相手に油断することは無く再び弓を構えた。
「んーん~んううううう……こうさーん。」
煙の中から両手を上げたレンが朗らかに答えた。
「なぜ降参を? 貴方ならまだ……」
「だってお祭りだよ?」
ニヒヒと笑ってレンは答えた。
「怪我してもさせても楽しくないじゃん。本気出して殺し合いなんてもっての外だしね~。君も本気は嫌でしょ?」
鼻をツンと指でつつかれぷるぷるは目をぱちくりさせる。見抜かれている?いやしかし……
「さー! いろいろ買って食べて飲むぞー!」
ぷるぷるの疑問に答えることなくレンは選手控室を後にした。