第四章

第四章

雑兵掃除

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双殛の丘


 ルキアの体が宙に持ち上げられる。矛を炎が包むと、その姿は大きな鳥へと変化した。

 出会った者達への感謝を胸に、終わりの刻を迎えようとするルキア。炎の鳥が目前に迫る。一筋の涙を流し、訣れの言葉を胸の内で呟いたその時――


「よう」

「――あ…」


 迫る炎を背に笑う一護。ルキアは呆気に取られた表情で口を開いたまま目を瞠った。

 同時に、地上では双殛を見上げて集まった隊長、副隊長達が驚愕に目を剥いていた。砕蜂が信じられない光景を前に「莫迦な…!!」と叫ぶ。


「止めたというのか…! 斬魄刀 百万本に値する破壊能力…その双殛の矛を斬魄刀一本で…! 奴は…奴は何者だ!!!」


◇◇◇


 カワキは風に髪を揺らし、遠目にその様子を眺めながら狙撃銃を構成する。遮蔽物のない丘の上は、獲物を狙い澄ますには絶好の場所だった。

 凍てついた瞳がスコープを覗き込む。


『――壊すのは得意だよ。少なくとも、何かを護るよりは……ずっとね』


 ――うっそりと笑うしなやかな指が引き金を引いた。


◇◇◇


「うっ!」「ぐッ」


 双殛を囲む死神達。それを囲むように立つ兵士達が外側から順に碌な悲鳴すら上げられずに斃れていく。


「何だ? どうし…」


 どさりと倒れる音に気付いた兵士が振り返る。問いを言い終わるよりも放たれた凶弾が彼を貫く方が早かった。しかし、兵士達は些か数が多い。異変に気付く者も現れる。


「何だ!? 一体どうなっているんだ!?」

「奴の仲間か!? どこから狙っている!!」

「ガッ!?」「ひぃっ!」


 姿の見えない敵によって仲間達が次々と斃されていく――…次は自分の番かもしれない。場は恐慌に陥るも、一護に気を取られる死神達とは距離がある。

 異常を知らせようと兵士が双殛へ駆け出した。


◇◇◇


『――助かるよ。浮いた駒は狙いやすい』


 猫のように輝いた蒼い瞳がまた一人、スコープの向こうに兵士の姿を捉えた。獲物を仕留めるとすぐに場所を移動する。

 少しずつ。少しずつ――兵士の数が減る度に、カワキは双殛に近付いていく。辿り着くまで、あと――


***
一護…友達がマジモンの傭兵みたいな精神してるなんて知らなかった。この惨状は、とても見せられない。頑張れ。


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