答え
⑦ホー… ホー…
聞こえてくるフクロウの鳴き声をBGMに、焚火を囲んで私たちは今思い思いの時間を過ごしている。
『ルフィ…』
『ウタ?どうした?』
『ちがうよ…名前を呼ぶの…』
『…ウタ。』
『うん…ルフィ…ルフィ…』
麦わら帽子の『私たち』はお互いの名前を呼びあいながら何度もキスしている。
そんな姿に触発されて海兵の『私たち』も仲良くし始め。
人形になったことのある『私』は『ルフィ』にひざ枕してあげながらその寝顔を幸せそうに眺めている。
あ。麦わら帽子の『私たち』のキスが深いものに変わった…
…。
…いいなぁ。
私のところのルフィといえば
「仲いいなァあいつら…」モグモグ
なんて言いながらいまだにお肉を片手に食べている。
私たちのそっくりさんがあんなに仲睦まじくしているのを見て言うことがそれ?
この男はいったいいつになったら隣に座っている幼馴染がとても魅力的に成長したということに気付くんだろう?
麦わら帽子の『私』の相談、私もよく聞いておけばよかったな…
そう後悔していると
「ウタ。」
はいはい、何?お肉のおかわり?
「ウタ、お前、おれのそばから離れんなよ。」
…。
…。
えっ!?はっ!?いきなり何言ってんのアンタ!?
「ウタがあん時おれに言った言葉。忘れたなんて言わせねェぞ。」
あの時…?あのねルフィ、それだけじゃわからないよ。
「私の十二年は何だって。」
…………。
「その答えをウタに見せてやる。でもそのためには時間がいる。だからおれのそばから離れんじゃねェぞ。あの言葉をおれに言っといてどっか行くなんて許さねェ。」
……アンタ、そのために私をシャンクスの船から内緒で連れ出したの?
「おう!ししし!シャンクス怒ってんだろうなァー!」
のんきに言ってる場合?…その帽子返しに行く時、覚悟しときなよ。
「望むところだ!おれがどんだけ強くなったか見せてやる!」
それに、今はまだ会うわけにはいかねェからな!しかたねェ!
胸を大きくそらし、フン!フン!と鼻息荒くガッツポーズでそう楽しそうに答えるルフィ。
……。
「ウタ?」
私は静かにルフィのすぐ隣に座り直し、そのまま彼の肩に身を預けた。
…あったかい。
あんなに小さく、私の後ろを必死に走ってついてきていた男の子は、今はこんなにも大きく、強く、たくましくなって。
その過程を見れなかったことを考えると今も苦しくて仕方なくなるけれど、ルフィが言うみたいにこれからがあるのなら…
私を救けてくれた、この人の言うとおりにするのもわるくはないな…
顔を上げてルフィに応える。
覚悟しなよルフィ。心変わりして離れろって言われてももう離れてなんかやらないからね。
「おう!」
そう言って、小さい頃みたくおでこをくっつけて笑いあう。
…ありがとうルフィ。私の大好きな——
ふと視線を感じ周りを見渡すと、いつの間にかあんなに見せつけてくれていた他の『私たち』が全員私たちを見ていた。
…ひざ枕されている『ルフィ』だけは相変わらず幸せそうに眠りこけているけど。
麦わら帽子の『私』と目が合い、同じ女の私でも思わずドキッとする笑顔でウインクを贈られた。…私と同じ顔なのに。
今までのやり取りを見られていたことに赤面し、思わずルフィの胸に顔をうずめる。
「ししし!ウタは恥ずかしがりやだなァ!」
ちょっとだまってルフィ!いいから少しの間こうさせて!
……。
……。
……。
ルフィ。ルフィはきっと海賊王になるよ。
出会った頃から感じていた。この小さな男の子はいつか必ず何かを成し遂げると。
ルフィが夢を叶え、更にその先の、彼が私に話してくれた夢の果てに到達した時。
その彼の隣で私はいったい何を見ることになるんだろう?
その時に見える景色は、いったいどのようなものなのだろう?
そして、もう一度原点に立ち返り求めはじめた私の新時代はどうなっているだろう?
私はその時、私の新時代に対して答えを出してあげることができているだろうか?
彼のあたたかさに触れたことで、私の胸にも火が灯る。その熱によって同じく私の胸に巣くう十二年間のどうしようもない孤独の冷たさが少しずつ、少しずつ溶かされてゆくのを感じながら、
太陽のように笑う、私の大好きな海賊のぬくもりを享受しつづけた——。
あなたの隣で見るこれからの未来…
楽しみだね、ルフィ…
ホー… ホー…
フクロウの鳴き声が響く中、太陽の輝きを受けて綺麗に光り浮かぶ月が私たちを照らしていた。

???
…行かせちまっても構わねェんだな?お頭。今ならまだ間に合うぜ。
ああ。ウタを救ったのは俺じゃない。アイツさ。それに、まだ会うわけにはいかないからな。
フッ…なら何も言う事はねェな… スパーッ