第9話
突如割り込んできた声に、俺と少年は2人して意識を割かれそちらを見る
…紅白の髪をウサギの耳の様に結んだ可愛いらしい女の子が、仁王立ちでこっちを睨んでいた
悪ガキ「は?お前誰だよ」
ウタ「あんたみたいな珍獣に名乗るほど安くないの、私の名前は」
心臓がドクンッと跳ねる
怖いもの知らずにも程があるだろコイツ、この悪ガキにそんな挑発しちゃったら…
悪ガキ「…お前、女だからって手出されねぇと思ってねぇか?調子こいてっと、その紅白頭赤一色に染め直すぞ」
案の定、細い目を吊り上げ青筋をビキビキとたてた少年は、彼女に向けファイティングポーズをとる
ウタ「…拳向けるなら命懸けなさいよ」
悪ガキ「は?」
ウタ「それは脅しで振りかざすもんじゃないって言ってんのよ、黒ブタ」
悪ガキ「…上等だテメェッ!!」
彼女の追い挑発をゴングに、殴りあいが開戦した
ヤバい、止めなきゃ。けど、足が震えて動けない
このままじゃ、彼女は少年に一方的に殴り倒され見るも無惨な姿に───
……
ウタ「はい!一応壊れてないか確認してみて。…あんたも災難だったね」
ポカンと、俺はそこで伸びている悪ガキを見ながら頭を整理した
…え、勝ったの?この華奢な女の子が?体格差で圧倒的に勝る悪ガキに?
ルフィ「あ、ありがとう…でも、お前ボロボロ…鼻血も…」
ウタ「あー、大丈夫大丈夫。こういうの慣れっこだから…今回はちょっと危なかったけど」
彼女はししし!と笑いながら、手の甲で鼻血を拭った