籠の中の鳥
「いえ、僕はチャンピオンになれるほど人格者じゃないので」
勝手に祠に入ったというのは黙っておこう、と考えながらリーグを出る。
するとボールからミロカロスが飛び出してきた。
「わっ、どーしたのさ」
あはは、と笑うとミロカロスは心配そうな顔をする。
やはりずっと一緒だった相棒にはごまかしは効かないか。
「…大丈夫だよ。あのね、僕、他の地方に行きたいんだ」
こことは違うどこかの地方へ行き、人々が積み上げてきた歴史を見たい。
「ねぇ、キミも一緒に行ってくれない?」
頷く彼女に礼を言い、家へ戻る。
本気で怒られた。勝手に家を出たこと。
仕方ないじゃないか、ずっと籠の中にいるのは暇で仕方がないんだ。
次の日、別の地方へ旅立った。
カントー地方やジョウト地方、カロス地方ではポケモンの生態について。
シンオウ地方やイッシュ地方、アローラ地方では歴史や神話について調べた。
やはりバトルは僕の性に合っていないな、と思い知らされた。
リーグに挑戦したのは、最悪危険な目に遭っても切り抜けるための苦難の策。
昔から僕は戦いが苦手だった。
尊敬する姉とは正反対で、そんな自分が何より嫌いだった。
ガラル地方で姉と再会して、やはり違うと確信した。
目指す自分と今の自分は、全く違った。
ある日、きのみを集めるため歩いていると急に視界が暗くなっていった。湖に落ちたんだろうか。
起きるとそこは知らない場所で、何も覚えていなかった。
前の自分なんて分からず、なんとなく明るく振る舞う。
どこかで出会ったあの人のように、明るくて、優しくて。そんな振る舞い方。
でも、やはり隠し切ると言うのは難しいもの。
すぐキレてしまう性格が見え隠れしていた。
同じ団のあの人とはいつも言い争っていて、逆に親しみやすかった。
でもやっぱり、そんな日々は続かない。
崖から滑り落ちて、意識を手放した。
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「引っ越してきました、トリカゴです!」
アカデミーに転校生がやってきた。
その人は、バトルが得意で賢いが少し扱いが難しい。
少し押され気味で話す生徒もいた。
それでも彼は気にしていないようで、手持ちとずっと一緒にいる。
ニコニコと笑顔を振りまくその顔がこちらを向く。
意外といい人かもな、と思った。