第8話
───8年前
悪ガキ「おい、お前また公園に来てまでゲームしてんのかよ?」
ビクッっと身体が震えたのが分かった
明らかに友好的ではない、棘のある声
恐る恐る顔を上げると、小太りの少年がイジワルそうに歪んだ顔をニヤつかせこちらを覗き込んでいる
ルフィ「お、俺の勝手だろ…家でやってたら爺ちゃんにガミガミ言われんだよ…」
なんとか絞り出した…モスキート音にも掻き消されそうなか細い声で反論する
悪ガキ「公園はなぁ、皆で身体動かして遊ぶ場所だぜ?こんなくだらねーオモチャで1人遊びしてるやつがいると、こっちまで陰気臭くなるんだよ」
少年は叩きつける様な口調でそう言い放つと、乱暴な手つきで俺からゲームを奪ってきた
ルフィ「あっ、お前!返せよ!」
悪ガキ「へー結構やりこんでるぽいな…良いこと思いついた、お前の目の前でこのデータ全部消してるよ」
………は?今、なんて言った?
セーブデータを消す?…ダメだ、それだけはダメだ。絶対にダメだ
サァッと血の気が引き、呼吸が乱れる
ゲーマーにとって、セーブデータは努力と思い出の結晶
友達がいない自分には、それは唯一の心の拠り所で大切な宝物なのだ
ルフィ「!や、やめろ…やめてくれ!返してくれ!」
悪ガキ「返して欲しかったら力づくで取り返してみな、まぁお前みたいなもやし小僧には無理かw」
俺の必死の抵抗を嘲笑うかの様に跳ね飛ばすと、少年はゆっくりとゲーム機のボタンに手をかけ
ウタ「ねぇあんた、胸糞悪いもん見せつけるのやめなよ」