第三話 傷痕
とある日、今日は口でしてみよっかと言ったらルフィがとても驚いていた。
ふふふ、私だっていつまでもルフィに攻められるだけじゃないのだ。
戸惑うルフィを押してベッドに座らせ、これからの事に期待しているのかすでに硬くなり始めているモノを口に含む。
歯をたてないように口の中でもごもごしていたらだんだんと硬くなっていって……完全に勃起していた。というか、結構な勢いで大きくなっていったので思わず口から出してしまう。
そんなに刺激したつもりはないのにすぐ勃ったので今日はどうしたの? なんて問うと、ルフィのを口に含んでる私の姿だけでムラッと来た、なんて素直に言っちゃってさ。
それに気分を良くした私はフェラを再開する。うーん、完全に勃ってると全部は……無理だなあ。こんな凶悪なのがいつも私の中に入ってるんだね。
根元に手を添えながら先端やカリ首を中心に攻めていく。舌で舐めたり、口に含んで舐ったりするたびにルフィが反応してとてもかわいい。ただ、棒の部分も舐めたりもするけど、慣れないせいかちょっとやりにくくてすぐ先の方へ戻ってしまう。
しばらく続けていると唾液が口からあふれそうになったので思わず啜るように吸うとその感覚がとどめになったのがルフィは呻いて口の中に出した。
……相変わらず独特の匂いと味だなーなんて思いつつ、ルフィのイキ顔をみながら嚥下する。
また別の日には胸ですることもあったが、これはなかなか大変だった。
私の胸は結構大きい方だと思うけれどそれでもルフィのを全部包むのは無理だったし、なによりルフィのを挟み続けるのに結構苦労した。体勢にもよるが、ちょっとでも挟む力が弱いとすぐに抜け出ていってしまうし、唾液やローションで滑りを良くしたらそれこそとらえ続けられない。手コキついでに胸みたいになることもあった。
それでも口の時同様に視覚的な興奮が大きかったのか、結構な量を胸にかけられた。中や口内の時とは違って間近でルフィの射精を見られるのは一応利点かな? 手の時は毎回そうとは限らないし。
調子に乗ってルフィにリクエストを募ったらスマタ……というか太腿って返ってきた。あー……結構見てるもんね、ルフィ。
あと意外な場所のリクエストというか、髪ってのもあった。サラサラしてて気持ちよさそうだと思った、って。……変態め。いやまあ受け入れた私も同類かな。ただ後始末が他の箇所より大変だったので、今後はよっぽどがなければやらないかなあ。
そんなこんなで前回からさらに日にちが過ぎ、デートも体を重ねる回数も増していき、ルフィを攻める私のレパートリーも結構増えた。
合間合間にいろいろと調べた結果、どうやら私のアレは不感症というものらしい。字のイメージからすると濡れることもなさそうに感じたけど、濡れはするけど性的な快感として感じない、認識できないとまさに私が抱えてる症状だった。
原因は体質的な物や精神的な物と様々であり、当然改善方法も十人十色だ。
精神的な物については心当たりがないから体質的な物だとは思うけれど……そうなると逆に何が原因かわからないので対処のしようがない。
ううーん、あんまりやらないけど自分でやってみて気持ちよくなる場所の把握や感覚を磨くべきだろうか。
隣で寝ているルフィの寝顔見てるとしてる最中の気持ちよさそうなルフィの顔や吐息が思い起こされて、私も気持ちよさを感じたいなんて思っちゃうのは……悪くないよね?
その日は珍しく二人とも朝から予定がなかったので、街へちょっと遠出することになった。
定番デートというのも気兼ねなくていいのだが、たまにはこうして2人で新規開拓するのも楽しくていいな。
朝食の後は散策とウィンドウショッピング、気になるお店があったら入ってみて二人であれこれ見て回って。
お昼ご飯はいつもよりちょっとだけ豪華に。でもあんまり格式ばったお店は私達のキャラじゃないから、あのお店どうかな? あっちにもよさそうなところあったぞ。あの裏路地のお店ってもしかして……?
そんな相談も楽しかった。
デートの途中でルフィがお手洗いに行くというので出入り口の近くで待っていたらそいつらはやってきた。
いかにも遊んでますって風の男数人組。
絡まれても嫌なので目を向けないようにしてルフィまだかなーなんて思ってると私に声をかけてきた。
姉ちゃん一人でなにしてんの? 俺らと遊ばね? なんてありきたりなナンパの台詞。
連れを待っているので結構ですと断るもなおもしつこく食い下がってくる。……せっかくのルフィとのデート邪魔しないでほしいな。
俺ら恋人いなくてさみしいんよ。いいだろ、なあ? お前こないだの女どしたんよ。 あーだめだめ。ヤったら全然喘がねえっつーか不感症だったんだわアイツ。ギャハハハまじかよサイアクだなおい。ソッコー捨てたわあんな女。出来損ないの体でよってくんなっつの。ハハハヒデーでも言えてるわ。
なにを、いってるの……? 最初はルフィとのデートの最中に割り込んできたことへの怒りが、こいつらの下卑た台詞と笑い声への怒りに代わっていった。 本人にはどうしようもない体の事をこいつら……。
怒鳴ってやろうとしたけど声が出てこなかった。体も震えている。うそ、なんで!?
お、彼女ふるえてんじゃーん? こわがらせてどーすんよ。んなわけねーべ さみぃんだよきっと。俺らであったまろーぜ。いいねいいねー。
好きかって言いながら私に向けて手を伸ばしてくる。
避けるか、せめて払いのけたいのに体が動かない。相変わらず声も出せない。嫌、やだ。怖い、気持ち悪い。私に触れないで助――。
助けてルフィ! と念じる前に、ルフィは来てくれた。
おい、人の連れに何してんだ。と、私に延ばされた男の腕を掴み、庇うように立ちはだかってくれている。
ルフィの登場に動揺した男達がルフィに怒鳴りながら詰め寄るが、俺の大事な奴に何してんだって聞いてんだよ? と、今まで聞いたことがないほどの怒りが込められたルフィの声と迫力に男達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
助かった……? いや、助けてもらったのだ、ルフィに。そう安堵すると同時に私は泣き出してしまった。
ルフィはそんな私を優しく抱きしめ少し移動しようと労わるように言ってくれた。
ルフィが私の手を握って先導してくれる。その手のひらに感じる温もりと、確かに感じる力強さにとても安心する。
ほんと、昔は私よりちっちゃかったのに、背も、力も、何もかも私より大きくなっちゃって。……ほんとう、ずるいなあ。でも、嬉しい。
その後は公園のベンチでしばらくのんびりして、私が落ち着くまで待ってくれた。
そこからは嫌な事なんて忘れちゃおう!とばかりに遊びに遊んで遊び倒した。
最初は無理してるんじゃないか? ちょっと早いけど帰ろうか? と私を気遣ってくれていたけれど、私が本気で楽しんでるとわかってからはルフィもいつもの調子に戻って二人であれこれ協力プレイしたりスコアを競ったり、いつもの〇連勝目とか負け惜しみぃ! とかやって、最終的には本当に楽しいデートを満喫できた。
そうして意識の外においやっていたが、あの日のあの男達の言葉は私の心に深く消えない傷痕を確実に残していた。
冷静に考えれば、クズな人間の取るに足らない唾棄すべき戯言だとわかる。
頭ではわかっていも、それは弱り始めていた心を侵食し、あり得ない考えへと結びついてしまう。
そうして負の思考のループに捕らわれた私は、私自身をも疑ってしまうことになったのだ。