第一階層 その1
「とりあえず進んでみるしかないようだねぇ」
カルミラは最初にいた部屋から歩き出し、目の前にある次の部屋への入り口を潜る。
そして入った瞬間、その入り口は重い音がすると同時に扉で閉じられた。
カルミラは部屋の中を見渡す。特に変なところは無く、何も無い殺風景な部屋だ。
「さて、どうしたものか……」
何も無い以上、こちらも何も出来ない。その上、さっき通った入り口は今や閉じられており、早速八方塞がりの状況なのである。
「………………」
ウィップを出して試しに壁に向かって振るってみたが、火花を出したくらいで壊れる気配はない。軽く息を吐くカルミラ。そんな彼女の背後に、一本の影が迫っていた。